[PC071] 小学校と保護者の連携
入学直後の保護者の意識
Keywords:保護者, 不安, 小学校1年生
問 題
富山(2014)は,小学校1年生の保護者に対して,自由記述による調査を行い,親が抱えている具体的な小学校への不安や期待についての資料を収集した。本研究では,富山(2014)の調査で得られた資料をもとに調査項目を作成し,小学校1年生の保護者が小学校に対して抱いている不安や期待の構造について具体的に把握することを主な目的とした質問紙調査を行った。
方 法
〈調査対象〉東京都内の小学校に通う小学校1年生の児童の保護者(母親)104名を分析対象とした。小学校1年生が第1子であったのが68名,第2子が36名。
〈調査時期および調査方法〉2014年6月に小学校を通してもしくは個別にアンケート用紙を配布した。小学校を通したものについては,小学校でまとめて回収を行ったが,個別配布したものについては郵送による回収を行った。
〈調査内容〉⑴ 小学校入学後の不安と期待に関わる尺度(20項目:富山(2014)で得られた具体的な記述結果より作成。5段階評定での回答を求めた)。⑵ 保護者の年齢や子どもの数,小学校1年生が第何子であるかについての質問。
結果と考察
小学校入学後の不安と期待に関わる20項目について,因子分析(主因子法・Promax回転)を行った結果4つの因子が抽出された。Table1は,因子ごとに,どの程度自分の気持ちにあてはまると思うかについての下位尺度得点(各因子に含まれる項目の合計得点を項目数で割ったもの)の平均値および標準偏差を,小学校1年生の子どもの出生順位および性別ごとに示したものである。得点が高いほどあてはまることを示している。
分析から,小学校1年生の母親は,自身の小学校への適応に関わる心配や期待よりも,子ども自身の小学校への適応に関わる具体的な不安や期待をより強く感じていることがうかがわれた。そして,自身の適応への不安は,第1子よりも第2子以降の方が低減されていた。また,「子どもの適応への不安」は,女子では第1子よりも第2子以降の方が不安の程度が低下しており,保護者の経験があると女子については,適応への不安が少なくなることが示された。「学校の個人対応への期待」についても,第2子以降の場合,男子よりも女子の方ほうが得点が低いと考えられた。男子の場合は,「子どもの適応への不安」,「学校の個人対応への期待」のいずれにおいても,出生順位によって不安や期待の程度が低減されるという傾向はみられなかった。
ま と め
今回の結果から,第1子が小学校に入学した保護者では,まずは子どもが小学校という新しい環境に慣れることができるのか,先生は自分の子どもに個別にきちんと対応してくれるのか,といったことに対する不安や期待が大きいことが示され,子どもの性別によって不安の程度や内容に違いがあることも示された。今後は,更に質問項目を精査し,小学校1年生だけでなく,他学年の保護者も含む大規模な調査を行うことで,学校と保護者のよりよい連携のために必要な知見を得たい。
富山(2014)は,小学校1年生の保護者に対して,自由記述による調査を行い,親が抱えている具体的な小学校への不安や期待についての資料を収集した。本研究では,富山(2014)の調査で得られた資料をもとに調査項目を作成し,小学校1年生の保護者が小学校に対して抱いている不安や期待の構造について具体的に把握することを主な目的とした質問紙調査を行った。
方 法
〈調査対象〉東京都内の小学校に通う小学校1年生の児童の保護者(母親)104名を分析対象とした。小学校1年生が第1子であったのが68名,第2子が36名。
〈調査時期および調査方法〉2014年6月に小学校を通してもしくは個別にアンケート用紙を配布した。小学校を通したものについては,小学校でまとめて回収を行ったが,個別配布したものについては郵送による回収を行った。
〈調査内容〉⑴ 小学校入学後の不安と期待に関わる尺度(20項目:富山(2014)で得られた具体的な記述結果より作成。5段階評定での回答を求めた)。⑵ 保護者の年齢や子どもの数,小学校1年生が第何子であるかについての質問。
結果と考察
小学校入学後の不安と期待に関わる20項目について,因子分析(主因子法・Promax回転)を行った結果4つの因子が抽出された。Table1は,因子ごとに,どの程度自分の気持ちにあてはまると思うかについての下位尺度得点(各因子に含まれる項目の合計得点を項目数で割ったもの)の平均値および標準偏差を,小学校1年生の子どもの出生順位および性別ごとに示したものである。得点が高いほどあてはまることを示している。
分析から,小学校1年生の母親は,自身の小学校への適応に関わる心配や期待よりも,子ども自身の小学校への適応に関わる具体的な不安や期待をより強く感じていることがうかがわれた。そして,自身の適応への不安は,第1子よりも第2子以降の方が低減されていた。また,「子どもの適応への不安」は,女子では第1子よりも第2子以降の方が不安の程度が低下しており,保護者の経験があると女子については,適応への不安が少なくなることが示された。「学校の個人対応への期待」についても,第2子以降の場合,男子よりも女子の方ほうが得点が低いと考えられた。男子の場合は,「子どもの適応への不安」,「学校の個人対応への期待」のいずれにおいても,出生順位によって不安や期待の程度が低減されるという傾向はみられなかった。
ま と め
今回の結果から,第1子が小学校に入学した保護者では,まずは子どもが小学校という新しい環境に慣れることができるのか,先生は自分の子どもに個別にきちんと対応してくれるのか,といったことに対する不安や期待が大きいことが示され,子どもの性別によって不安の程度や内容に違いがあることも示された。今後は,更に質問項目を精査し,小学校1年生だけでなく,他学年の保護者も含む大規模な調査を行うことで,学校と保護者のよりよい連携のために必要な知見を得たい。