[PC048] 漢字に親しむアプリ「かんじダス」の開発(2)
アプリの使用感の検証
キーワード:かんじダス, 発達性ディスレクシア, 使用感
目 的
本研究の目的は,『漢字に親しむアプリ「かんじダス」の開発①』で作成したアプリを通級教室に通う子どもたちに体験してもらい,アプリの使用感を検証することである
方 法
授業において本アプリケーションを使用してもらい,調査票を用いて調査を行った。
体験者:公立小学校の通級教室に通う,小学校1年生から6年生までの児童11名。1年生5名,3年生2名,4年生2名,6年生2名である。
調査者:教室を担当する教員1名。
調査実施日:2015年2月2日から9日。
調査票の内容:調査内容には以下のようなものを設定し,A4版両面の調査票を作成した。
表面:体験者の基本的な情報として,年齢・学年・性別・障害の主訴・読み書き困難の度合い・聴覚的な原因・視覚的な原因・眼科の所見。アプリの使用に関して,使用した手と指,観察記録,メモの欄を設けた。
裏面:アプリと同様の画面を添付し,わからない絵,迷った絵,わからない(読めなかった)漢字,習っていない漢字に印をつけるようにした。その後に,「アプリは面白かったですか?」,「アプリは使いやすかったですか?」,「難しかったですか?」,「またやってみたいと思いますか?」といったアプリ全体の感想を5段階で尋ねた。最後に,「ほしい機能はありますか?」という自由回答の質問を加えた。
手続き:(1)で完成させた検証用プログラムを実行してもらい,実行中の観察および実行後の質問による調査を行った。
結果と考察
アプリを使う手については,利き手がほとんどであった。左利きの子ども(2名)のうち1名は,画面によって手をかえることがあった。使う指については,全員が人さし指であった。ただし,手を広げたまま使う子どもと,人さし指だけを出して他の4本は握る子どもとがいた。
アプリ使用時の観察記録からは,以下のようなことが分かった。
・声に出しながら操作しているケースが多かった
・操作を詳しく説明しなくてもスムーズに行えた
・進め方は,漢字の左端から進める,絵の右端から進める,ランダムなどさまざまであった
・わからない絵や文字があった場合,わかるものから進めるという方略が自然にできていた
・普段の学習よりも集中して取り組むケースが多かった
次に,アプリに使用された24の絵と漢字のうち,わからない絵,迷った絵,読めない漢字,習っていない漢字として上げられたものは以下の通りであった。
わからない絵:石(5人),貝(4人),子・日(3人),女・門・大(2人),車・馬・田(1人)。
迷った絵:日・門・石・田(2人),馬・月(1人)。
読めない漢字:貝(3人),車・子・力(2人),木・口・日・雨・月・女・田(1人)。
習っていない漢字:門(5人),馬・魚(4人),鳥(3人)。
絵については,日(黄)と月(黄),石(茶)と田(茶),貝(茶)と車(茶)など,同じ画面に同様の色彩の絵があるとわかりにくく,迷いやすいようであった。また子・女・大など「人」の絵を使って表現されているものもわかりにくいようであった。習っていない漢字についての回答はすべて1年生の子どもたちであったが,わからなくても推測で回答し正解できていた。わかるものから回答するという方略で,残った漢字と絵を結びつけたのかもしれない。絵から漢字を想像して回答したのかどうか,今後,検証が必要である。
アプリに対する感想については,以下の表の通りであった。いずれの項目でも高評価であった。
ほしい機能については,以下のようなものがあがった。
・正解したら〇や音がでる
・もっと難しくてもいい
本アプリはディスレクシアの子どもたちを対象として開発を進めてきた。しかし,漢字が苦手な子どもや,漢字の導入教材としての効果も期待される。今後,さらに対象を広げ,多くの子どもたちに体験してもらい,効果を検証していきたい。
