[PE044] 試験でヤマが当たるのは運が良いからなのか?(その3)
キーワード:試験, 運, 努力
問題と目的
竹綱ら(2013)は「試験でヤマが当たるのは運が良いからなのか」という問題を検討するために、国名-地名の50ペア(例えば、アイルランド-キルベガン、アメリカ-ランズデールのような実験参加者が未知のものからなる)の対連合学習課題印字した用紙を参加者に配布し、1週間後にその内の10ペアの地名を出題し、それぞれの国名を答える形式で試験を実施する旨を伝え、そのように実施した。その結果、成功群(試験平均点4.3点)の50ペア学習の平均点(事前の努力量を反映している指標)が15.7点であり、失敗群(試験平均点は0.6点)が3.9点であったことから、試験準備を十分にするほど試験で良い成績(ヤマが当たる)であることがわかった。また、成功群においては、50ペア学習と努力帰属の間に有意な正の相関(r=.88)があり、運帰属得点と間の相関はr=0だった。一方、失敗群においては、50ペア学習と運帰属の間に有意な正の相関(r=.40)があり、努力帰属とは有意な相関はみられなかった。つまり、試験の準備を十分にして成功した人はヤマが当たったのは努力したからであり、運は関係がないと考え、十分な準備でをしながらヤマがはずれた人は運が悪かったと考えることが明らかになった。
しかしながら、実験参加者である大学生にとって、国名-地名のリストを持ち帰り自宅で学習する課題にどの程度の意味と動機づけを持っていたかは疑問である。本研究の目的は、実験参加者が自我関与でき、ある程度の学習動機づけがある課題を用いて、この問題を検討することである。
方法
(参加者)心理学を専攻する大学生41名
(課題)心理学の専門用語の英語-日本語250ペアの対連合学習。
(手続き)2013年6月の授業時に、心理学の専門用語の英語-日本語250ペアを印刷した冊子を配布し、9月に250ペアから選んだ50題からなる試験を英語を出題し日本語を解答する形式で実施し、この成績はこの授業の成績にボーナス点として
加算すると教示した。
そして、予告どおり同年9月に試験を実施した。
試験問題回収後、250ペア全問の問題用紙を配布し15分間の制限時間で解答させた。これは参加者に予告していない手続きであった(参加者の学習量:努力量を測定するため)。1週間後に、50題からなるテスト(1問2点で100点満点)を返却し、平均点(60.2点)を示した後、このテストの成功―失敗評定と原因帰属(能力、運、課題の困難さ、努力)について5段階で評定してもらった。各指標の内容は、(1)全問テストの達成度(0%~100%)、(2)テスト得点(100点満点)、(3)能力、(4)運、(5)課題の困難さ、(6)努力である。成功-失敗評定で3以上の者は成功群(16名)、2以下の者は失敗群(25名)とした。
結果と考察
参加者にとって自我関与の大きい課題においても、(1)テスト得点が(2)達成度(努力量)と高い正の相関(r=.93,n=41)があり、先行研究と同様に、努力するほどヤマが当たることが確認された。成功群および失敗群の各指標の平均値とそれぞれの相関係数は、表1、表2のとおりである。
成功群の低得点者ほど運の良さを高く評定していたこと、失敗群においては達成度の低い者ほど、失敗を運の悪さと努力不足に帰属していることなど、自我関与の高い課題(通常の学校場面での学習課題)固有の興味深い結果が確認された。
竹綱ら(2013)は「試験でヤマが当たるのは運が良いからなのか」という問題を検討するために、国名-地名の50ペア(例えば、アイルランド-キルベガン、アメリカ-ランズデールのような実験参加者が未知のものからなる)の対連合学習課題印字した用紙を参加者に配布し、1週間後にその内の10ペアの地名を出題し、それぞれの国名を答える形式で試験を実施する旨を伝え、そのように実施した。その結果、成功群(試験平均点4.3点)の50ペア学習の平均点(事前の努力量を反映している指標)が15.7点であり、失敗群(試験平均点は0.6点)が3.9点であったことから、試験準備を十分にするほど試験で良い成績(ヤマが当たる)であることがわかった。また、成功群においては、50ペア学習と努力帰属の間に有意な正の相関(r=.88)があり、運帰属得点と間の相関はr=0だった。一方、失敗群においては、50ペア学習と運帰属の間に有意な正の相関(r=.40)があり、努力帰属とは有意な相関はみられなかった。つまり、試験の準備を十分にして成功した人はヤマが当たったのは努力したからであり、運は関係がないと考え、十分な準備でをしながらヤマがはずれた人は運が悪かったと考えることが明らかになった。
しかしながら、実験参加者である大学生にとって、国名-地名のリストを持ち帰り自宅で学習する課題にどの程度の意味と動機づけを持っていたかは疑問である。本研究の目的は、実験参加者が自我関与でき、ある程度の学習動機づけがある課題を用いて、この問題を検討することである。
方法
(参加者)心理学を専攻する大学生41名
(課題)心理学の専門用語の英語-日本語250ペアの対連合学習。
(手続き)2013年6月の授業時に、心理学の専門用語の英語-日本語250ペアを印刷した冊子を配布し、9月に250ペアから選んだ50題からなる試験を英語を出題し日本語を解答する形式で実施し、この成績はこの授業の成績にボーナス点として
加算すると教示した。
そして、予告どおり同年9月に試験を実施した。
試験問題回収後、250ペア全問の問題用紙を配布し15分間の制限時間で解答させた。これは参加者に予告していない手続きであった(参加者の学習量:努力量を測定するため)。1週間後に、50題からなるテスト(1問2点で100点満点)を返却し、平均点(60.2点)を示した後、このテストの成功―失敗評定と原因帰属(能力、運、課題の困難さ、努力)について5段階で評定してもらった。各指標の内容は、(1)全問テストの達成度(0%~100%)、(2)テスト得点(100点満点)、(3)能力、(4)運、(5)課題の困難さ、(6)努力である。成功-失敗評定で3以上の者は成功群(16名)、2以下の者は失敗群(25名)とした。
結果と考察
参加者にとって自我関与の大きい課題においても、(1)テスト得点が(2)達成度(努力量)と高い正の相関(r=.93,n=41)があり、先行研究と同様に、努力するほどヤマが当たることが確認された。成功群および失敗群の各指標の平均値とそれぞれの相関係数は、表1、表2のとおりである。
成功群の低得点者ほど運の良さを高く評定していたこと、失敗群においては達成度の低い者ほど、失敗を運の悪さと努力不足に帰属していることなど、自我関与の高い課題(通常の学校場面での学習課題)固有の興味深い結果が確認された。