The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PD

(5階ラウンジ)

Sat. Nov 8, 2014 10:00 AM - 12:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PD045] 自己肯定感尺度の検討(3)

自己肯定感尺度ver.2の説明変数を探る

田中道弘 (埼玉学園大学)

Keywords:自己肯定感, 精神的健康, 重回帰分析

【研究の目的】近年さまざまな自己肯定感尺度が開発されてきた(田中,2011)。しかし,どの自己肯定尺度がより精神的健康を測定するために有効であるかなどの検討はなされていない。そこで,既存の自己肯定感尺度の中から,より有効な自己肯定感尺度を検討することにした。本研究では,これまでの分析結果を踏まえ(田中,2012,2013),自己肯定感尺度ver.2を他尺度がどの程度説明しうるのかを明らかにすることを目的とする。
【方法】調査時期2011年7月中旬から11月上旬(調査1),2012年7月下旬から2012年10月下旬(調査2)。調査協力者:埼玉県内のA私立大学の学生,茨城県内のB,C,D専門学校の学生の合計428名(男性165名,女性263名)。年齢:18~31歳(平均年齢 男性19.7歳 女性 19.5歳)。質問票の構成:自己肯定意識尺度(平石,1990)の19項目(5段階評定)。下位尺度は,自己受容,自己実現的態度,充実感。自己肯定感尺度ver.2(田中,2005)の8項目(4段階評定),久芳・齊藤・小林(2007)版の8項目(4段階評定)。樋口・松浦(2002)版による20項目(5段階評定)。自律,自信,信頼,過去受容の下位尺度から構成される。その他の項目として,調査1では,時間的展望体験尺度(白井,1994),ベック抑うつ性尺度(BDI-1)邦訳版(林,1988),調査2では,間人度尺度(柿本,1995)も合わせて調査を行ったが本研究での分析は割愛した。
【結果】田中版の自己肯定感尺度ver.2と各自己肯定感尺度との相関を(table1)に示した。その結果,田中版自己肯定感尺度が,他の自己肯定感と比べ概ね高い相関を示した。そこで,田中版自己肯定感尺度を従属変数として,ステップワイズ法により重回帰分析を行ったところ(table2),平石の自己実現下位尺度,樋口・松浦の自信下位尺度が除外された。
【考察】自己肯定感尺度ver.2の得点を予測するために,ステップワイズ法による重回帰分析を行った。その結果,久芳ら版の自己肯定感,平石版の自己肯定意識尺度のうち,自己受容および充実感下位尺度,樋口ら版の自律,信頼,過去受容が予測に有意で,この6つの変数により,自己肯定感尺度ver.2全体の60%を説明していることが分かった。その一方で,精神的健康を測定するとされる自己肯定感尺度でも,下位尺度の中には十分説明しないものも含まれていることが示唆された。

【文献】
久芳美惠子・齊藤真沙美・小林正幸(2007).小,中,高校生の自己肯定感に関する研究 東京女子体育大学・東京女子体育短期大学紀要,42,51-60.
樋口善之・松浦賢長(2002).自己肯定感の構成概念および自己肯定感尺度の作成に関する研究 母性衛生,43,500-504. 
平石賢二(1990).青年期における自己意識の発達に関する研究(1) 名古屋大学教育学部紀要-教育心理学科,37,217-234.
田中道弘(2005).自己肯定感尺度の作成と項目の検討,人間科学論究,13,15-27.
田中道弘(2011).自己肯定感 榎本博明(編)自己心理学の最先端 あいり出版 pp129-140.
田中道弘(2012).自己肯定感尺度の検討(1) 日本心理学会第76回大会発表論文集,21.
田中道弘(2013).自己肯定感尺度の検討(2) 日本教育心理学会第55回大会発表論文集,p283.