本研究(1)(2)は,学術助成基金基盤研究C(25381321),十文字女子学園プロジェクト研究費の助成を受けたものである。
本研究の目的は,『漢字に親しむアプリ「かんじダス」の開発①』で作成したアプリを通級教室に通う子どもたちに体験してもらい,アプリの使用感を検証することである
方 法
授業において本アプリケーションを使用してもらい,調査票を用いて調査を行った。
体験者:公立小学校の通級教室に通う,小学校1年生から6年生までの児童11名。1年生5名,3年生2名,4年生2名,6年生2名である。
調査者:教室を担当する教員1名。
調査実施日:2015年2月2日から9日。
調査票の内容:調査内容には以下のようなものを設定し,A4版両面の調査票を作成した。
表面:体験者の基本的な情報として,年齢・学年・性別・障害の主訴・読み書き困難の度合い・聴覚的な原因・視覚的な原因・眼科の所見。アプリの使用に関して,使用した手と指,観察記録,メモの欄を設けた。
裏面:アプリと同様の画面を添付し,わからない絵,迷った絵,わからない(読めなかった)漢字,習っていない漢字に印をつけるようにした。その後に,「アプリは面白かったですか?」,「アプリは使いやすかったですか?」,「難しかったですか?」,「またやってみたいと思いますか?」といったアプリ全体の感想を5段階で尋ねた。最後に,「ほしい機能はありますか?」という自由回答の質問を加えた。
手続き:(1)で完成させた検証用プログラムを実行してもらい,実行中の観察および実行後の質問による調査を行った。
結果と考察
アプリを使う手については,利き手がほとんどであった。左利きの子ども(2名)のうち1名は,画面によって手をかえることがあった。使う指については,全員が人さし指であった。ただし,手を広げたまま使う子どもと,人さし指だけを出して他の4本は握る子どもとがいた。
アプリ使用時の観察記録からは,以下のようなことが分かった。
・声に出しながら操作しているケースが多かった
・操作を詳しく説明しなくてもスムーズに行えた
・進め方は,漢字の左端から進める,絵の右端から進める,ランダムなどさまざまであった
・わからない絵や文字があった場合,わかるものから進めるという方略が自然にできていた
・普段の学習よりも集中して取り組むケースが多かった
次に,アプリに使用された24の絵と漢字のうち,わからない絵,迷った絵,読めない漢字,習っていない漢字として上げられたものは以下の通りであった。
わからない絵:石(5人),貝(4人),子・日(3人),女・門・大(2人),車・馬・田(1人)。
迷った絵:日・門・石・田(2人),馬・月(1人)。
読めない漢字:貝(3人),車・子・力(2人),木・口・日・雨・月・女・田(1人)。
習っていない漢字:門(5人),馬・魚(4人),鳥(3人)。
絵については,日(黄)と月(黄),石(茶)と田(茶),貝(茶)と車(茶)など,同じ画面に同様の色彩の絵があるとわかりにくく,迷いやすいようであった。また子・女・大など「人」の絵を使って表現されているものもわかりにくいようであった。習っていない漢字についての回答はすべて1年生の子どもたちであったが,わからなくても推測で回答し正解できていた。わかるものから回答するという方略で,残った漢字と絵を結びつけたのかもしれない。絵から漢字を想像して回答したのかどうか,今後,検証が必要である。
アプリに対する感想については,以下の表の通りであった。いずれの項目でも高評価であった。
ほしい機能については,以下のようなものがあがった。
・正解したら〇や音がでる
・もっと難しくてもいい
本アプリはディスレクシアの子どもたちを対象として開発を進めてきた。しかし,漢字が苦手な子どもや,漢字の導入教材としての効果も期待される。今後,さらに対象を広げ,多くの子どもたちに体験してもらい,効果を検証していきたい。
本研究(1)(2)は,学術助成基金基盤研究C(25381321),十文字女子学園プロジェクト研究費の助成を受けたものである。