The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PC

Wed. Aug 26, 2015 4:00 PM - 6:00 PM メインホールA (2階)

[PC062] 中学生の食生活と生活満足度との関連

江崎由里香 (お茶の水女子大学大学院)

Keywords:中学生, 食生活, 生活満足度

【問題と目的】
近年我が国では,子どもの発達における食育の役割に関心が高まってきている。子どもの発達と食生活に関する研究では,心身の健康や不適応傾向との関連を検証したものが多くみられるが,生活満足度との関連について調査した研究はあまり見当たらない。しかしながら,食生活の中でも共食観(食事を家族と一緒に摂ることへの思いや考え方)や食卓の雰囲気が親子関係と関連することが明らかにされており(江崎,2012),親子関係の良好さが生活満足度と関連することが示唆されている(吉武,2012)。そこで本研究では,現代社会において親子が物理的かつ継続的に接点を持つ重要な機会である家庭での食生活に焦点を当て,この食生活の在り方が子どもの共食観や生活満足度にどのような影響を与えるのかを検証する。
【方 法】
〈調査時期・調査対象者〉2014年10月~11月に神奈川県の中学生219名と岐阜県の中学生497名に1週間の食生活ダイアリー調査を実施し,527名から回答を得た。そのうち著しく欠損が多いと判断されるものを除外し,最終的に506名(1年生183名,2年生161名,3年生162名;男子230名,女子276名)を分析対象とした。
〈調査内容〉
(1)食生活質問紙:何を(献立,家での手作り),いつ,どこで,誰と,どのように(手伝い,会話)
(2)食生活QOL:會退ら(2012)を改変し,「食欲があった」「食事の時間が待ち遠しかった」「食事の雰囲気は明るかった」「食事がおいしく食べられた」「食事時間が楽しかった」「食事に満足した」の6項目を使用
(3)共食観:足立(2010)を改変し,「家族と一緒に食事をすることは大切だ」「家族と一緒に食事をすることは楽しい」「できるだけ家族と一緒に食事がしたい」の3項目を使用
(4)生活満足度:吉武(2010)の7項目を使用
【結果と考察】
食生活に関する各要因については,朝食と夕食の各々について1週間の平均値を算出し,その食生活要因,食生活QOL,共食観,生活満足度との偏相関係数を算出した(Table 1)。その結果,夕食に関しては,手作り,時間,共食人数,手伝い,会話,食生活QOLが共食観に関連し,手作り,共食人数,会話,食生活QOL,共食観が生活満足度に関連することが明らかにされた。また様々な食生活要因の中でも,特に食事中の「会話」が食生活QOL,共食観,生活満足度と比較的強い相関がみられた。
生活満足度は主観的幸福感の中核概念とされていることから,今後は,食生活要因,食生活QOL,共食観,生活満足度に関するメカニズムを明らかにすることにより,子どものQOLの改善に資する家庭での食生活のあり方を提案することができると考えられる。