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[D] 田んぼのいきものをどうやって守っていくか?―水田水域における多様な生物の保全と再生―その⑦~日本の水田水域・湿地環境の未来~
2023年9月20日(水) 15:00 〜 17:00 連携研究棟
【企画者】
田和康太(国立環境研究所)
佐川志朗(兵庫県立大学)
河口洋一(徳島大学)
【内容】
近年の生物多様性の保全を取り巻く国際的な潮流として,30 by 30が挙げられる.この目標を達成するためには,既存の自然保護区に加え,これら以外の生物多様性保全に貢献する場所をOECM(自然共生サイト)として順次認定することが求められる.また,この目標を目指すことは,NbS(自然に根ざした社会課題の解決策)に資する健全な生態系保全のための基盤的・統合的な取り組みとなりうる.
水田水域は人々が稲作のために作り出した生業の場であるものの,湿地性の生物群を中心とした生物多様性保全の場としての側面もあり,OECMとの親和性も高い.また,水田水域はその洪水緩和機能や水質浄化機能などからNbSの有力な一手にも数えられる.しかしながら,水田水域は担い手の不足や宅地化等によって急速に消失している現状がある.また,水田耕作では今後,常に気候変動の影響を受け続けることが予測されている.これらの問題を解決するためには,地域住民,農家(地権者),企業,自治体,研究者が有機的に機能し,耕作放棄田や休耕田を含む様々な水田水域においてOECM認定や生物多様性の保全と気候変動適応を両立するNbSの提示が求められる.
本集会では本件に関して先進的な取り組みを進めるパタゴニアにRO(リジェネラティブ・オーガニック:農業を持続可能の範疇に留めるだけではなく,よりポジティブに環境再生にも貢献できるように営む農業)の理念やそれに基づいて水田システムを探究する取り組みを紹介いただき,つづいて複数の水田地域におけるOECM化を含めた生物多様性保全の評価や取り組みについて話題提供いただく.そこから,日本の水田水域,そして湿地環境の未来について考える場としたい.
【プログラム】
<趣旨説明> 田和康太
<話題提供>
①「RO(リジェネラティブ・オーガニック)な水田のあり方を探究する」
○木村純平(パタゴニア日本支社)・田和康太・平峰拓郎((株)坪口農事未来研究所)・佐川志朗
②「洪水リスク軽減と生息地提供の共便益を考慮した今後の湿地管理」
○山田由美(パシフィックコンサルタンツ(株)/兵庫県立大学)・田和康太・河口洋一・佐川志朗
③「地権者が多い耕作放棄地を自然共生サイトに申請することを検討してみた」
○一柳英隆(熊本大学)※ビデオによる話題提供予定
④「グリーンインフラとしての耕作放棄水田」
○西廣淳(国立環境研究所)・平野佑奈(国立環境研究所)
<総合討論> 司会:河口洋一