The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB

(501)

Fri. Nov 7, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 501 (5階)

[PB075] 女子短期大学生の心理的発達に関する縦断研究(29)

学校満足度と時間的展望の関連

五十嵐素子1, 森山雅子2, 杉本英晴3, 谷伊織4 (1.北海学園大学, 2.愛知江南短期大学, 3.中部大学, 4.東海学園大学)

Keywords:縦断研究, 不適応, 大学生

問題と目的
大学生の学校生活の適応に関する要因について検討し,それらを学業面やメンタルヘルス,就職活動等の支援に生かすことは今日の高等教育機関において多く行われている。特に近年はキャリア形成の側面において学生支援が多く行われているため,その要因や介入方法など様々な研究が行われている。そこで,本研究では,学生の心理的発達やキャリア形成,大学への適応のあり方を明らかにし,学生支援の方法について検討することを目的とした包括的な学生の心理的発達に関する2年間にわたる縦断調査を行った。
本報告ではその一環として,大学生活の満足度とキャリア意識に関わる時間的展望との関連を検討した結果を報告する。大学生活における学校に対する満足度は適応的な学生生活を送る上での一つの要因になると考えられるが,学校生活における満足度がキャリア形成とどのように関連するのかを扱った研究は多くない。そこで,これらについて,縦断的に調査を行ったうえで関連性を検討する。学生の大学生活への満足度が時間的展望に対しては相互に影響を与え合っていると考えられるだろう。ここでは当該校の学生生活における6時点のデータを用いて検討する。

方 法
対象者:東海地区におけるA女子短期大学において,研究の趣旨に同意した大学生の198名を対象として2年間にわたる3か月ごと,7回の質問紙による縦断調査を行った。
調査項目:①時間的展望体験尺度(白井, 1994):「目標指向性」「希望」「現在の充実感」「過去受容」の下位尺度,計18項目,5件法。②学校満足度:単一項目にて,0~100までの得点をつけることによ
って評価した。なお,当該校においては倫理委員会が設置されていないため,学長による研究計画および倫理指針の承認を受けた。

結 果
7時点における時間的展望体験尺度の各尺度得点を算出したうえで,各尺度間の相関係数を算出した。その結果,学校満足度と時間的展望の「目標指向」「希望」「過去受容」の間の相関係数はどの時点においてもほとんどが無相関であった。一方,2年次の時間的展望はほぼすべての時点における学校満足度との間に有意な正の相関が認められた(Table 1)。

考 察
学校満足度は時間的展望体験における現在との間に関係があり,特に学生生活の後半における現在の時間的展望は全期間における学校の満足度と関連していた。すなわち,大学生活において満足度が高い者は学生生活を総括する時期において,現在の時間的展望が高くなることが示唆された。