[PB076] 女子短期大学生の心理的発達に関する縦断研究(30)
恋愛関係の良好度と時間的展望の関連
Keywords:縦断, 不適応, 大学生
問題と目的
大学生の学校生活の適応に関する要因について検討し，それらを学業面やメンタルヘルス，就職活動等の支援に生かすことは今日の高等教育機関において多く行われている。その中でも，青年期における進路選択は非常にストレスの大きい課題であり，不適応の要因となることもあるため，支援が重要な側面の一つであろう。そのため，近年はキャリア形成のための学生支援が多く行われており，その要因や介入方法などについてさまざまな検討が進められている。
本研究においては，学生の心理的発達やキャリア形成，大学への適応のあり方を明らかにし，学生支援の方法について検討することを目的とした包括的な学生の心理的発達に関する2年間にわたる縦断調査を行った。本報告ではその一環として，大学生活の「恋愛関係の良好度」とキャリア意識に関わる「時間的展望」との関連を検討した結果を報告する。大学生活における恋人との関係は適応的な学生生活を送る上での一つの要因になると考えられるが，これが学生の心理にどのような影響を与えるのかを縦断的に扱った研究は多くない。そこで，これらについて，縦断的に調査を行ったうえで関連性を検討する。
方 法
対象者：東海地区におけるA女子短期大学において，研究の趣旨に同意した大学生の198名を対象として2年間にわたる3か月ごと，7回の質問紙による縦断調査を行った。
調査項目：①時間的展望体験尺度(白井, 1994)：「目標指向性」「希望」「現在の充実感」「過去受容」の下位尺度，計18項目，5件法。②恋人との関係の良好度：単一項目にて，0～100までの点数をつけることによって評価した。
結果と考察
７時点における時間的展望体験尺度の各尺度得点を算出したうえで，各尺度と恋愛関係の良好度との間の相関係数を算出した。その結果，恋愛関係の良好度と時間的展望の「過去受容」「目標指向」「現在」の間の相関係数はどの時点においてもほぼ無相関であった。一方，「希望」については同一時点とその周辺の時点との間には有意な正の相関が(Table 1)。すなわち，恋愛関係が良好であることは，時間的展望体験における希望を高くする可能性が示唆された。青年期における恋愛関係は精神的な健康に影響を与えることが指摘されているが，希望の時間的展望についても同様に高くなると考えられる。
大学生の学校生活の適応に関する要因について検討し，それらを学業面やメンタルヘルス，就職活動等の支援に生かすことは今日の高等教育機関において多く行われている。その中でも，青年期における進路選択は非常にストレスの大きい課題であり，不適応の要因となることもあるため，支援が重要な側面の一つであろう。そのため，近年はキャリア形成のための学生支援が多く行われており，その要因や介入方法などについてさまざまな検討が進められている。
本研究においては，学生の心理的発達やキャリア形成，大学への適応のあり方を明らかにし，学生支援の方法について検討することを目的とした包括的な学生の心理的発達に関する2年間にわたる縦断調査を行った。本報告ではその一環として，大学生活の「恋愛関係の良好度」とキャリア意識に関わる「時間的展望」との関連を検討した結果を報告する。大学生活における恋人との関係は適応的な学生生活を送る上での一つの要因になると考えられるが，これが学生の心理にどのような影響を与えるのかを縦断的に扱った研究は多くない。そこで，これらについて，縦断的に調査を行ったうえで関連性を検討する。
方 法
対象者：東海地区におけるA女子短期大学において，研究の趣旨に同意した大学生の198名を対象として2年間にわたる3か月ごと，7回の質問紙による縦断調査を行った。
調査項目：①時間的展望体験尺度(白井, 1994)：「目標指向性」「希望」「現在の充実感」「過去受容」の下位尺度，計18項目，5件法。②恋人との関係の良好度：単一項目にて，0～100までの点数をつけることによって評価した。
結果と考察
７時点における時間的展望体験尺度の各尺度得点を算出したうえで，各尺度と恋愛関係の良好度との間の相関係数を算出した。その結果，恋愛関係の良好度と時間的展望の「過去受容」「目標指向」「現在」の間の相関係数はどの時点においてもほぼ無相関であった。一方，「希望」については同一時点とその周辺の時点との間には有意な正の相関が(Table 1)。すなわち，恋愛関係が良好であることは，時間的展望体験における希望を高くする可能性が示唆された。青年期における恋愛関係は精神的な健康に影響を与えることが指摘されているが，希望の時間的展望についても同様に高くなると考えられる。