The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PA

Wed. Aug 26, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PA010] 食育と心理の関連を考える試み(その7)

食育白書の質問項目に関して

林昭志 (上田女子短期大学)

Keywords:食育, 心理, 父親

目的
本研究では,継続的に食育と心理の関連を調査するために,まず,筆者の行った過去の質問項目を利用し,また,自由記述形式の利用により,子育て家庭の食育の現状を試験的に調査した。特に子育てを担う,身近な父親に調査を依頼し,父親の視点からの食育や子育てに関わる問題を探索しようとした。質問項目は食育白書平成24年度版を参照した。同時に筆者の過去の研究の質問項目も参照した。
方法
調査回答者は,母親が0人,父親が5人。このように,人数の少なさは,これまでと同様に今後の課題である。しかしながら,今回の調査では父親であり,筆者の行った過去の調査とは異なっているので,これまでの母親の調査と比較対照することもできる。子どもの人数は,1人が1人,2人が3人,3人が0人,4人が1人。家族は,3世代家族(祖父母が同居している)が0人,2世代家族または核家族(祖父母が同居していない)が5人,無回答が0人。このように子ども2人で2世帯または核家族という回答が多かった。子どもの年齢(およその年齢)は,1歳以上~5歳未満が0人,6歳が1人,7歳が1人,11歳が3人,13歳が2人,14歳が2人,15歳が1人,18歳が1人,以上で子どもの人数は合計11人。このように,小学校高学年から中学生にかけてが多かった。この点は,筆者の行った過去の研究とは異なり,子どもの年齢が上がって,幼児や児童と比較検討しやすくなったといえる。
結果と考察
今回の質問項目は筆者の過去の研究と食育白書を参考にして作成した。それらの主な質問項目とその回答は以下の通りであった。なお自由記述式での質問項目については,回答の趣旨をそこなわないように注意し,かつ回答の趣旨が明確になるように,要約・補筆・簡略化した。質問項目は以下の通り。1.朝食を食べるようにしていますか。2.朝食は重要だと思いますか。3.和食をよく食べますか。4.和食は健康によいと思いますか。5.家族そろっての食事が大切だと思いますか。6.今の食生活は理想的ですか。7.食について何か困っていることはありますか。8.「食育」という言葉を知っていますか。9.「食育」の意味を正しく答えられますか。10.「朝食を食べると成績がよくなる」は本当だと思いますか。11.子どもの食べ物について気をつけていることはありますか。12.「食事バランスガイド」を知っていますか。13.「食事バランスガイド」を参考にしていますか。14.「メタボリックシンドローム」の予防や改善を意識していますか。15.噛み方,味わい方といったことに関心がありますか。16.食品の安全性についての基礎的知識があると思いますか。17.食品の選択や調理について今後身につけたいことは何ですか。18.食品の選択のときに重視することは何ですか。
以上の結果から推測される傾向を以下にまとめた。それは,朝食を食べるようにしており,また,朝食は重要だと認識しており,和食をよく食べ,和食は健康によいと思い,家族揃っての食事が大切だと考えている。しかも,食育という言葉を聞いたことがあり,朝食を食べると成績が良くなると思っている。しかし今の食生活は理想的ではなく,食について困っていることもあり,食育の意味を正しく答えることはできないと思っている。また食事バランスガイドを知らないし,参考にしてもいない。メタボリックの予防や改善を意識しているし,噛み方・味わい方に関心がある。食品の安全性についての知識はあったりなかったりしている。また子どもの食べ物に気をつけたり気をつけなかったりいている。また食品選択の際には産地について知りたいこと,食品選択の際にも産地を重視する傾向があること。今回の調査では以上のことが示唆された。
今回は父親の回答者であったが,筆者の過去の調査の母親との違いが特に感じられなかった。このことからは母親も父親と同様の考え方を持っていると考えられる。ただし両者の違いについては今回からはわからない。また今回は子どもの年齢の上昇があった。しかし,筆者の過去の調査と同様の傾向という結果であったように思われる。つまり,子どもの年齢が高くなっても,また回答者が父親となっても,食育への関心の程度や食育への考え方は同様であること,つまり,両親はいずれも食育への関心が高い傾向,が示唆された。よって父親においても母親と同様に食事には関心が高く,子育て家庭においては意識的な食生活が行われていることが考察された。またサンプル数が少ないが,χ²検定を行い,統計的検定を試みた。
(df=1,P=0.025.; df=1,P=0.179.; df=1,P=0.654)