[PA058] 専業主婦家庭の父親のワーク・ライフ・バランスと家族
ライフステージごとの変化
Keywords:ワーク・ライフ・バランス, 家族, 父親
【問題と目的】
妊婦・幼児・児童・中学生・高校生いる家庭それぞれについて、父親のワーク・ライフ・バランス(以下、WLB)が夫婦関係・家族成員のストレス・家族機能形成に及ぼす影響について分析を加える。
【方法】
≪調査協力者≫ 関東(東京・千葉・神奈川・埼玉)と中部(名古屋)を中心とする地域の妊娠期~高校生の子どものいる夫婦とその子ども2074世帯のうち専業主婦家庭764世帯(妊婦135世帯、乳幼児294世帯、児童134世帯、中学生130世帯、高校生71世帯)を分析対象とした。
≪調査用紙≫ <父親用>①WLBの状態〔22項目/尾形(2010)を参考〕、②父親から見た夫婦関係〔20項目/諸井(1997)を参考〕、③ストレス〔20項目/清水・今栄(1981)を参考〕、④家族機能〔22項目/渡辺(1989)〕。<母親用>①属性…本人と夫の年齢、職業、家族構成、子どもの年齢と性別、②母親から見た夫婦関係〔20項目/諸井(1997)を参考〕、③ストレス〔20項目/清水・今栄(1981)を参考〕。<子ども用>①子どものストレスを調べる調査用紙〔20項目/清水・今栄(1981)を参考〕。
≪手続き≫ 2011年11月~2013年2月にかけて、母親用,父親用,子ども用を別々に冊子にしてまとめて同封し,関係機関の協力のもと配布・回収した。
【結果と考察】
1.父親のWLB及び変数の構造化
父親のWLBについて因子分析(主因子法,promax回転)により構造化を図った。その結果、①仕事関与,②妻や家族との交流、③近隣への関与、④余暇活動への希望、⑤余暇時間の活用の5因子が抽出された(α係数は.70~89)。各因子に高い負荷を示す項目の得点の平均値を標準化しz得点を求め、得点を基にした階層的クラスタ分析(ウォード法/平方ユークリッド距離)を実施し、4クラスタに分類した。それぞれ、「仕事と余暇中心型」「仕事、家庭、近隣関与型」「不活発型」「家庭中心余暇なし型」とした。また、夫婦関係、ストレスについては、父親、母親、子どもそれぞれについて同様に因子分析を行った。夫婦関係については、父親・母親ともに「安定感」「コミュニケーション」「相手への要望」の3因子が抽出された。ストレスについては、父親が「とらわれ感」「緊張感」「不安感」、母親が「とらわれ感」「苛立ち」「不安感」、子どもが「とらわれ感」「不安感」の因子がそれぞれ抽出された。家族機能は「結合性」「表現性」「権威的」「民主的」の4機能を用いた。
2.各ライフステージの父親のWLBの状態と家族
ライフステージごとに、4クラスタを独立変数、夫婦関係、家族成員のストレス、家族機能を従属変数とする一元配置分散分析を行った。
夫婦関係でクラスター間に有意な差がみられたのは妊婦から児童までであった。中学生、高校生のいる家庭では有意傾向が認められるに留まった。具体的には、妊婦家庭において「仕事と余暇中心型」よりも「仕事、家庭、近隣関与型」の夫の方が「安定感」が高く、「不活発型」よりも「家庭中心余暇なし型」の夫の方が「相手への要望」が高かった。幼児の家庭では「不活発型」よりも「仕事と余暇中心型」の夫の方が「相手への要望」が高かった。児童の家庭では、「仕事と余暇中心型」「不活発型」よりも「仕事、家庭、近隣関与型」の方が妻の「安定感」や「コミュニケーション」が高かった。ストレスについては、幼児の家庭において「仕事、家庭、近隣関与型」の方が「不活発型」あるいは「家庭中心余暇なし型」よりも妻の「とらわれ感」「苛立ち」が低かった。一方夫では「不活発型」よりも「仕事と余暇中心型」「家庭中心余暇なし型」の方が「とらわれ感」「緊張感」が高かった。児童の家庭においても夫の「緊張感」について同様の結果が得られた。中学生の家庭では「仕事、家庭、近隣関与型」よりも「仕事と余暇中心型」「家庭中心余暇なし型」の方が妻の「とらわれ感」が高く、「仕事、家庭近隣関与型」は「家庭中心余暇なし型」よりも妻の苛立ちが低かった。家族機能については、特に児童のいる家庭において「不活発型」とそれ以外のWLBのパターンとの間に有意な差が多く認められ、いずれも「不活発型」が低かった。専業主婦家庭においては、夫のWLBは妊婦から児童のいる家庭における夫婦関係や夫婦それぞれのストレス、家族機能に影響を及ぼすことが示された。
