The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PG

(5階ラウンジ)

Sun. Nov 9, 2014 10:00 AM - 12:00 PM 5階ラウンジ (5階)

[PG060] 中学校1学年時の運動頻度が2学年時の学業成績に与える影響

中島寿宏1, 山津幸司2, 森田憲輝3 (1.北海道科学大学, 2.佐賀大学, 3.北海道教育大学)

Keywords:運動頻度, 学業成績, 学力

研究の目的
子どもたちの学力について多くの研究者や教育関係者が運動との関わりを検討しており(Hillman et al., 2008),これまでの報告では運動習慣と学力の間の関連が指摘されている.近年,学校における各教科の成績評定を実際的な学力を表す指標として用いて,子どもの身体活動と学力についての関係が報告されている(Syvaoja et al., 2013).しかし,多くの報告では横断的なデータが分析の中心となっている.
そこで本研究では,中学生を対象に,1年時から2年時まで追跡調査を行い,1年生時の運動頻度が,2年生時の学業成績指標(8教科:国語,数学,社会,理科,音楽,美術,技術/家庭)の合計評定にどのような差異を生じさせるかを検証した.
方法
対象者は北海道内の公立中学校に通う2012年度1年生163名(男子91名,女子72名)であった.本研究では1週間の運動日数を運動頻度の指標として用いることとし,1学年時の10~11月に質問紙により調査を実施し,運動頻度高群(6-7日/週),運動頻度中群(3-5日/週),運動頻度低群(0-2日/週)の3群に分類した.学業成績指標は,2学年時(2013年度)の2学期または後期期末成績の保健体育を除く8教科(国語・社会・数学・理科・英語・音学・美術・技術/家庭)の合計評定(8~40点)を用いた.運動頻度区分を独立変数,8教科合計評定を従属変数とした.また,学業成績との関係が示されている生徒の性別,母親の学歴,世帯年収を共変量として共分散分析により解析した.有意水準は5%未満とした.

結果
共分散分析を用いた解析結果を図に示した(F(2. 16) = 7.22, p<.01).Bonferoniの多重比較の結果では,運動頻度中群の評定合計(n=36,29.7+/-1.0)が,運動頻度低群(n=32, 24.1+/-8.17)よりも有意に高いことが示された.また,運動頻度高群の評定合計(n=95,28.4+/-8.1)が運動頻度低群よりも有意に高い値であった.運動頻度高群と運動頻度中群では有意な差がみられなかった.
考察
調査の結果,中学1年生時の運動頻度は,2年生時の学業成績に影響していることが示唆された.特に,運動習慣と学業成績の関係に強い影響が考えられる,性別,母親の学歴,世帯年収という交絡要因を除外しての結果であり,運動習慣が学業成績に影響する独立した因子となる可能性を示す.このことから,中学生の日常での運動参加は,知識や技能だけではない総合的学力への向上に強くかかわっていることが示唆された.
付記
本研究の一部は文部科学省科学研究費補助金挑戦的萌芽研究(代表:佐川正人)および基盤研究C(代表:山津幸司)により行われた.