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[124] 日根荘大木の文化的景観を支える農空間における水利システムの構造特性解明とその保全に係る一考察
キーワード:文化的景観、水利システム、水路、保全、土地改良区
少子高齢化や人口減少により,文化的景観の保全のあり方が模索されている。本研究では,泉佐野市日根荘大木地区を対象に,地形・段丘,水路,ため池,井堰からなる水利システムの構造特性とその維持管理に関わる土地改良区の実態把握をもとに,自立的な文化的景観の保全の方策を考察することを目的とした。第一に,水利システムの主要な構造特性は,6つの河岸段丘を基盤とし,7水路,7つのため池,6つの井堰から構成されていることを示した。第二に,土地改良区がため池周辺の草刈りや水抜き,井堰の清掃など,水利システムの維持管理に関する調整の役割を担っていることを明らかにした。第三に,水路流域の家屋配置と農地数からみた世帯数を推計し,水路ごとの維持管理に関わる世帯あたりの人的負担を比較した。結論として,得られた知見やコミュニティ単位に基づき,負担距離の小さい水路の流域の世帯が負担距離の大きい水路の保全に加担するなどの負担配分の方策を示した。