妊婦・幼児・児童・中学生・高校生いる家庭それぞれについて、父親のワーク・ライフ・バランス(以下、WLB)が夫婦関係・家族成員のストレス・家族機能形成に及ぼす影響について分析を加える。
【方法】
≪調査協力者≫ 関東(東京・千葉・神奈川・埼玉)と中部(名古屋)を中心とする地域の妊娠期~高校生の子どものいる夫婦とその子ども2074世帯のうち専業主婦家庭764世帯(妊婦135世帯、乳幼児294世帯、児童134世帯、中学生130世帯、高校生71世帯)を分析対象とした。
≪調査用紙≫ <父親用>①WLBの状態〔22項目/尾形(2010)を参考〕、②父親から見た夫婦関係〔20項目/諸井(1997)を参考〕、③ストレス〔20項目/清水・今栄(1981)を参考〕、④家族機能〔22項目/渡辺(1989)〕。<母親用>①属性…本人と夫の年齢、職業、家族構成、子どもの年齢と性別、②母親から見た夫婦関係〔20項目/諸井(1997)を参考〕、③ストレス〔20項目/清水・今栄(1981)を参考〕。<子ども用>①子どものストレスを調べる調査用紙〔20項目/清水・今栄(1981)を参考〕。
≪手続き≫ 2011年11月~2013年2月にかけて、母親用,父親用,子ども用を別々に冊子にしてまとめて同封し,関係機関の協力のもと配布・回収した。
【結果と考察】
1.父親のWLB及び変数の構造化
父親のWLBについて因子分析(主因子法,promax回転)により構造化を図った。その結果、①仕事関与,②妻や家族との交流、③近隣への関与、④余暇活動への希望、⑤余暇時間の活用の5因子が抽出された(α係数は.70~89)。各因子に高い負荷を示す項目の得点の平均値を標準化しz得点を求め、得点を基にした階層的クラスタ分析(ウォード法/平方ユークリッド距離)を実施し、4クラスタに分類した。それぞれ、「仕事と余暇中心型」「仕事、家庭、近隣関与型」「不活発型」「家庭中心余暇なし型」とした。また、夫婦関係、ストレスについては、父親、母親、子どもそれぞれについて同様に因子分析を行った。夫婦関係については、父親・母親ともに「安定感」「コミュニケーション」「相手への要望」の3因子が抽出された。ストレスについては、父親が「とらわれ感」「緊張感」「不安感」、母親が「とらわれ感」「苛立ち」「不安感」、子どもが「とらわれ感」「不安感」の因子がそれぞれ抽出された。家族機能は「結合性」「表現性」「権威的」「民主的」の4機能を用いた。
2.各ライフステージの父親のWLBの状態と家族
ライフステージごとに、4クラスタを独立変数、夫婦関係、家族成員のストレス、家族機能を従属変数とする一元配置分散分析を行った。
夫婦関係でクラスター間に有意な差がみられたのは妊婦から児童までであった。中学生、高校生のいる家庭では有意傾向が認められるに留まった。具体的には、妊婦家庭において「仕事と余暇中心型」よりも「仕事、家庭、近隣関与型」の夫の方が「安定感」が高く、「不活発型」よりも「家庭中心余暇なし型」の夫の方が「相手への要望」が高かった。幼児の家庭では「不活発型」よりも「仕事と余暇中心型」の夫の方が「相手への要望」が高かった。児童の家庭では、「仕事と余暇中心型」「不活発型」よりも「仕事、家庭、近隣関与型」の方が妻の「安定感」や「コミュニケーション」が高かった。ストレスについては、幼児の家庭において「仕事、家庭、近隣関与型」の方が「不活発型」あるいは「家庭中心余暇なし型」よりも妻の「とらわれ感」「苛立ち」が低かった。一方夫では「不活発型」よりも「仕事と余暇中心型」「家庭中心余暇なし型」の方が「とらわれ感」「緊張感」が高かった。児童の家庭においても夫の「緊張感」について同様の結果が得られた。中学生の家庭では「仕事、家庭、近隣関与型」よりも「仕事と余暇中心型」「家庭中心余暇なし型」の方が妻の「とらわれ感」が高く、「仕事、家庭近隣関与型」は「家庭中心余暇なし型」よりも妻の苛立ちが低かった。家族機能については、特に児童のいる家庭において「不活発型」とそれ以外のWLBのパターンとの間に有意な差が多く認められ、いずれも「不活発型」が低かった。専業主婦家庭においては、夫のWLBは妊婦から児童のいる家庭における夫婦関係や夫婦それぞれのストレス、家族機能に影響を及ぼすことが示された。