The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

Presentation information

ポスター発表 » ポスター発表 PG

ポスター発表 PG

(501)

Sun. Nov 9, 2014 10:00 AM - 12:00 PM 501 (5階)

[PG075] 非連続型テキストを含む文書の読解の様相

小学3年生について

中村光伴1, 岸学2 (1.熊本学園大学, 2.東京学芸大学)

Keywords:非連続型テキスト, 読解, 眼球運動

 非連続型テキストを含む文書の読解に関しては,読み方に関する指示をおこなうことで内容理解が促進されること,図の内容に適した読み方により内容理解が促進されることが明らかとなった(岸ら,2011など)。しかし,文章部分のみに読みが集中したり,有効な読み方を指示されてもしないなど,非連続型テキスト部分の読み方には個人差が存在する(中村ら,2009など)。ただし,これらは成人を対象に行われたもので,非連続型テキストの読解方略がどのように発達し,学習・獲得されるのかは明らかではない。そこで教科書において使用される非連続型テキストの種類が増えてくる小学3年生を対象に,児童の読解の様相を明らかにすることを目的とした。
【方法】
実験協力者:裸眼で視力良好である同じ小学校に通う小学3年生3名であった。これまでに所属したクラスが異なるため,教科指導にて教科書の読み方について共通した指導は受けていない。
実験材料:呈示課題は,非連続型テキストと本文との関係とそのレイアウトにより,小学校社会科3・4年教科書から4課題,小学校情報科3・4年教科書から2課題を選出した。各課題の各非連続型テキストは,本文に対するその役割により3分類される(本文重複,本文補足,非関連)。なお,非連続型テキストの配置,数,役割は課題ごとに異なる。
理解度テスト:各課題の読解の程度確認をするため内容正誤判断の形式で課題ごとに4問実施した。
手続き:協力者には,CRT上の呈示課題を読んで理解してもらうよう教示し,読解時の眼球運動を測定した(読解時間の制限なし)。読解後,理解度テストを実施した。実験は1回につき,2課題ずつ休憩をはさみ実施した(30分程度)。これらを1セッションとし,期間をあけ3回,計6課題実施した。
【結果と考察】
結果の処理:理解度テストの結果,全課題で平均点が3点以上であり,すべての協力者は課題内容の理解ができていたと考えられる。
児童の読み方の様相:眼球運動の履歴から参照順序を分析したところ、課題Ⅰ~Ⅳ(いずれも社会)において,主な読み方を2つに分類できた。
パターン①:図(インパクトのある挿絵,大きな図)⇒本文⇒関連した図を参照…(繰り返し)…本文⇒まとめて直接関連しない残りの図表を参照
パターン②:図(インパクトのある挿絵,大きな図)⇒本文⇒関連した図を参照…(繰り返し)…本文⇒サイズの小さな図表は参照しない
共通していたのは,最初にキャラクターの挿絵やサイズの大きな図を参照し,その後本文を読み進めていた点である。しかし,②のようにサイズが小さく,コラムなど本文と関係しない情報は参照しない者も存在した。また,本文直後に関連する図を配置した場合(課題Ⅴ:情報),レイアウト通りに本文と図の読解を進めていた。しかし,社会科教科書とは異なるレイアウトで非連続型テキストが本文の周りを囲む課題Ⅵ(情報:図1)では,読解時の参照の仕方がバラバラであり,他の課題とは異なる読み方の様相を見せた。この課題には大サイズの図表がなく,他の課題のように“大きな図=本文に関係する重要な情報”といった紙面内での図のサイズを手掛かりとした読み方ができなかったためと考えられる。このように小学3年生ではその読解が非連続型テキストのサイズやレイアウトに大きく影響されている。