The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PA

Wed. Aug 26, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PA007] 学習意欲を喚起させるコミュニケーションの方法

スケーリングクエスチョンの利用

定金浩一 (大阪産業大学)

Keywords:学習意欲, スケーリングクエスチョン, 面談

1.問題と目的
生徒の学習意欲を喚起させるのはなかなか難しいと言われているが,筆者は,ブリーフ・カウンセリングで学習習慣を身につけさせる面談をしてきた(定金 2004)。その面談では,スケーリングクエスチョンが大変有効であった。
そこで,本研究では,学習意欲を喚起させるコミュニケーションの方法としてスケーリングクエスチョンが利用できることを明らかにすることとした。
2.方法
地方の名門進学校の高等学校教員(31名)と教育心理学を受講している大学生(154人)を対象に,AパターンとBパターンの面談スクリプトを示し,いくつかの質問をした。
Aパターンはよくある進路面談の例で,Bパターンはスケーリングクエスチョンを利用した進路面談例である。

質問内容は,下記の通りである。
問1 今までおこなってきた進路面談は,どちらのパターンですか?(高等学校教員のみ)
問2 どちらのパターンの方が今後勉強をやる気持ちがわきそうですか?
問3 AパターンとBパターンの違いはなんだと思いますか?(記述式)
3.結果
アンケートの結果は,下記の表のようになった。
そして,問3について,高等学校教員は,「Aは教師主導で,生徒のことはわかっていないが,Bは,押し付けでなく,生徒の気持ちを汲みながら面談をしている」などの意見が,また,学生は,「AよりBの方が具体的な内容で話している。また,先生が生徒の今の状況を理解しようとしている」や「Aはやらされている感じがしてやる気が出にくい,Bでは自分でやることを決めさせるので,やりやすい。」と答えている。
4.考察
AパターンとBパターンの大きな違いは,スケーリングクエスチョンを使っているかいないかである。問2の結果から,教員,学生ともBパターンの方が学習意欲を喚起させられると思っている。その意味において,スケーリングクエスチョンが学習意欲の喚起に有効であると推測される。そして,問3からもうかがえるが,スケーリングクエスチョンの技法の中に,自己決定を促していくものが含まれている。自己決定により自己責任感が増すことで,学習意欲の換気に効果があるといえる。また,問1でAと答えた教員も問2ではBと答えている。以上より,学習意欲を喚起させるのに,スケーリングクエスチョンが有効であることが明らかになった。
〈引用・参考文献〉
定金浩一 2004 学習習慣が身についた事例 市川千秋 監修 ブリーフ学校カウンセリング 57-74 ナカニシヤ出版