The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PB

(501)

Fri. Nov 7, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 501 (5階)

[PB083] 健常大学生における自閉症スペクトラム指数とイメージ能力との関連

畠山孝男 (東北文教大学)

Keywords:自閉症スペクトラム指数, イメージ能力, 大学生

自閉症は社会性,コミュニケーション,想像力の障害を特徴とする。また,対象の細部へのこだわりや感覚過敏が問題とされることも多い。畠山・高橋(2013,教心),畠山(2013,東北心,日心)は,このような特性のイメージへの反映の仕方について,健常大学生を対象に,自閉症スペクトラム指数(AQ)(Baron-Cohen et al., 2001; 若林ら,2004)を用いて,視覚イメージ鮮明性質問紙VVIQ(Marks, 1973),7感覚モダリティのイメージ鮮明性を測定するイメージ質問紙QMI(Sheehan, 1968),表象型(常用性)を評価する言語型-視覚型質問紙VVQ(Richardson, 1977)との関連を相関分析によって検討した。本研究では,相関の見られたAQの下位尺度の得点で対象者を高・中・低の3群に分類して,これらのイメージテストの得点を分析する。
方 法
参加者 仙台市及び山形市の2大学の18歳から23歳の学生204名(男性69名,女性135名,平均年齢18.6歳)。
手 続 AQ日本語版(若林ら,2004)とVVIQ(Marks, 1973), QMI(Sheehan, 1968), VVQ(Richardson, 1977)を集団で実施した。
結果と考察
AQ下位尺度得点で男女別に対象者を高群(H),中群(M),低群(L)に三分割して,各イメージテストの得点に1元配置分散分析を行った(表1)。
(a)細部への注意が高い者は,男性では皮膚感覚の,女性では人物,味覚,有機感覚のイメージ鮮明性が高い傾向と,言語化傾向も視覚化傾向も高い傾向があることが,確認された。細部に注意を向けることで情報量が増えてイメージの鮮明性を高めるとともに,言語化,視覚化傾向とも高まるものと推測される。また女性で,(b) 社会的スキルが低い者は,人物イメージの鮮明性が低い傾向があった。社会的スキルの低さが,対人接触の質を介して人物イメージの鮮明性を低めているものと考えられる。
女性で,(c) 想像力が低い者は視覚化傾向が,(d)コミュニケーションを苦手とする者は言語化傾向が,それぞれ低い傾向があった。AQが測定する想像力とコミュニケーションが,イメージ特性に関しては鮮明性ではなく表象型に結びついていることが,確認されたと言えよう。
表1 AQ下位尺度得点による3群のイメージ
テスト得点(平均値)

注.H:高群;M:中群;L:低群
VVIQとQMIは小さい数値が鮮明性が高い。