[PE022] 小学生の友人に対する被援助志向性と学校適応の関連
ソーシャルスキル,スクールモラール,被援助志向性に焦点をあてて
キーワード:被援助志向性, 被侵害感, 承認感
【問題と目的】
本研究では,小学校4年生~6年生の児童を対象に,友人に対する被援助志向性と学級の他の児童からの承認及び被侵害体験の関連を明らかにすることを目的とする。子どもが教師やカウンセラーなどの援助者にどのように援助を求めるかは援助要請研究の文脈で研究が実施され様々な研究が蓄積されている。例えば,いじめ被害の場合,被害児童が友人に援助を求めることは難しい(永井,2009;Shute,2011)。しかし,教師が援助的であれば子どもは教師に援助を求めるという指摘もある(Eliot et al.,2010, 山中・平井,2013)。
一方で,子どもが援助を求めるかは,児童個人の被援助志向性だけでなく,学級の状態も影響すると考えられる。学級が援助的であれば,いじめも少ないという指摘もある(河村,2007)。それは,学級の友人が援助的であるためにいじめそのものが起こりにくいか,いじめが起こっても適切な援助を得られる可能性があるためであろう。現在までに小学生の友人に対する被援助志向性と学級適応・いじめの被害感との関連は検討されていない。そこで本研究では,友人に対する被援助志向性と子どものソーシャルスキル,スクールモラールが子どもの適応や被害感にどのような影響を及ぼすか明らかにする。
【方法】
1)対象者 2012年7月及び2013年7月に関西地区の小学生4年生から6年生,869名を対象に調査を実施した。分析には欠損値のない787票を用いた。
2)測定尺度 ①友人に対する被援助志向性尺度(Mizuno et al., 2013),②ソーシャルスキル尺度(河村,2001),③学校生活意欲(スクールモラール)尺度(河村・田上,1997),④学校生活満足度尺度(河村・田上,1997)。
【結果と考察】
尺度は因子構造が確認された。友人に対する被援助志向性は5項目1因子構造であった。被侵害尺度は,顕在的な攻撃被害と潜在的な攻撃被害の2因子を検討することが目的であったので,2因子を指定し因子分析を行い,<顕在的攻撃被害>,<潜在的攻撃被害>の2つの因子が抽出された。
変数の関連は共分散構造分析モデルで検討された。モデルはソーシャルスキルがスクールモラール,被援助志向性に影響を示し,それが学級適応を予測するとした。
承認得点については,ソーシャルスキルがスクールモラールを高め,学級や友人のスクールモラールが承認得点を高めていた。友人に対する被援助志向性も承認得点を高めていた。被侵害尺度の二つの因子のモデルは,Figure 1,Figure 2に示したとおりである。スクールモラールのみならず友人に対する被援助志向性も<顕在的攻撃被害><潜在的攻撃被害>に負の影響を示した。このことから友人に対する被援助志向性は被侵害感情と関連する可能性が指摘された。
本研究では,小学校4年生~6年生の児童を対象に,友人に対する被援助志向性と学級の他の児童からの承認及び被侵害体験の関連を明らかにすることを目的とする。子どもが教師やカウンセラーなどの援助者にどのように援助を求めるかは援助要請研究の文脈で研究が実施され様々な研究が蓄積されている。例えば,いじめ被害の場合,被害児童が友人に援助を求めることは難しい(永井,2009;Shute,2011)。しかし,教師が援助的であれば子どもは教師に援助を求めるという指摘もある(Eliot et al.,2010, 山中・平井,2013)。
一方で,子どもが援助を求めるかは,児童個人の被援助志向性だけでなく,学級の状態も影響すると考えられる。学級が援助的であれば,いじめも少ないという指摘もある(河村,2007)。それは,学級の友人が援助的であるためにいじめそのものが起こりにくいか,いじめが起こっても適切な援助を得られる可能性があるためであろう。現在までに小学生の友人に対する被援助志向性と学級適応・いじめの被害感との関連は検討されていない。そこで本研究では,友人に対する被援助志向性と子どものソーシャルスキル,スクールモラールが子どもの適応や被害感にどのような影響を及ぼすか明らかにする。
【方法】
1)対象者 2012年7月及び2013年7月に関西地区の小学生4年生から6年生,869名を対象に調査を実施した。分析には欠損値のない787票を用いた。
2)測定尺度 ①友人に対する被援助志向性尺度(Mizuno et al., 2013),②ソーシャルスキル尺度(河村,2001),③学校生活意欲(スクールモラール)尺度(河村・田上,1997),④学校生活満足度尺度(河村・田上,1997)。
【結果と考察】
尺度は因子構造が確認された。友人に対する被援助志向性は5項目1因子構造であった。被侵害尺度は,顕在的な攻撃被害と潜在的な攻撃被害の2因子を検討することが目的であったので,2因子を指定し因子分析を行い,<顕在的攻撃被害>,<潜在的攻撃被害>の2つの因子が抽出された。
変数の関連は共分散構造分析モデルで検討された。モデルはソーシャルスキルがスクールモラール,被援助志向性に影響を示し,それが学級適応を予測するとした。
承認得点については,ソーシャルスキルがスクールモラールを高め,学級や友人のスクールモラールが承認得点を高めていた。友人に対する被援助志向性も承認得点を高めていた。被侵害尺度の二つの因子のモデルは,Figure 1,Figure 2に示したとおりである。スクールモラールのみならず友人に対する被援助志向性も<顕在的攻撃被害><潜在的攻撃被害>に負の影響を示した。このことから友人に対する被援助志向性は被侵害感情と関連する可能性が指摘された。