[PG051] 大学生の学部選択における専門性の考慮と学習動機との関連について
キーワード:大学生, 学習動機, 学部選択
【はじめに】
ベネッセ教育研究開発センター(2012)による高校生を対象とした進路意識の調査において,大学に進学した際勉学に力を入れたいと答えた生徒は半数近くであり,また大学進学後の方向性を入学後に決めたいとした生徒も同様に半数近くであった。また武内(2009)は,かつての「大学における学習の基本は個人の自主性にある」といった考え方は,現在「学習即ち大学の授業である」といった形に変化してきていると主張しており,また尾崎・杉浦・溝上(2003)は,大学をどの様な場として捉えているかによって授業や学業への意欲が異なる事を示唆している。そのため入学時の各々の意識の相違は在学中の授業意欲を規定する事が想定される。
そこで本研究では,大学進学の際に学部を選択した理由が,現在の学習への動機づけをどの程度規定するものであるか推察する事を目的とした。
【調査方法】
1.調査方法
都内のA大学に所属する大学生230名を対象としてアンケート調査を実施し,男性 111名,女性76名の計187名から回答を得た。(回収率81.3%)その中より完全回答者を選別し,最終的に男性75名,女性65名の計140名を分析対象とした。
2.質問項目
(1)学習への動機づけ
西村・河村・櫻井(2011)の自律的学習動機尺度を,大学生用に一部変更して使用した。4因子で全20項目,4件法。
(2)学部の選択理由
入学した学部を選択する事になった理由を自由記述により求めた。
【結果】
はじめに,学部の選択理由についてKJ法を用い,①専門性に関する目的とした選択(専門的な勉強がしたい,特定の職に就きたい等),②その他の理由(合格したから等)の2グループに分類した。
次にこのグループを独立変数として対応のないt検定をおこなった結果,同一化的調整について有意差が,及び内的調整について有意傾向がみられた。(Table1)
【考察】
今回の調査では内的調整ならびに同一化的調整の得点について,専門性に関する目的によって学部を選択したと想定される群が有意に高いとみられる結果となった。西村・河村・櫻井(2011)の研究では,内的調整は興味・楽しさに基づく,同一化的調整は活動の価値を認識して受け入れる状態による動機づけと定義されており,その双方が有意であった理由として,学部選択時の理由が専門性を有する大学での授業の学習動機に直接結びついている為であると考えられる。西村・河村・櫻井(2011)や藤原(2005)等は,自己決定理論の観点から,自律的視点による動機づけの近いものは相関が高い構造となる事を研究内で示しており,今回の結果は高自律的な得点において有意差が出たものと考えられる。
なお今回の分析では,分析対象の人数の都合上学部選択理由を2グループとして分類しており,今後より詳細に分類した分析が必要であると考えられる。
ベネッセ教育研究開発センター(2012)による高校生を対象とした進路意識の調査において,大学に進学した際勉学に力を入れたいと答えた生徒は半数近くであり,また大学進学後の方向性を入学後に決めたいとした生徒も同様に半数近くであった。また武内(2009)は,かつての「大学における学習の基本は個人の自主性にある」といった考え方は,現在「学習即ち大学の授業である」といった形に変化してきていると主張しており,また尾崎・杉浦・溝上(2003)は,大学をどの様な場として捉えているかによって授業や学業への意欲が異なる事を示唆している。そのため入学時の各々の意識の相違は在学中の授業意欲を規定する事が想定される。
そこで本研究では,大学進学の際に学部を選択した理由が,現在の学習への動機づけをどの程度規定するものであるか推察する事を目的とした。
【調査方法】
1.調査方法
都内のA大学に所属する大学生230名を対象としてアンケート調査を実施し,男性 111名,女性76名の計187名から回答を得た。(回収率81.3%)その中より完全回答者を選別し,最終的に男性75名,女性65名の計140名を分析対象とした。
2.質問項目
(1)学習への動機づけ
西村・河村・櫻井(2011)の自律的学習動機尺度を,大学生用に一部変更して使用した。4因子で全20項目,4件法。
(2)学部の選択理由
入学した学部を選択する事になった理由を自由記述により求めた。
【結果】
はじめに,学部の選択理由についてKJ法を用い,①専門性に関する目的とした選択(専門的な勉強がしたい,特定の職に就きたい等),②その他の理由(合格したから等)の2グループに分類した。
次にこのグループを独立変数として対応のないt検定をおこなった結果,同一化的調整について有意差が,及び内的調整について有意傾向がみられた。(Table1)
【考察】
今回の調査では内的調整ならびに同一化的調整の得点について,専門性に関する目的によって学部を選択したと想定される群が有意に高いとみられる結果となった。西村・河村・櫻井(2011)の研究では,内的調整は興味・楽しさに基づく,同一化的調整は活動の価値を認識して受け入れる状態による動機づけと定義されており,その双方が有意であった理由として,学部選択時の理由が専門性を有する大学での授業の学習動機に直接結びついている為であると考えられる。西村・河村・櫻井(2011)や藤原(2005)等は,自己決定理論の観点から,自律的視点による動機づけの近いものは相関が高い構造となる事を研究内で示しており,今回の結果は高自律的な得点において有意差が出たものと考えられる。
なお今回の分析では,分析対象の人数の都合上学部選択理由を2グループとして分類しており,今後より詳細に分類した分析が必要であると考えられる。