The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PH

(501)

Sun. Nov 9, 2014 1:30 PM - 3:30 PM 501 (5階)

[PH087] 地域スポーツにおける指導者・仲間・親の関わり(2)

チームを支える保護者同士の人間関係に影響する要因についての探索的検討

大橋恵1, 井梅由美子1, 藤後悦子1 (東京未来大学)

Keywords:地域スポーツ, ハラスメント

はじめに
地域スポーツは,コーチや保護者のボランティアによる関与によって運営されている。そのため,子どもに対するスポーツハラスメント(指導者やチームメイトからの否定的言動)と同様に,その保護者も地域スポーツ活動の中で否定的な経験をしていることが指摘されている(井梅ら,2014)。保護者の言動は子どもに影響するため,チームを支える保護者の精神的健康を支えることも重要であろう。
以上の視点に立ち,本研究では,保護者が地域スポーツの中でどのような否定的な経験をしているのか,そこにどのような要因が影響するのかを探索的に検討した。
方法
調査対象者 インターネット調査会社に委託し,web調査を実施した。小学校4年生~高校生の子どもを持つ父親300名(平均年齢46.9歳,31歳から68歳,SD=5.24),および母親600名(平均年齢44.4歳,29歳から58歳,SD=5.00)を対象に調査を実施した。また,対象者は,小学校時代子どもがスポーツチームに所属している,あるいは過去にしていたことがある人に限定した。
調査項目 a)属性b)他の親からのハラスメント被害に関する質問c) ハラスメント加害, d) 選手本人へのハラスメント被害に関する質問, e) 性格特性(他罰傾向,自尊心,同調傾向),f) 選手・チーム・親自身の競技レベル各1項目,g) 地域スポーツの盛んさ。
結果と考察
尺度の構造を確認するために,因子分析を行い,負荷の高い項目の平均値を使用した。その上で,男女別に重回帰分析を行った(表)。その結果,まず,仲間やコーチから子どもがハラスメントを受けている親は他の親からハラスメントを受ける傾向があった。また,性差が見られた。男性(父親)の場合,指導に口出しする(子どもたちのプレーに対してダメ出しなどをする等)人ほどハラスメント被害を受けていると認知しており,さらに,同調的な人ほど,地域に子供が参加できるスポーツチームがたくさんあるほど,ハラスメント認知が大きかった。一方,女性(母親)の場合,同調的ではない人ほど、関係性攻撃を自分がしている人ほど,ハラスメント認知が大きかったことが明らかになった。興味深いことに,チームや子どもの競技レベルは影響していなかった。
さらに尋ねた自由記述により,保護者たちは地域スポーツに参加させることで子の成長を感じつつも,時間的な制約(忙しくなる、「休日」がなくなる)や選手・コーチ・保護とのトラブルにより否定的なことを多く体験していた。子どもたちが適切にスポーツを通して成長するためには,コーチや選手たちのみならず選手の保護者に対しても啓発活動が急務であろう。