[PG081] 保育所実習において学生が抱く感情についての調査研究Ⅰ
保育実習Ⅰを中心に
Keywords:保育実習, 感情体験, 半構造化面接
Ⅰ 調査の目的
佐藤ら(2008)は,老年看護学実習において,学生の印象に残った場面での感情を焦点化し,快の感情である「喜び」などが全体の6割をしめ,快の感情が患者へ積極的に関わるための動機付けとなっていることを示した。一方,保育領域においては,不安感や困難感に焦点をあてた調査研究が多く見受けられるものの,快の感情を含めた感情体験に言及したものは少ない。
そこで,本研究では,保育所実習に参加した学生を対象に,ネガティブな感情およびポジティブな感情を抱いたエピソードについて聞き取り調査を行い,学生の印象に残った場面での感情体験について検討した。
Ⅱ 方法
(1) 調査対象:2013年8月下旬から9月上旬にかけて,はじめての保育所実習(2週間)に参加した大学2年生女子20名。
(2) 調査期間:2013年10月。
(3) 調査手続き:半構造化面接により,1人につき約20分の聞き取り調査を実施した。「ネガティブな感情」として,実習中に「困った」,「不安・心配だった」,「戸惑った」と感じた出来事(エピソード)は何かについて尋ねた。つぎに「ポジティブな感情」として「楽しい」,「嬉しい」,「幸せ」だと感じた出来事は何かについて尋ねた。
この面接によって,20名の学生から全部で261件(1人平均約13件)のエピソードを得た。
Ⅲ 結果と考察
藤塚(2013)の示した,保育実習における「実習内容の項目」を2名の研究者がKJ法によって分類・整理し,9項目を得た。つぎに,半構造化面接によって得られたネガティブおよびポジティブな感情を抱いたエピソードが,どの項目に当てはまるかを評定・分類した(表1)。その結果,「困った」,「不安・心配だった」,「戸惑った」などネガティブな感情につながるエピソードは,「a.保育士の指導や態度」25件(21%)をはじめとして,aからdまでの各カテゴリーに,比較的まんべんなく見られた。その一方「楽しい」,「嬉しい」,「幸せ」などポジティブな感情については,「c.特定の場面での子どもとの関わり」が78件(59%)と突出していた。具体的には「子どもが自分の名前を覚えてくれた」,「一緒に絵本を読んだ」など,子どもとの日常的な関わりの中でポジティブな感情を抱き,初めての実習における大きな動機付けとなっていることがうかがわれる結果となった。
佐藤ら(2008)は,老年看護学実習において,学生の印象に残った場面での感情を焦点化し,快の感情である「喜び」などが全体の6割をしめ,快の感情が患者へ積極的に関わるための動機付けとなっていることを示した。一方,保育領域においては,不安感や困難感に焦点をあてた調査研究が多く見受けられるものの,快の感情を含めた感情体験に言及したものは少ない。
そこで,本研究では,保育所実習に参加した学生を対象に,ネガティブな感情およびポジティブな感情を抱いたエピソードについて聞き取り調査を行い,学生の印象に残った場面での感情体験について検討した。
Ⅱ 方法
(1) 調査対象:2013年8月下旬から9月上旬にかけて,はじめての保育所実習(2週間)に参加した大学2年生女子20名。
(2) 調査期間:2013年10月。
(3) 調査手続き:半構造化面接により,1人につき約20分の聞き取り調査を実施した。「ネガティブな感情」として,実習中に「困った」,「不安・心配だった」,「戸惑った」と感じた出来事(エピソード)は何かについて尋ねた。つぎに「ポジティブな感情」として「楽しい」,「嬉しい」,「幸せ」だと感じた出来事は何かについて尋ねた。
この面接によって,20名の学生から全部で261件(1人平均約13件)のエピソードを得た。
Ⅲ 結果と考察
藤塚(2013)の示した,保育実習における「実習内容の項目」を2名の研究者がKJ法によって分類・整理し,9項目を得た。つぎに,半構造化面接によって得られたネガティブおよびポジティブな感情を抱いたエピソードが,どの項目に当てはまるかを評定・分類した(表1)。その結果,「困った」,「不安・心配だった」,「戸惑った」などネガティブな感情につながるエピソードは,「a.保育士の指導や態度」25件(21%)をはじめとして,aからdまでの各カテゴリーに,比較的まんべんなく見られた。その一方「楽しい」,「嬉しい」,「幸せ」などポジティブな感情については,「c.特定の場面での子どもとの関わり」が78件(59%)と突出していた。具体的には「子どもが自分の名前を覚えてくれた」,「一緒に絵本を読んだ」など,子どもとの日常的な関わりの中でポジティブな感情を抱き,初めての実習における大きな動機付けとなっていることがうかがわれる結果となった。