第1回新型コロナウイルス研究集会

大会長挨拶

「第1回新型コロナウイルス研究集会」開催に向けての御挨拶







 

新型コロナウイルスのパンデミックが始まって3年が経ちました。この間、医療従事者やさまざまな研究者の方々の奮闘の甲斐あって、この新しい病原体の実像が明らかになってきました。また、ワクチンや治療法というゲームチェンジャーも開発され、3年前のような、ただ怯えるだけの日々は過ぎ去りしものとなりつつあります。しかし、「変異株」という新たなゲームチェンジャーの出現が続き、パンデミック収束の見通しは難しいものとなりつつあることも事実です。新型コロナウイルスに関する研究分野は、パンデミックによって突如形成された研究分野です。そのため、研究手法の構築や基本技術の開発や普及が不十分であり、また、オンサイト開催の研究会の機会もこれまでにほとんどなかったことから、相互に知識や情報を共有する機会に乏しく、コンセンサスを得ながら研究を進めることが難しいのが実態であるように思います。
 
 パンデミックを過去のものとするため、あるいは、将来の新たなパンデミックに備えるためには、基礎研究はなくてはならないものです。現状の研究上の課題や問題点を解決し、最新の情報や手法を取り入れた基礎研究を展開し、本邦から世界に伍する研究成果を世界に向けて発信していくためには、この機に、新型コロナウイルス研究に特化した研究集会を開催し、研究者のみなさまが広く情報を共有できる場を設けるべきである、と考えました。
 
 本研究集会によって、みなさまの研究が一層充実し、深化し、意義のある研究成果として結実することによって、本邦のウイルス学研究のプレゼンスが高まり、パンデミック後の世界に向けた道しるべとなることを心より祈念いたします。
 

令和5年2月吉日  
第1回新型コロナウイルス研究集会  
大会長 佐藤 佳  
(東京大学医科学研究所 教授、
G2P-Japan発起人)