The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PC

Wed. Aug 26, 2015 4:00 PM - 6:00 PM メインホールA (2階)

[PC044] 大学生の没入傾向,ストレス状況が気晴らしプロセスに与える影響

成澤元1, 仲栄真聡子#2, 安正鎬#3, 高橋敏治#4 (1.法政大学大学院, 2.法政大学, 3.法政大学大学院, 4.法政大学)

Keywords:気晴らし, 没入傾向, 大学生

問題と目的
気晴らしとは,他のことを考える,または何かの活動に従事することにより,問題から注意をそらすこと,と定義される情動調節の方略である(Stone & Neale, 1984)。大学生における達成ストレス場面を対象とした研究では,気晴らしの問題解決促進効果が確認されている(及川・林, 2013)。ラザルスのストレスモデルでは,刺激となるストレッサーが認知的評価やストレス対処を媒介してストレス反応に影響を及ぼしているが,気晴らしのプロセスに対して認知的評価を含めたストレッサー,個人の特性が与える影響はあまり検討されていない。本研究では,ストレッサーを心理的ストレス状況の種類,一次的評価として脅威性認知,認知的評価に影響を与える要因として没入傾向,ストレス対処やストレス反応として気晴らし意図と気晴らし結果を想定し,これらの関係性について大学生を対象に調査した。
方 法
参加同意を得た大学生153名に対して調査を行った。欠損値のあった8名,気晴らしの頻度で「全く行わなかった」と回答した7名,また,ストレス状況の自由記述からストレス状況を再分類し,「その他」に分類された6名を除外した。最終的に132名を分析対象とした(男性41名,女性91名,平均年齢20.03歳±1.99歳)。質問紙は没入尺度(坂本, 1997),ストレス状況の種類(学業,将来,対人関係,その他)とその脅威性認知(及川, 2004),気晴らしの頻度,気晴らし意図と気晴らし結果(及川, 2002)を測る項目で構成した。過去1年間に経験した比較的強い心理的ストレス状況を想起させ,その際の気晴らしについてたずねた。本研究は法政大学文学部心理学科・心理学専攻倫理委員会の承認を得て行われた。
結 果
因子分析の結果,没入傾向は外的没入(α=.84)と自己没入(α=.88)の2因子構造,気晴らし意図は目標明確化志向(α=.79),無目標(α=.84),気分緩和志向(α=.80),気晴らし結果は目標明確化(α=.88),気分悪化(α=.90),気分緩和(α=.90)の3因子構造,脅威性認知(α=.85)は1因子構造だった。また,ストレスの状況に関わらず没入傾向や脅威性認知が気晴らしプロセスにどのような影響を与えているか検討するために,パス解析を行った(Figure 1)。自己没入が気分緩和志向,気分悪化に正の影響,目標明確化,気分緩和に負の影響を与えていた。脅威性認知は気分緩和志向,気分悪化に正の影響を与えていた。
考 察
パス解析の結果,自己没入傾向は気分緩和志向,気分悪化に正の影響,目標明確化,気分緩和に負の影響を与えていた。このことから,自己没入傾向は気晴らしの効果的な活用を妨げる一因である可能性がある。気晴らしを有効に行うためには,自己没入を高めない事が必要だろう。しかし,気晴らしの具体的な内容については限定しておらず,そのことが結果に影響した可能性も考えられる。今後,気晴らしの種類による検討も必要である。
引用文献
Stone, A. A., & Neale, J. M. (1984). New measure of diary coping: Development and preliminary results. Journal of Personality and Social Psychology, 46, 892-906.