[PA011] 高校生の充実感の感じ方に関する検討
Keywords:高校生, 充実感, 学年差
問題と目的
青少年の人生に対する満足度への認識は,自己概念や両親との関係,学校内の人間関係などの要素と関係がある(Leung & Leung,1992)。学校内の人間関係の中でも,友人関係の安定感は,生徒にとって重要な意味をもっている(大前,1998)。
友人関係の他には,社会的役割としての自己有用感や教師との関係も,中学生にとって,学校生活が充実しているという認知に影響を及ぼしている(大前,1998)。一谷ら(1990)は,中学1年生では教師との関係,中学2年生では友人関係,中学3年生では教師との関係や友人関係,進路が,生徒の充実感を規定していることを見出した。ところが,現時点では,高校生の充実感の感じ方について検討している研究は限られている。
そこで本研究では,高校生はどのようなことに対して充実感を感じているのか,検討していく。
方法
1.調査対象者 3つの高校(共学)に在籍している高校1年生~高校3年生771人(1年266人,2年265人,3年240人;男子381人,女子387人,不明3人)が,調査に協力した。
2.調査時期 2013年10月2日~11月1日
3.調査内容 「10点満点で,あなたの高校生活の充実度を点数付けて下さい。その点数を付けた理由も,教えて下さい」と尋ねた。
結果と考察
高校生の充実感の感じ方について検討するため,学年ごとに分けて,KJ法の分析を行なった。その結果, 「高校生活全般」や「部活動」,「学業」,「友人関係」に関する記述は,どの学年でも見られた(「高校生活全般」は46%以上,「部活動」は8%以上,「学業」は13%以上,「友人関係」は6%以上)。「高校生活全般」では,1年生では46.1%,2年生では54.7%,3年生では59%と,学年が上がるにつれて増えていることが示された。「友人関係」でも,1年生では6.3%,2年生では8.4%,3年生では10.9%と増えていることが見出された。一方で,「文武両道」では,1年生では15.7%,2年生では7.9%,3年生では2.9%と,減少していることが示された(表1)。
これらの結果から, 「高校生活全般」や「友人関係」,「部活動」,「学業」は,学年に関係なく,生徒にとって必要不可欠な要素であることが明らかにされた。また,「文武両道」に対して充実感を決定づけている生徒は,学年が上がるにつれて減っていることが示された。その理由として,多くの生徒は,2年生の後半から3年生の前半にかけて,部活動を引退し,卒業後の進路に向けて勉強を重視するようになったことが関係していると思われる。
青少年の人生に対する満足度への認識は,自己概念や両親との関係,学校内の人間関係などの要素と関係がある(Leung & Leung,1992)。学校内の人間関係の中でも,友人関係の安定感は,生徒にとって重要な意味をもっている(大前,1998)。
友人関係の他には,社会的役割としての自己有用感や教師との関係も,中学生にとって,学校生活が充実しているという認知に影響を及ぼしている(大前,1998)。一谷ら(1990)は,中学1年生では教師との関係,中学2年生では友人関係,中学3年生では教師との関係や友人関係,進路が,生徒の充実感を規定していることを見出した。ところが,現時点では,高校生の充実感の感じ方について検討している研究は限られている。
そこで本研究では,高校生はどのようなことに対して充実感を感じているのか,検討していく。
方法
1.調査対象者 3つの高校(共学)に在籍している高校1年生~高校3年生771人(1年266人,2年265人,3年240人;男子381人,女子387人,不明3人)が,調査に協力した。
2.調査時期 2013年10月2日~11月1日
3.調査内容 「10点満点で,あなたの高校生活の充実度を点数付けて下さい。その点数を付けた理由も,教えて下さい」と尋ねた。
結果と考察
高校生の充実感の感じ方について検討するため,学年ごとに分けて,KJ法の分析を行なった。その結果, 「高校生活全般」や「部活動」,「学業」,「友人関係」に関する記述は,どの学年でも見られた(「高校生活全般」は46%以上,「部活動」は8%以上,「学業」は13%以上,「友人関係」は6%以上)。「高校生活全般」では,1年生では46.1%,2年生では54.7%,3年生では59%と,学年が上がるにつれて増えていることが示された。「友人関係」でも,1年生では6.3%,2年生では8.4%,3年生では10.9%と増えていることが見出された。一方で,「文武両道」では,1年生では15.7%,2年生では7.9%,3年生では2.9%と,減少していることが示された(表1)。
これらの結果から, 「高校生活全般」や「友人関係」,「部活動」,「学業」は,学年に関係なく,生徒にとって必要不可欠な要素であることが明らかにされた。また,「文武両道」に対して充実感を決定づけている生徒は,学年が上がるにつれて減っていることが示された。その理由として,多くの生徒は,2年生の後半から3年生の前半にかけて,部活動を引退し,卒業後の進路に向けて勉強を重視するようになったことが関係していると思われる。