[PC039] アルバイトでの労働観
高校生はアルバイトの経験でどのように「働く」ことを感じているのか
Keywords:高校生, アルバイト, 労働観
⑴ 高校生のアルバイト実態(名古屋市内の高校生1700人のアンケート結果より)
アンケートは,2010年10月~11月に,名古屋市立高校を中心に県立・私立高校12校で実施しました。アルバイト経験者の割合は,高校全体で48%,全日制普通科が31%,全日制職業科が48%と,定時制が65%となっています。つまり,高校生の半数近くがアルバイトの経験があることになります。
アルバイトの1週間あたりの労働時間は,平均13.2時間で,15時間以上がアルバイト経験者の4割以上を占めます。週3日アルバイトをすると,1日4時間以上の労働時間となり,平日アルバイトの場合,午後10時すぎまで働く生徒も数多く存在すると思われます。さらに,アルバイト経験者の7.4%が週25時間以上働いており,学校生活以外ほとんどをアルバイトで過ごしています。
アルバイトの職種は,ファーストフードやファ
ミリーレストランなどの飲食店が56%と半数以上を占め,次にコンビニエンスストアなどの小売店が28%を占めおり,両者で84%にのぼります。一方,ガソリンスタンドや工場,工事現場などはわずか5.6%にすぎません。また,アルバイトの月収入は,月4万円以上で58%を占めており,平均すると4.8万円となります。
まとめると,高校生の半数近くが,飲食店や小売店で週3~4日4時間働き,月に約5万円の収入を得ています。
⑵ 高校生がアルバイト経験を通じて感じたこと(高校生のレポートより)
では,アルバイトを経験した高校生は,その経験を通じて,「働く」とはどのようなことと感じているのでしょうか。2012年と2013年に,「アルバイトを通じて学んだこと」をテーマとしたレポート(約200通)を提出してもらいました。そこから代表的なものを二点紹介します。
<代表的な事例①>
はじめに,アルバイト先として一番多いファーストフード店。
「――注文が入ったと同時に作り始め,注文をすべて受け終わり,お金を払ってからなるべく早くお渡しできるようにします。そして,どんなに理不尽なクレームがあっても謝罪しなければなりません。お客様に不満をもたせてしまった私達が悪いからです。お客様との信頼が大事なのでクレーム処理は大切な事です。――私がこの店でアルバイトをして学んだことはお客様の笑顔にためならできることをできる限りやるということです。――」
<代表的な事例②>4
次に,事例①とは対照的な建築現場。
「バイトが働く人間関係でここまで立場が低いものだとは思ってもみませんでした。バイトは技術的な作業ができないので,当然力仕事がメインとなります。それはよいのですが,社員からバイトへの指示の仕方が気になりました。あまりに横柄だろうという物言いをする人もいれば,とにかく怒鳴って指示をだしている人もいました。作業中は気分が悪かったのですが,終わってから考えると,この仕事だけの一時的な協力,教育を受けていないバイト,使用者が大きな声をだすのもわかります。」
①の事例では,みごとにサービス業特有の会社の論理に染まっており,「お客様の笑顔」のためなら,低賃金・長時間・過密労働も我慢しなくてはと自分を納得させてしまいます。しかし,それもいつまでも続くはずがなく,結局身体や心を壊すことになります。
②の事例では,危険な建築現場において,安全に作業するにはアルバイトへの罵声も仕方がない,これまた会社の論理です。しかし,正社員として,日々協働作業をしていれば,チームワークが出来上がり,罵声を浴びせる必要もなくなります。
アンケートは,2010年10月~11月に,名古屋市立高校を中心に県立・私立高校12校で実施しました。アルバイト経験者の割合は,高校全体で48%,全日制普通科が31%,全日制職業科が48%と,定時制が65%となっています。つまり,高校生の半数近くがアルバイトの経験があることになります。
アルバイトの1週間あたりの労働時間は,平均13.2時間で,15時間以上がアルバイト経験者の4割以上を占めます。週3日アルバイトをすると,1日4時間以上の労働時間となり,平日アルバイトの場合,午後10時すぎまで働く生徒も数多く存在すると思われます。さらに,アルバイト経験者の7.4%が週25時間以上働いており,学校生活以外ほとんどをアルバイトで過ごしています。
アルバイトの職種は,ファーストフードやファ
ミリーレストランなどの飲食店が56%と半数以上を占め,次にコンビニエンスストアなどの小売店が28%を占めおり,両者で84%にのぼります。一方,ガソリンスタンドや工場,工事現場などはわずか5.6%にすぎません。また,アルバイトの月収入は,月4万円以上で58%を占めており,平均すると4.8万円となります。
まとめると,高校生の半数近くが,飲食店や小売店で週3~4日4時間働き,月に約5万円の収入を得ています。
⑵ 高校生がアルバイト経験を通じて感じたこと(高校生のレポートより)
では,アルバイトを経験した高校生は,その経験を通じて,「働く」とはどのようなことと感じているのでしょうか。2012年と2013年に,「アルバイトを通じて学んだこと」をテーマとしたレポート(約200通)を提出してもらいました。そこから代表的なものを二点紹介します。
<代表的な事例①>
はじめに,アルバイト先として一番多いファーストフード店。
「――注文が入ったと同時に作り始め,注文をすべて受け終わり,お金を払ってからなるべく早くお渡しできるようにします。そして,どんなに理不尽なクレームがあっても謝罪しなければなりません。お客様に不満をもたせてしまった私達が悪いからです。お客様との信頼が大事なのでクレーム処理は大切な事です。――私がこの店でアルバイトをして学んだことはお客様の笑顔にためならできることをできる限りやるということです。――」
<代表的な事例②>4
次に,事例①とは対照的な建築現場。
「バイトが働く人間関係でここまで立場が低いものだとは思ってもみませんでした。バイトは技術的な作業ができないので,当然力仕事がメインとなります。それはよいのですが,社員からバイトへの指示の仕方が気になりました。あまりに横柄だろうという物言いをする人もいれば,とにかく怒鳴って指示をだしている人もいました。作業中は気分が悪かったのですが,終わってから考えると,この仕事だけの一時的な協力,教育を受けていないバイト,使用者が大きな声をだすのもわかります。」
①の事例では,みごとにサービス業特有の会社の論理に染まっており,「お客様の笑顔」のためなら,低賃金・長時間・過密労働も我慢しなくてはと自分を納得させてしまいます。しかし,それもいつまでも続くはずがなく,結局身体や心を壊すことになります。
②の事例では,危険な建築現場において,安全に作業するにはアルバイトへの罵声も仕方がない,これまた会社の論理です。しかし,正社員として,日々協働作業をしていれば,チームワークが出来上がり,罵声を浴びせる必要もなくなります。