[PA026] 中・高校生女子の学力と学力認知
自己評価との関連
Keywords:中・高校生, 学力認知, 自己評価
小学校高学年から中学・高校生女子においては,コンピテンスとしての自己評価が比較的低めで学年を通して安定していることが報告されている(相良・宮本, 2015)。この時期においては,学力と自己評価が必ずしも一致するとは限らない。彼らの自己価値は,学力そのものから影響されるのか,それとも自分の学力をどう認知しているかに影響されるのか,それは学科によって異なるのかについて検討する。
方法
調査対象者 大学の附属の女子中高一貫校の生徒を対象にした。中学生1年生79名,2年生58名,3年生70名,高校1年生158名,2年生138名,3年生156名であった。
手続き 質問紙調査法。調査は2014年7月に実施された。調査票は担任を通じて配布,回収された。
質問紙 1.学力 5月に中・高校で実施されたベネッセによる全国学力試験の偏差値を指標とした。2.学力認知 国語,数学,英語,理科,社会の5教科と音楽や体育,音楽など学校で学ぶ教科について「得意」から「苦手」までの5件法で尋ねた。 3.自己評価 児童用コンピテンス尺度(桜井,1992)の自己価値を使用した。各10項目,4件法(1点~4点)による回答。
結果
1.学力と学力認知の比較
学力と学力認知のどちらが自己価値を規定しているか,国語,数学,英語の3教科について教科ごとに学年,学力偏差値,得意さの程度を説明変数として重回帰分析を行った。その結果,3教科とも得意さの程度のみ自己価値を有意に(国語β=.157, 数学β=.139, 英語β=.160)規定していた。学年による影響は見られなかった。
2.学力と学力認知のずれ
3教科それぞれの学力偏差値と科目に対する得意さの程度とのずれをみるため,学力偏差値50以下を1(下位者),50以上を2(上位者)とした。得意さの程度の5段階評価は,「やや苦手」「苦手」を1,「ふつう」を2,「得意」「やや得意」を3として3段階とし,学力偏差値と組み合わせて6タイプ(下位・苦手:L1,下位・ふつう:L2,下位・得意:L3,上位・苦手:H1,上位・ふつう:H2,上位・得意:H3とした。各タイプの人数の割合を表したものがTable1である。
3.各タイプの自己評価
6タイプの自己価値得点をFig.1,Fig.2に示した。分散分析の結果,3教科ともタイプの効果が有意であった(国:F=3.03,数:F=4.01,英:F=4.82)。
考 察
実際の学力偏差値と,その教科についての学力認知との関連を検討した結果,学力そのものより学力認知が自己評価に関連していることが示された。また,その関連のしかたには教科により差異があり,学力上位者では英語の学力認知と自己評価が強く関連していることが示された。女子中高生にとって高い学力の意味するところが教科により異なることが示唆される。
相良・宮本(2015)発達心理学会第26回大会発表
(本研究はJSPS科研費 26380949の助成を受けた。)
方法
調査対象者 大学の附属の女子中高一貫校の生徒を対象にした。中学生1年生79名,2年生58名,3年生70名,高校1年生158名,2年生138名,3年生156名であった。
手続き 質問紙調査法。調査は2014年7月に実施された。調査票は担任を通じて配布,回収された。
質問紙 1.学力 5月に中・高校で実施されたベネッセによる全国学力試験の偏差値を指標とした。2.学力認知 国語,数学,英語,理科,社会の5教科と音楽や体育,音楽など学校で学ぶ教科について「得意」から「苦手」までの5件法で尋ねた。 3.自己評価 児童用コンピテンス尺度(桜井,1992)の自己価値を使用した。各10項目,4件法(1点~4点)による回答。
結果
1.学力と学力認知の比較
学力と学力認知のどちらが自己価値を規定しているか,国語,数学,英語の3教科について教科ごとに学年,学力偏差値,得意さの程度を説明変数として重回帰分析を行った。その結果,3教科とも得意さの程度のみ自己価値を有意に(国語β=.157, 数学β=.139, 英語β=.160)規定していた。学年による影響は見られなかった。
2.学力と学力認知のずれ
3教科それぞれの学力偏差値と科目に対する得意さの程度とのずれをみるため,学力偏差値50以下を1(下位者),50以上を2(上位者)とした。得意さの程度の5段階評価は,「やや苦手」「苦手」を1,「ふつう」を2,「得意」「やや得意」を3として3段階とし,学力偏差値と組み合わせて6タイプ(下位・苦手:L1,下位・ふつう:L2,下位・得意:L3,上位・苦手:H1,上位・ふつう:H2,上位・得意:H3とした。各タイプの人数の割合を表したものがTable1である。
3.各タイプの自己評価
6タイプの自己価値得点をFig.1,Fig.2に示した。分散分析の結果,3教科ともタイプの効果が有意であった(国:F=3.03,数:F=4.01,英:F=4.82)。
考 察
実際の学力偏差値と,その教科についての学力認知との関連を検討した結果,学力そのものより学力認知が自己評価に関連していることが示された。また,その関連のしかたには教科により差異があり,学力上位者では英語の学力認知と自己評価が強く関連していることが示された。女子中高生にとって高い学力の意味するところが教科により異なることが示唆される。
相良・宮本(2015)発達心理学会第26回大会発表
(本研究はJSPS科研費 26380949の助成を受けた。)