[PB035] 学生主体のコーチング教育の検討
自ら学ぶ意欲を育てる教育コーチング
キーワード:教育コーチング, 学生主体, 自ら学ぶ
Ⅰ.目的
学生主体のコーチング教育において,学生とのコミュニケーションを通して学生の意欲や能力(「伸びようとする気持ち」や「無限の能力」)を引き出すための支援をしていくことによる効果を検討し,今後のコーチング教育の指針とする。
Ⅱ.教育コーチングの概念
「教育コーチング」は,「傾聴」「質問」「承認」等のコミュニケーション技法を用いて,学生自身の意欲・能力を引き出し,「自立」を支援する教育メソッドである。「教育」の本来の意味は「educe=潜在しているものを引き出す」であり,人には,本来持っている驚異的な意欲と能力が顕在化している。教育コーチはこの原点に立ち,「人は育とうとする生き物」という信念を持って相手に関わることである。また「coach」とは「馬車」のことである。馬車は旅人にとって不可欠である。学生が目指すゴール(目標達成・夢の実現・自立)に行きつくために,教員が馬車になりうる存在と考える。時には,学生の思考を刺激し,学生の創造力を高め,学生自身が自己の可能性を知り最大化できるように,教員と学生のパートナーシップを築く。アメリカでは,1880年代から,スポーツ指導者が「コーチ」と呼ばれ始めている。日本では,ビジネスコーチングが最初で,その後教育分野により適したプログラムとして作り上げた。その概念は,4つのトライアングルとして「成果のトライアングル」「姿勢のトライアングル」「信念のトライアングル」「あり方のトライアングル」が示される。教育コーチングは,学生の「自立」は「より以上を目指す」「人の役に立つ」「不完全性の自覚から来るにじみ出る謙虚さを持つ」という3つの条件を満たし,他者に依存しない状態 (成果のトライアングル),「傾聴」「承認」「質問」(姿勢のトライアングル),「人は育とうとする生き物」「人は自分の中に答えを持っている」「人はそれぞれ」という信念に基づき行われる信念(信念のトライアングル),「愛情」「信頼」「尊重」そのもの(あり方のトライアングル),の4つのトライアングルから成り立つ。この概念に用いられている用語は,看護学におけるケアリング概念やケアカウンセリング等と類似し,私自身の教育経験の中でも実施していた。
一方,厚生労働省の「若者自立塾」では,ニートや引きこもりの自立支援者が,従来のカウンセリングと併せて教育コーチングをマスターすることで社会復帰への大きな成果を出している。看護学教育における教育コーチングに関する研究は筆者の知る限りない。
Ⅲ.教育コーチングにおける教員の役割
「優れた授業実戦のための7つの原則」(米国高等教育学会:AAHE)を参考にし,以下の手法を検討実施した。
1.優れた授業実戦のための7つの原則:1)学生と教員のコンタクトを促す,2)学生間で協力する機会を増やす,3)能動的な学習の手法を使う,4)素早いフィードバックを支える,5)学習に要する時間の大切さを教える,6)高い期待を伝える,7)多様な才能と学習方法を尊重する。
2.教育コーチングの実施(基礎ゼミナールでの実施):1)学生の表情を観察,学習状態の把握2)目線を一緒にする,3)聞かれるまで答えを提供しない,教員の思いに誘導しない忍耐する。「はい」ではなく,「どうして」という感覚が持てるようにする,4)学生主体を強力に支援する:学生が決め,実行,成果の責任をとる,グループディスカッション,チームワークとリーダー重視,5)目標設定,ゼミ大会,振り返りシートによる目標管理,できるようになった自分を発表•評価によって学びにつなげる,6)個人面接,月次評価。
Ⅳ.結果・考察
学生主体のゼミにおける効果的な教育コーチングの検討として,学生とのコミュニケーションが豊富に行われ,主体的な学生の勉強の機会が増え,結果として学生の成長がみられた。2.学ぶのは学生,教員はコーチを徹底し,1)学生の主体性を重視し,学生が学習テーマを決め,責任をもって完遂させることで学生は自信がもてた,2)教員の役割は,観察,気づかせること,クラスマネジメント,環境調整・雰囲気つくりが重要であった,3.以上より,学生が自ら,学ぶ意欲を育てるには,1)学生との信頼と安心感の保持,2)コーチングの存在感,3)効果的コミュニケーション①アクティブリスニング,②強力な問いかけ,③直接的なコミュニケーション,④学習と成果の支援(気づき,アクションの設計,計画策定と目標設定)することで,学生の主体性が育まれ,効果的なコーチングへとつながった。
Ⅴ.終わりに
教員は支援者に徹底し,学生の成長,自立をサポートしていく存在であることが重要であった。また教員は,コーチングマインドを持ち,常に学生に寄り添い,一瞬一瞬の関わり合いを積み重ね続けることが教育者として,且つ支援者として肝要である。
