The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PD

(501)

Sat. Nov 8, 2014 10:00 AM - 12:00 PM 501 (5階)

[PD078] 小学校への適応に向けて

小学1年生の保護者の意識

富山尚子 (東京成徳大学)

Keywords:小学1年生, 保護者, 適応


問 題
小学校入学前の保護者は、「子どもの友だちづくり」「勉強に関すること」「保護者同士のつきあい」などの面について、小学校入学後に対する不安や心配を感じていることが分かっている。一方で、小学校入学後、学校側は保護者の不安や期待をどの程度認識し、それに応える努力をしているのだろうか。子どもたちを支える存在である保護者が、小学生の親という立場に適応できるかどうかについて考えることは、子どもたちの小学校生活への適応を考える上で、必要な視点であると考えられるが、この点からの資料はほとんど見られない。
そこで、本研究では、親が必要としている適切な情報提供や働きかけとは何か、親が抱えている小学校への不安や期待とは具体的にはどのようなことなのか、を把握することを主な目的とした、小学校1年生の保護者に対する、意識調査を行った。

方 法
<調査対象>小学校1年生の保護者(母親)36名。
<調査時期および調査方法>2013年6月~8月に、個別にアンケート用紙を配布し、郵送により回収。
<調査内容>(1)小学校入学後の気持ちに関する質問(5項目: (a)お子さんの友だちづくりについて心配している(b)お子さんの小学校での勉強について心配している (c)PTA活動などの保護者としての活動について不安がある(d)担任の先生との距離が、幼稚園や保育園のときよりも遠いように思う (e)小学校のことでわからないことをだれに相談すればよいのか、とまどうことがある)(5段階評定での回答)。(2)「入学後、学校に対してとまどったり、不安に思ったりしたこと」および「学校に対してのぞんでいること」についての自由記述回答。(3)保護者の年齢や子どもの数、小学校1年生が第何子であるかについての質問。

結果と考察
Table1は小学校入学後の気持ちに関する質問について、どの程度自分の気持ちにあてはまると思うかについての回答の平均値および標準偏差を示したものである。得点が高いほどあてはまることを示している。
自由記述を含めた全体的分析から、小学校1年生の母親は、子どもの友だちづくりを心配したり、担任の先生との距離の遠さを考えたりする傾向がうかがわれ、特に初めての子どもが小学校に入学した母親は、担任との距離についてより心配していると考えられた。

まとめ
今回の結果から、特に初めての子どもが小学校に入学した保護者に対して、最も必要な情報は、「担任の教員とのコミュニケーション面での不安」を解消できるような情報であることが示された。つまり、入学当初から保護者に小学校の様々なシステムについて詳細に説明し、必要な情報を提供できれば、保護者の不安を低減できる可能性が高いのではないだろうか。
今回は小規模な調査であったため、特に第2子が小学校に入学した保護者の小学校への不安や期待については、不十分な資料しか得られていない。今後、より大規模な調査を行うことで、学校と保護者のよりよい連携のために貢献できる資料を得たいと考えている。