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[43] 防災集団移転促進事業創設前の集団移住事業の導入経緯と実態に関する研究
-長野県伊那谷地域を事例として
キーワード:防災集団移転促進事業 、集団移住事業、三六災害、長野県伊那谷地域
本研究の目的は、1961年の三六災害を契機に集団移住を行なった長野県伊那谷地域における集団移住事業の導入経緯や理念、事業の実態を明らかにすることである。この事例が防災集団移転促進事業に関する法律の立法の契機となった。文献調査と国会議事録の分析、ヒアリング調査、現地調査を実施した結果、以下の3点が明らかになった。第一に、国会の議論を通じて、①災害が多く甚大であることから、根本的な災害対策実施のため、②限られた予算の中で費用を抑えること、以上より原型復旧ではなく集団移住が選択されて実施されたこと。第二に移住先の選択肢が多く、広域で移転を行ったにもかかわらず、2年というスピードで事業を実施でき、コンパクトシティの形成とも言える移住が確認されたこと。第三に、生活再建支援の充実である。これらは60年以上前の集団移住事業で取り組まれたもので、これまでその成果は十分に明らかにされていなかった。しかし、災害が頻発する昨今の状況を鑑みれば、今後の集団移転事業の推進に有益な示唆を与えるものと考える。