The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PA

Wed. Aug 26, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PA027] 「単位量あたりの大きさ」の文章題におけるメタ認知的気づきを促す支援(1)

PCによる自己学習の効果

櫻井憲子1, 東原文子2 (1.聖徳大学大学院, 2.聖徳大学)

Keywords:算す文章題, メタ認知的気づき, 学習の転移

1.問題と目的
本研究では,「単位量あたりの大きさ」の算数文章題においてメタ認知的気づき(問題解決に向けた方略決定や問題と問題の共通点への気づき)(亀岡・神保, 2012)を促す教示を含むPC教材を用いて自己学習を行うことにより,指導に用いた問題の解決が促され,さらに,指導していない新たな問題にも転移がみられるかを検討することを目的とした。
2.方法
2-1 対象
私立A大学附属小学校5年生88名
2-2 時期・場所
小学校コンピュータ室における授業の中で,平成26年2月上旬にペーパーテスト(プレ),5月下旬に1回目のPC学習の試行,7月中旬に2回目のPC学習の試行,その一週間後にペーパーテスト(ポスト)を行った。プレ・ポストともに授業で「単位量あたりの大きさ」を学習する前に実施した。
2-3 手続き
ペーパーテストは全4問(問題1基本問題:1mあたりの値段から全体の金額を求める,問題2ベース問題:図1参照,問題3・4転移問題:1mあたりの値段を比較する,予算内で何m買えるかを計算する)を実施した。PC学習は図1のような教材をVisual Basicで作成し,1人1台の環境で試行した。教材には,「まず求めなければならないものは何ですか?」というメタ認知質問文を含んだ。また,クリックするとリボンの値段を表わすテープ図が描けるようにした。問題はベース問題のみで,4問作成した。
2-4 分析方法
プレ-ポスト成績比較として,各問題の通過率を調べた。また,プレテストで誤答したがポストテストで正答した人数,及びその逆の人数(表1)を用いた1×2の直接確率計算(両側検定)を行った。
3.結果及び考察
図2に,各問題のプレテストとポストテストの通過率を示す。PCでベース問題(問題2)と同構造の問題を繰り返し学習した後のポストテストでは,通過率が上がっていた。プレ-ポスト間で有意差(問題2でp<.05問題3・4でp<.01)がみられた。PC学習では,同構造の問題を繰り返すことや誤りが即座にフィードバックされることにより,児童が「まず求めることは何か」を理解し,通過率が上がったと考えられる。さらに,「1mあたりのリボンの値段」を可視化するテープ図を取り入れたことで,テープ図の1つ分は何を表しているのか,またその1つ分を求めるためには,どの式が適切かなどを考えるうえで有効に働いたことも考えられる。
文献:亀岡正睦・神保勇児(2012):算数科におけるメタ認知形成方略としての「ふきだし法」に関する研究(1).京都文教大学臨床心理学部研究報告, 5, 25-35.