The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PA

Wed. Aug 26, 2015 10:00 AM - 12:00 PM メインホールA (2階)

[PA048] 大学生における友人および友人集団の形成

柴田利男 (北星学園大学)

Keywords:友人関係, 友人集団, 大学生

【目 的】
大学入学後の親密な友人関係の形成過程について,個別の友人関係だけではなく,友人グループの形成にも焦点を当て検討する。
【方 法】
調査対象者と調査時期:大学1年生128名(男子51名,女子77名)。入学から半年後の10月上旬に調査を行った。
質問紙の構成:(1)フェイスシート,(2)友人との関係-入学後に親しくなった友人のイニシャル,その友人の第一印象,類似度(性格・行動),(3)友人との活動の変化,(4)友人への感情の変化,(5)友人グループ―その友人を含むグループの有無,グループの人数,集団化の時期,(6)友人グループとの活動の変化,⑺友人グループへの感情の変化,(8)友人グループに対する欲求,(9)グループ志向尺度。
なお変化に関する質問では,4月頃,夏休み前,今(10月上旬)の3時点について回答させた。
【結果と考察】
(1)親しい友人との関係
第一印象,類似度について女性のほうが男性よりもわずかに平均が高かった。
行動の変化においては男女ともにほとんどが4月頃から今にかけて増加していた。また全ての質問において女性の方が男性よりも平均が高く,また4月頃から今にかけての得点の増加も大きかった。
感情の変化では男女共には4月頃から今にかけて「気持ちが通い合っている」「一緒にいても自分の意志で行動している」は増加しており,一方「様々な点で負けたくない」「自分の思っていることを友達に言えない」は減少している。特に女性にその傾向が顕著であるが,「様々な点で負けたくない」は唯一男性の方が得点が高かった。女性は男性よりも相手に対して競う相手としてではなく心の拠り所とすることを望んでいると言えるだろう。行動・感情とグループ志向との相関分析の結果では,女性は固定的集団志向,男性は閉鎖的集団志向との相関が多く見られた。
(2)友人グループとの関係
仲の良い友人グループの有無とグループの大きさは以下の表の通りである。
活動の変化では,女性は「自分の性格や行動についての話をする」「悩みや日頃の出来事をメールなどでやり取りする」の平均が4月頃は低かったが今では男性よりも高く大きく増加している。一方男性は4月頃から夏前では増加するが夏前以降はあまり変わらないか減少している。これらの結果からも,女性は固定的な友人グループを形成する傾向があると言える。
感情の変化では,男女ともに「気持ちが通い合っている」「一緒にいても自分の意志で行動している」「他の人には負けたくない」は増加し。「自分の思っていることをグループに言えない」が減少している。
(3)まとめ
個別の友人関係のみならず,友人集団の形成と機能に関しても明確な男女差がみられた。男性は初めからある程度相手に対し自己開示しておりグループに対しても同様である。仲が良い人とだけで行動したいという欲求にもとづいて友人集団が形成されると考えられる。女性は時間とともに相手への信頼感や親密感が増加する傾向があり,友人集団に対してその傾向は顕著であった。