日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PF

(501)

2014年11月8日(土) 16:00 〜 18:00 501 (5階)

[PF096] 中学生の時間的展望と進路選択自己効力

進路成熟度別比較

吉中淳1, 矢田智美 (弘前大学)

キーワード:中学生, 時間的展望, 進路成熟度

Ⅰ問題と目的
キャリア教育に関する基礎的・汎用能力の一つとして「キャリアプランニング能力」が挙げられているように、中学生においても将来のことを考えることは重要である。本研究では、「時間的展望」を中長期的に将来のことを考えることとして捉え、また、「進路選択自己効力感」を比較的具体的な進路課題に対する自信として捉える。そして、進路成熟度の高低によって、時間的展望の持ち方と、進路選択自己効力感との関連の有り様がどのように異なるかを検討する。

Ⅱ方法
1)対象者
青森県H市にある公立中学校の2年生を対象にして、2013年7月上旬に質問紙を配布した。調査対象者数は、男子98名、女子94名、総数192名であった。
2)質問項目
(1)進路成熟態度尺度
CMAS-4(坂柳・竹内,1986)を用いた。この尺度は進路成熟を、進学に関する教育的進路成熟と職業的進路成熟の2側面を分け、それぞれにおいて、進路自律度、進路計画度、進路関心度の3分野について測定する。各下位尺度は5項目から構成され、3件法で回答を求める。
(2)時間的信念尺度
時間的信念尺度(白井,1991)を用いた。時間的信念とは、現在の行為と個人の未来の関係についての認知を問題としている。質問は、将来無関心(3項目)、現在重視(3項目)、満足遅延(3項目)の12項目で、賛成~反対の5件法で尋ねた。
(3)時間的展望体験尺度
白井(1994)の時間的展望体験尺度を用いた。もとの尺度は、目標指向性(5項目)、希望(4項目)、現在の充実感(5項目)、過去受容(4項目)の4領域18項目で構成されていた。本研究では、「過去受容」の領域を除き、3領域14項目で実施した。各質問項目へは、5件法で回答させた。
(4)進路課題自信尺度
坂柳・清水(1990)の進路課題自信尺度12項目を用いた。中学生の進路に対する自己効力感を「教育的」「職業的」「人生的」進路課題の3側面から測定する。各領域4つの課題項目(①情報収集、②目標と計画、③決定、①適応)を提示し、5件法で回答させた。

Ⅲ結果と考察
主因子法・バリマックス回転による因子分析の結果、時間的信念は「将来無関心」「将来と現在の関連づけ」の2因子に、時間的展望体験は「目標指向性」「希望」「現在充実」「現状肯定」の4因子に、進路課題自信尺度は1因子(α=.90)にそれぞれ分解された。進路課題自信尺度を被説明変数にしてステップワイズ法による重回帰分析を行った。


将来無関心因子と現状肯定因子は有意な関連が見られなかった。進路成熟度の関心度・計画性の高さで群分けして検討すると、現状肯定因子はいずれも有意ではなく、将来無関心因子は、教育的計画度・関心度の低群でのみ有意(β=-.275,-.181)。現在充実因子は、職業的計画度、教育的計画度・関心度の高群でのみ有意(β=.264,.187,.311)であった。また将来と現在の関連づけ因子は教育的社会的関心度の高い群では有意差が見られず、また、目標指向性因子は教育的・職業的計画度の低い群では有意差が見られなかった。有意差の出ない主な要因は天井効果・フロア効果によるものであり、将来と現在の関連づけや目標指向が進路選択自己効力に対して前提条件的な影響を持つことが示唆された。