The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PE

(501)

Sat. Nov 8, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 501 (5階)

[PE089] 高校生の睡眠に関する研究

スリープマネジメントの視点から

坂本理香 (学校法人嶺南学園 敦賀気比高等学校)

Keywords:睡眠習慣, スリープマネジメント, 心理社会的適応

【問題と目的】
心身の健康や脳機能のためには,睡眠の量的側面のみでなく,睡眠の規則性についての認識を高める必要がある(田中・古谷,2006)。また,高校生の適正な睡眠を阻害する要因は多岐にわたっており,睡眠習慣への行動変容を促すためには,画一的な指導では,功をなさない可能性がある。よって本研究では,高校生の睡眠習慣が心理社会的適応にどのように関わっているのかを検討し、効果的なスリープマネジメントのポイントを探ることを目的とする。
【方法】
〈調査時期〉2012年6月
〈調査対象〉F県の全日制高校普通科の534名
男子298名(1年83名,2年114名,3年101名)
女子236名 (1年78名,2年 79名,3年 79名)
〈調査内容〉
1.生活習慣チエックリスト・学生版(田中,2006)
睡眠習慣と生活行動の自己チエック票
項目は(Table 1)に示す。睡眠習慣について,
すでにできている(2点)がんばればできそう
(1点)できそうにない(0点)と配点した。
2.心の健康を把握する4指標(文部科学省,2002)
○自己効力感○問題行動○不安傾向○身体的訴え
(心理社会的適応因子)4件法で回答を求め,点数が高いほど,その傾向が顕著であるように配点し,下位尺度の平均値を得点とした。
〈倫理的配慮〉
名古屋大学大学院教育発達科学研究科
研究倫理委員会の承認を得た。
【結果と考察】
睡眠習慣の達成度による心理社会的適応の4因子
の得点の相違を検討するため,睡眠習慣を独立変数,自己効力感,問題行動,不安傾向,身体的訴えを従属変数とする分散分析を行った。その結果,有意な群間差がみられ,TukeyのHSD法による多重比較を行った。その結果の一部をTable2に示す。
決まった時刻に起きる,休日も起床時刻がずれないようにする等,睡眠の規則性が身についている者はできていない者に比して,自己効力感が高く,問題行動,不安傾向,身体的訴えが低かった。就床時の携帯電話使用は問題行動を高めていたが,他の因子に有意差はなく,午前0時までの就寝も自己効力感以外に有意差がなかった。就床時の携帯電話の使用や,就寝時刻の遅延は,心身の健康阻害要因とされるが,睡眠の規則性はそれ以上に心理社会的適応に重要であることが示唆された。