学生主体のコーチング教育において,学生とのコミュニケーションを通して学生の意欲や能力(「伸びようとする気持ち」や「無限の能力」)を引き出すための支援をしていくことによる効果を検討し,今後のコーチング教育の指針とする。
Ⅱ.教育コーチングの概念
「教育コーチング」は,「傾聴」「質問」「承認」等のコミュニケーション技法を用いて,学生自身の意欲・能力を引き出し,「自立」を支援する教育メソッドである。「教育」の本来の意味は「educe=潜在しているものを引き出す」であり,人には,本来持っている驚異的な意欲と能力が顕在化している。教育コーチはこの原点に立ち,「人は育とうとする生き物」という信念を持って相手に関わることである。また「coach」とは「馬車」のことである。馬車は旅人にとって不可欠である。学生が目指すゴール(目標達成・夢の実現・自立)に行きつくために,教員が馬車になりうる存在と考える。時には,学生の思考を刺激し,学生の創造力を高め,学生自身が自己の可能性を知り最大化できるように,教員と学生のパートナーシップを築く。アメリカでは,1880年代から,スポーツ指導者が「コーチ」と呼ばれ始めている。日本では,ビジネスコーチングが最初で,その後教育分野により適したプログラムとして作り上げた。その概念は,4つのトライアングルとして「成果のトライアングル」「姿勢のトライアングル」「信念のトライアングル」「あり方のトライアングル」が示される。教育コーチングは,学生の「自立」は「より以上を目指す」「人の役に立つ」「不完全性の自覚から来るにじみ出る謙虚さを持つ」という3つの条件を満たし,他者に依存しない状態 (成果のトライアングル),「傾聴」「承認」「質問」(姿勢のトライアングル),「人は育とうとする生き物」「人は自分の中に答えを持っている」「人はそれぞれ」という信念に基づき行われる信念(信念のトライアングル),「愛情」「信頼」「尊重」そのもの(あり方のトライアングル),の4つのトライアングルから成り立つ。この概念に用いられている用語は,看護学におけるケアリング概念やケアカウンセリング等と類似し,私自身の教育経験の中でも実施していた。
一方,厚生労働省の「若者自立塾」では,ニートや引きこもりの自立支援者が,従来のカウンセリングと併せて教育コーチングをマスターすることで社会復帰への大きな成果を出している。看護学教育における教育コーチングに関する研究は筆者の知る限りない。
Ⅲ.教育コーチングにおける教員の役割
「優れた授業実戦のための7つの原則」(米国高等教育学会:AAHE)を参考にし,以下の手法を検討実施した。
1.優れた授業実戦のための7つの原則:1)学生と教員のコンタクトを促す,2)学生間で協力する機会を増やす,3)能動的な学習の手法を使う,4)素早いフィードバックを支える,5)学習に要する時間の大切さを教える,6)高い期待を伝える,7)多様な才能と学習方法を尊重する。
2.教育コーチングの実施(基礎ゼミナールでの実施):1)学生の表情を観察,学習状態の把握2)目線を一緒にする,3)聞かれるまで答えを提供しない,教員の思いに誘導しない忍耐する。「はい」ではなく,「どうして」という感覚が持てるようにする,4)学生主体を強力に支援する:学生が決め,実行,成果の責任をとる,グループディスカッション,チームワークとリーダー重視,5)目標設定,ゼミ大会,振り返りシートによる目標管理,できるようになった自分を発表•評価によって学びにつなげる,6)個人面接,月次評価。
Ⅳ.結果・考察
学生主体のゼミにおける効果的な教育コーチングの検討として,学生とのコミュニケーションが豊富に行われ,主体的な学生の勉強の機会が増え,結果として学生の成長がみられた。2.学ぶのは学生,教員はコーチを徹底し,1)学生の主体性を重視し,学生が学習テーマを決め,責任をもって完遂させることで学生は自信がもてた,2)教員の役割は,観察,気づかせること,クラスマネジメント,環境調整・雰囲気つくりが重要であった,3.以上より,学生が自ら,学ぶ意欲を育てるには,1)学生との信頼と安心感の保持,2)コーチングの存在感,3)効果的コミュニケーション①アクティブリスニング,②強力な問いかけ,③直接的なコミュニケーション,④学習と成果の支援(気づき,アクションの設計,計画策定と目標設定)することで,学生の主体性が育まれ,効果的なコーチングへとつながった。
Ⅴ.終わりに
教員は支援者に徹底し,学生の成長,自立をサポートしていく存在であることが重要であった。また教員は,コーチングマインドを持ち,常に学生に寄り添い,一瞬一瞬の関わり合いを積み重ね続けることが教育者として,且つ支援者として肝要である。