[PH035] 理学療法士学生の国家試験対策における学習動機づけ
最終学年を対象とした時系列調査より
キーワード:学習動機づけ, 原因帰属, 対処行動
[目的]近年,学生の学習意欲の低下が目立っている。この問題は国家試験対策にも顕著にあらわれている。そこで,本研究では国家試験に向かうにつれて学習動機づけに変化がみられるか,また学習動機づけタイプによって,学習行動や学習成果がどのように異なるかを探索する。
[方法]理学療法士養成校A短期大学の最終学年38名を対象に,国家試験対策を開始する9月以降の学習状況について,9月,12月,2月に質問紙調査を行った。質問項目は,学習動機づけを自己決定理論によってタイプ分類するもの,模擬試験に対する原因帰属や学習上のつまずきへの対処など5項目を実施した。
[結果]各調査時期における動機づけタイプの個人内の変化は,3つの時期ともに同一の者は13名,変化のあった者は25名であった。動機づけタイプによる学習行動や学習成果を以下に示す。
合格の自信は,12月のみ,取り入れ的調整が外的調整よりも有意に高かった。動機づけタイプにかかわりなく,個人の半年間の自信の変化をみると2月が9月,12月よりも有意に高かった。
模擬試験の出来具合や,出来具合に対する原因帰属の比較では,いずれの月においても動機づけタイプによる有意差はみられなかった。
学習上のつまずきへの対処行動の比較では,2月の「ふさぎこんだ」でのみ,外的調整が同一化的調整や内発的動機づけよりも有意に高かった。
動機づけと模擬試験成績の関連については,2月に内発的動機づけがやや良い傾向を示した。
動機づけタイプの個人内の変化と模試成績の関連をみるために,9月から12月,及び,12月から2月の2つの期間において,動機づけタイプがより外的調整に近づいた者を「他律化群」,動機づけタイプに変化がなかった者を「変化なし群」,動機づけタイプが内発的動機づけに近づいた者を「自律化群」とし,群比較を行った。群にかかわらず,国家試験に近づくほど模試成績は有意に増加した。
得点の伸び率が高かった上位10名の2月時点の動機づけは,外的調整が2名・取り入れ的調整が1名,同一化的調整が3名,内発的動機づけが4名であった。自律的な動機づけ(同一化的調整・内発的動機づけ)の方が多かった。
動機づけと合格の関連をみた。今回の調査対象38名のうち,4名が不合格であった。合格者の動機づけタイプには有意な偏りは見られなかった。不合格者の動機づけタイプをみると,2名は一貫して外的調整であった。また,2月の時点では,4名中3名が外的調整であった。
[考察] 国家試験対策という状況下においては,動機づけは一定したものではなく,変化しやすいことが示唆された。
合格に対する自信は,動機づけタイプは関係しなかったが,全体的に月の経過とともに自信が高まるのは,模擬試験の成績上昇が考えられる。
学習に対する動機づけと,学習行動の結果に対する自己評価は,時期にかかわらず関連しないといえる。模擬試験の出来具合が悪かった学生の原因帰属では,どのタイプ,いずれの時期においても,「努力」に帰属する傾向が高い。どのタイプも成績を上げるには,努力しかないと感じており,勉強方法に問題を感じていることがうかがえる。
唯一,動機づけタイプによって差がみられたものに,対処行動がある。「ふさぎこんだ」は,回避・逃避型であり,2月の時点で,外的調整がこれを示した場合は不合格の可能性が大きくなる。
動機づけと模試成績の関連では,内発的動機づけが最後に大きな力が発揮されることがわかった。また,自律的な動機づけで国家試験対策に挑む方が,成績の伸びもよいことがわかった。
[方法]理学療法士養成校A短期大学の最終学年38名を対象に,国家試験対策を開始する9月以降の学習状況について,9月,12月,2月に質問紙調査を行った。質問項目は,学習動機づけを自己決定理論によってタイプ分類するもの,模擬試験に対する原因帰属や学習上のつまずきへの対処など5項目を実施した。
[結果]各調査時期における動機づけタイプの個人内の変化は,3つの時期ともに同一の者は13名,変化のあった者は25名であった。動機づけタイプによる学習行動や学習成果を以下に示す。
合格の自信は,12月のみ,取り入れ的調整が外的調整よりも有意に高かった。動機づけタイプにかかわりなく,個人の半年間の自信の変化をみると2月が9月,12月よりも有意に高かった。
模擬試験の出来具合や,出来具合に対する原因帰属の比較では,いずれの月においても動機づけタイプによる有意差はみられなかった。
学習上のつまずきへの対処行動の比較では,2月の「ふさぎこんだ」でのみ,外的調整が同一化的調整や内発的動機づけよりも有意に高かった。
動機づけと模擬試験成績の関連については,2月に内発的動機づけがやや良い傾向を示した。
動機づけタイプの個人内の変化と模試成績の関連をみるために,9月から12月,及び,12月から2月の2つの期間において,動機づけタイプがより外的調整に近づいた者を「他律化群」,動機づけタイプに変化がなかった者を「変化なし群」,動機づけタイプが内発的動機づけに近づいた者を「自律化群」とし,群比較を行った。群にかかわらず,国家試験に近づくほど模試成績は有意に増加した。
得点の伸び率が高かった上位10名の2月時点の動機づけは,外的調整が2名・取り入れ的調整が1名,同一化的調整が3名,内発的動機づけが4名であった。自律的な動機づけ(同一化的調整・内発的動機づけ)の方が多かった。
動機づけと合格の関連をみた。今回の調査対象38名のうち,4名が不合格であった。合格者の動機づけタイプには有意な偏りは見られなかった。不合格者の動機づけタイプをみると,2名は一貫して外的調整であった。また,2月の時点では,4名中3名が外的調整であった。
[考察] 国家試験対策という状況下においては,動機づけは一定したものではなく,変化しやすいことが示唆された。
合格に対する自信は,動機づけタイプは関係しなかったが,全体的に月の経過とともに自信が高まるのは,模擬試験の成績上昇が考えられる。
学習に対する動機づけと,学習行動の結果に対する自己評価は,時期にかかわらず関連しないといえる。模擬試験の出来具合が悪かった学生の原因帰属では,どのタイプ,いずれの時期においても,「努力」に帰属する傾向が高い。どのタイプも成績を上げるには,努力しかないと感じており,勉強方法に問題を感じていることがうかがえる。
唯一,動機づけタイプによって差がみられたものに,対処行動がある。「ふさぎこんだ」は,回避・逃避型であり,2月の時点で,外的調整がこれを示した場合は不合格の可能性が大きくなる。
動機づけと模試成績の関連では,内発的動機づけが最後に大きな力が発揮されることがわかった。また,自律的な動機づけで国家試験対策に挑む方が,成績の伸びもよいことがわかった。