[PD018] 遊びが子どもの社会行動に与える影響
プレイフルネスと衝動性コントロールに着目して
Keywords:プレイフルネス, 社会性, 衝動性
【問題と目的】
近年, いじめや非行などの予防を考える上で,子どもたちの社会性の低下が問題視されている。多くの研究が, このような社会性の低下の原因の一つに「遊びの不足」を挙げている(大畠・本田・北原・津久井・中山・根本・小林, 2002;渡辺・佐藤, 2005)。しかし, これらは調査を基にした実証的な研究ではない。遊びと社会性が関連するのであれば, 遊びのどのような要素が社会性を高めるのかを明らかにすることが支援を考える上で重要となる。そこで, 本研究では, 遊びを「自由な時間に, その活動で得られる利益を第1目的とせず, 外的な強制ではなく自由な意思に基づいてなされる行為」と定義し, 遊び対する態度が社会性に与える影響について検討した。
【方法】
調査協力者・調査時期 比較的穏やかな地域にある小学校2校の小学4年生~6年生300名を対象として2013年の10月に質問紙調査を行った。調査内容 プレイフルネス尺度(Bernett, 1991) 23項目, 社会行動尺度(庄司, 1991) 16項目, 衝動性コントロール尺度(Petersen, Schulenberg, Abramowitz, Offer, and Jarcho, 1984)8項目. 全て“1. 全然違う” から“4. とてもそうだ”の4件法で回答を求めた。
【結果と考察】
プレイフルネス, 社会行動, 衝動性コントロールの各尺度について因子分析(主因子法・プロマックス回転)を行った(.35以下の負荷量を示した項目, 2つ以上に同程度の負荷量を示した項目を除外)。固有値の減衰状況と解釈可能性に基づき, 以下の結果を抽出した。プレイフルネス:積極的活動志向(α=.75, 6項目:ほかの子と活発に遊ぶ), 楽しみ志向(α=.75, 3項目:楽しもうとする), ふざけ志向(α=.67, 2項目:ふざけようとする)。社会行動:ポジティブな社会行動(α=.72, 6項目:他者に受け入れられる行動), ネガティブな社会行動(α=.72, 6項目:他者に受け入れられない行動), 親和行動(α=.71, 2項目:他者に近づく行動)。衝動性コントロール:ネガティブな衝動の制御(α=.66, 3項目:衝動性の制御), 自己安定感(α=.64, 4項目:普段の心理的安定性)。衝動性コントロール尺度の2因子に対してクラスタ分析を行い, 衝動制御高群と衝動制御低群の2群を得た。プレイフルネスが社会行動に与える影響を検討するため2群で同時分析を行った(Figure1, 2)。その結果, 衝動制御高群, 低群の両群で積極的活動志向がポジティブな社会行動志向を高めることが示された。また, 衝動制御低群ではふざけ志向がネガティブな社会行動を高めることが示され, 積極的に友だちと活動的な遊びをしようとすることは向社会的な行動を促進するが, 衝動性のコントロールが苦手な児童は遊びが社会性を低下させることが示唆された。
近年, いじめや非行などの予防を考える上で,子どもたちの社会性の低下が問題視されている。多くの研究が, このような社会性の低下の原因の一つに「遊びの不足」を挙げている(大畠・本田・北原・津久井・中山・根本・小林, 2002;渡辺・佐藤, 2005)。しかし, これらは調査を基にした実証的な研究ではない。遊びと社会性が関連するのであれば, 遊びのどのような要素が社会性を高めるのかを明らかにすることが支援を考える上で重要となる。そこで, 本研究では, 遊びを「自由な時間に, その活動で得られる利益を第1目的とせず, 外的な強制ではなく自由な意思に基づいてなされる行為」と定義し, 遊び対する態度が社会性に与える影響について検討した。
【方法】
調査協力者・調査時期 比較的穏やかな地域にある小学校2校の小学4年生~6年生300名を対象として2013年の10月に質問紙調査を行った。調査内容 プレイフルネス尺度(Bernett, 1991) 23項目, 社会行動尺度(庄司, 1991) 16項目, 衝動性コントロール尺度(Petersen, Schulenberg, Abramowitz, Offer, and Jarcho, 1984)8項目. 全て“1. 全然違う” から“4. とてもそうだ”の4件法で回答を求めた。
【結果と考察】
プレイフルネス, 社会行動, 衝動性コントロールの各尺度について因子分析(主因子法・プロマックス回転)を行った(.35以下の負荷量を示した項目, 2つ以上に同程度の負荷量を示した項目を除外)。固有値の減衰状況と解釈可能性に基づき, 以下の結果を抽出した。プレイフルネス:積極的活動志向(α=.75, 6項目:ほかの子と活発に遊ぶ), 楽しみ志向(α=.75, 3項目:楽しもうとする), ふざけ志向(α=.67, 2項目:ふざけようとする)。社会行動:ポジティブな社会行動(α=.72, 6項目:他者に受け入れられる行動), ネガティブな社会行動(α=.72, 6項目:他者に受け入れられない行動), 親和行動(α=.71, 2項目:他者に近づく行動)。衝動性コントロール:ネガティブな衝動の制御(α=.66, 3項目:衝動性の制御), 自己安定感(α=.64, 4項目:普段の心理的安定性)。衝動性コントロール尺度の2因子に対してクラスタ分析を行い, 衝動制御高群と衝動制御低群の2群を得た。プレイフルネスが社会行動に与える影響を検討するため2群で同時分析を行った(Figure1, 2)。その結果, 衝動制御高群, 低群の両群で積極的活動志向がポジティブな社会行動志向を高めることが示された。また, 衝動制御低群ではふざけ志向がネガティブな社会行動を高めることが示され, 積極的に友だちと活動的な遊びをしようとすることは向社会的な行動を促進するが, 衝動性のコントロールが苦手な児童は遊びが社会性を低下させることが示唆された。