日本教育心理学会第56回総会

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ポスター発表 PG

(5階ラウンジ)

2014年11月9日(日) 10:00 〜 12:00 5階ラウンジ (5階)

[PG040] こだわり行動の自我発達的意義と教育的支援の在り方に関する研究(2)

矢野正 (城星学園小学校)

キーワード:こだわり行動, 自我発達, 教育的支援

【目 的】
本研究は,障害の特性のなかでも,こだわり行動に着目し,自我発達の観点からその重要性について論じていくことを目的とする。本論考は,幼児期ならびに障害児のこだわり行動を自我発達心理学的な立場から研究しつつ,その教育的支援の新たなる視座を得ようと試みるものである。研究の方法としては,主に先行文献による研究と,保育現場における参与観察を中心に行う。
こだわり行動に関する研究の動向を踏まえ,保育園や幼稚園での幼児期の子どもを観察することを通して,自閉症児や幼児について,自我発達心理学的研究では特に事例検討・事例研究を通して,こだわり行動を意味づけ,新たな教育的支援の方策・方向性を提起していきたいと考える。
【本論の構成ならびに立場】
 本論で終始問題とするのは,障害特性ならびに幼児期におけるこだわり行動の問題である。本論は,全体を5章で構成しようと考える。第Ⅰ章「特別支援教育とこだわり行動」では,こだわり行動に関する用語の定義をまず提示し,こだわり行動に関する研究の動向を概観するとともに,特別支援教育や障害児発達支援におけるこだわり行動がどのように位置づけられてきたかを明確にしたい。1.「特別支援教育と自閉症児のこだわり行動」では,特別支援教育の中でも,自閉症児に特にみられるこだわり行動というものが障害特性としてどのように扱われてきたか,その諸見解について述べる。2.「こだわり行動に対する教育的支援の現状と課題」では,特別支援教育におけるこだわり行動に対する教育的支援や発達支援の現状と課題について整理し,概観することによってその諸課題を明らかにする。つぎに,第Ⅱ章「自閉症児にみられるこだわり行動」では,第Ⅰ章での論究を踏まえて,自閉症児の障害特性の一つであるこだわり行動について,詳細な検討を試みる。自閉症の特徴的行動であるこだわり行動は,社会に適応することができないという行動障害(不適応行動)であるとの研究結果が,多く出されている。1.「自閉症児のこだわり行動の特徴」では,発達障害児のなかでも自閉症児のこだわり行動の特徴について,どのように扱われ,またその支援がどのように取り組まれてきたか,その諸見解について述べたい。2.「事例による検討」では,発達障害児のこだわり行動について,1.で示されたことなどを踏まえ,3歳児クラスから障害児認定を受けて5歳児クラスまでを,縦断的なコーホートによる事例的研究において詳細に行う。事例ケースの研究の結果,こだわり行動の持つ意味がより明らかとなり,本論考においてこだわり行動というものが個の持ち味や正のエネルギーとして自我発達の観点から論じられるものであることを,さらに明確にして論考を重ねてゆく。第Ⅲ章の「幼児期にみられるこだわり行動」では,一般的に認められる幼児期のこだわり行動について,ここで検討を試みるつもりである。第Ⅴ章では,「こだわり行動研究からの特別支援教育の新たな展望」と題して,こだわり行動研究からみえてくる,今後の特別支援教育やインクルーシブ教育の新たな展望について総括し,教育実践に還元できるような提言を行い,本論のまとめとしたい。今後広がっていくであろう,インクルーシブ教育システムの在り方やその構築について論考を行う。
なお,ポスター発表の当日には,これまでの研究成果を踏まえて,さまざまな議論をより発展的に尽くしていたいと考えている。
【参考文献】
守屋國光 1976 発達人間学序説 垣内出版株式会社
※本研究は,平成24~25年度大阪女子短期大学地域子育て支援研究プロジェクトの研究費の助成を受けて行われたものである。