The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PD

(5階ラウンジ)

Sat. Nov 8, 2014 10:00 AM - 12:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PD046] DES-C日本語版の検討(2)

日常的解離尺度などとの関連

向居暁 (高松大学)

Keywords:解離性体験尺度, 健常者, 妥当性

目的
Wright & Loftus(1999)は,解離性体験尺度(DES-II, Carlson & Putnam, 1993)を健常者に用いる際に生じる歪度や床効果の問題を解消するためにDES-Cを開発した。DES-Cでは,被調査者は,体験に対する確率判断(%)ではなくて,「他者と比較してどのくらい頻繁にその体験が起ると思うか」という判断が求められる。向居(2012)は,DES-II日本語版(田辺, 1994)にもとづいて作成されたDES-C日本語版を検討し,DES-Cは,DES-IIとくらべて,歪度や床効果の問題が少ないことを示した。本研究では,DES-C日本語版が,主に健常者の解離性体験を測定するために作成された日常的解離尺度や日常的離人尺度などの諸尺度と,どのように関連するのかについて検討した。
方法
被調査者 地方私立大学生253人(男性79名,女性172名,不明2名;平均年齢=19.9歳,SD=2.7)が調査に参加した。
手続き 講義中に質問紙を2回に分けて配布した。DES-Cとともに実施された質問紙は,舛田(2008)の「日常的離人尺度」,「日常的解離尺度(下位因子は,没頭・熱狂,一過性健忘・没入,空想,感情的切り替え)」,「日常的分割投影尺度」,岡田・松岡・轟(2004)による空想傾向を測定するための「CEQ-J(下位因子は,子どもの頃の体験,異常な体験,空想の鮮やかさ)」,後藤・小玉・佐々木(1999)によるアレキシサイミア傾向を測定するための「Galex(下位因子は,空想の欠如,表層的思考,体感・感情の認識不全,感情の表現不全)」,笠井・井上(1994)による創造活動への没入傾向を測定するための「日本語版III(14項目版)」,そして,中川・大坊(1985)による「GHQ28(下位因子は,身体的症状,不安と不眠,社会的活動障害,うつ傾向)」であった。
結果と考察
表1は,DES-Cと各尺度の相関係数を示したものである。DES-C得点は,日常的離人尺度,日常的分割投影尺度,CEQ-Jの全ての下位因子,日本語版III-14,GHQ28の全ての下位因子と,弱いものから中程度以上のものまでその程度は異なるものの,有意な相関が認められた。
しかしながら,日常的解離尺度においては,「一過性健忘・没入」および「空想」と有意な相関が認められたものの,「冒頭・熱狂」および「感情的切り替え」と有意な相関が認められなかった。舛田(2008)においても,DES-II得点と「感情的切り替え」において有意な相関が認められず(r=.047),また,「没頭・熱狂において有意な相関は認められたものの低い値(r=.167)にあった。特に,「感情的切り替え」においては,その項目の適切性も指摘されているために,本研究においても,同様の結果が得られたと考えられる。
また,Galexの「体感・感情の認識不全」および「感情の表現不全」とは有意な相関が認められたが,「表層的思考」とは有意な相関が認められず,「空想の欠如」とは有意ではあったが低い値であった。この結果は,DES-IIを使用した福井(2009)と類似したものであった。
本研究結果,および,向居(2012)から,DES-C日本語版は健常者の解離性体験傾向を測定するために有効な尺度であると考えられる。
主要引用文献
向居暁(2012). DES-C日本語版の検討―他者と比較しての解離性体験の測定― 日本パーソナリティ心理学会第21回大会(島根県民会館)
(MUKAI Akira)