[PD065] 特別支援学級での指導者およびクラスメイトとの信頼関係形成の中での思いやりや意欲の育ち
甘えの表出の中で
キーワード:特別支援, 甘え
(目 的)
特別支援を必要とする子どもたちの学びは,学習指導要領によれば,学習によって得た知識や技能が断片的になりやすく,実際の生活の場で応用されにくく,また成功経験が少ないことなどにより,主体的に活動に取り組む意欲を十分に育てることが必要である。小嶋(2004)は,指導者は体力づくり・基本的生活習慣の確立・社会生活を送る上で必要な言語の理解や表現などを指導の中心とし,子どもたちと活動する機会を多く設けて,集団生活への参加が円滑に行われるよう配慮することが必要であると述べている。また児童期においては仲間集団の形成が重要であり,遊びを通して安定した数人の集団が形成され,異年齢集団に混じって遊ぶことで社会的能力を高めることができるとしている。従って教育現場では,子どもたちの意図・感情をくみ取り,それに応じて適切な働きかけをすること,また同時に,学年をまたいだ交流や仲間同士の助け合いを援助することが大切と考えられる。
筆者は,特別支援を必要とする子どもたちの,生活年齢や性格特徴,学習および生活面での得意不得意等を知った上で学習意欲を引き出せるような効果的な指導法を考えるために,小学校の特別支援学級にて,先生方からのアドバイスを受けながら,学習支援を中心としたボランティア活動を行ってきた。その中で小学5年生の女子児童(Aさんとする)は,文字を書くことが好きで,プリント学習も積極的で得意であった。しかし補助されることが好きではなく,予定変更に応じることも困難であった。また他のクラメイトと関わることに乗り気でない場面が続いていた。筆者はAさんと関わりながら,Aさんとの信頼関係を深めていった。すると信頼形成の中で,甘えも表出されるようになった。それに対し筆者は、その甘えを受け止めつつも適度な距離を置いて関わり、またクラスメイトたちからも積極的に援助を受けたり交流が生まれたことで,Aさんの甘えは少なくなり,思いやり行動や集中力が高まってきた。本研究では,その期間のエピソード記録を振り返り詳細に検討することで,特別支援を要する児童の発達を促す,指導者やクラスメイトとの交流や信頼関係について,甘えを焦点化しながら説明する。
(方 法)
小学校の特別支援教室にて約10か月間,週2回(合計46回),授業補助・給食指導・掃除指導などをして,Aさんはじめクラスメイトの子どもたちと接し,成長プロセスに関するエピソードを記述しまとめた。
(結 果)
成長のエピソードは,指導側の効果的な方策と課題・クラスメイトからのサポート・Aさんの対人関係的な成長に注目すると,以下の三期にまとめられた。
第一期:日々の積み重ねの中での信頼関係の構築
わかりやすい指導やクラス活動への参加を促す働きかけにより,Aさんの意欲が向上した。また筆者に自己開示をする機会があり,心の距離が縮まった。
第二期:甘えとその対応・クラスメイトからのサポート
信頼関係に呼応するように,その場から動かなかったり,抱き付いて甘えることが生じるようになった。それを受け入れつつも,補助の必要性を見極めて適切に距離を取って指導したり,またこの時期から,クラスメイトたちが励ましたり,無くしたものを教えてくれるなどのサポートが多くなり,Aさんの甘えが落ち着いてきた。
第三期:他者への関心と思いやりの発達
Aさんは,筆者と他の児童が遊んでいる様子を応援したり,クラスメイトに対して優しく声掛けをするなどの思いやり行動が多くなってきた。突然の変更についても,変更点を事前に伝えることで,混乱なく対応できるようになってきた。意欲もさらに高まった。
特別支援を必要とする子どもたちの学びは,学習指導要領によれば,学習によって得た知識や技能が断片的になりやすく,実際の生活の場で応用されにくく,また成功経験が少ないことなどにより,主体的に活動に取り組む意欲を十分に育てることが必要である。小嶋(2004)は,指導者は体力づくり・基本的生活習慣の確立・社会生活を送る上で必要な言語の理解や表現などを指導の中心とし,子どもたちと活動する機会を多く設けて,集団生活への参加が円滑に行われるよう配慮することが必要であると述べている。また児童期においては仲間集団の形成が重要であり,遊びを通して安定した数人の集団が形成され,異年齢集団に混じって遊ぶことで社会的能力を高めることができるとしている。従って教育現場では,子どもたちの意図・感情をくみ取り,それに応じて適切な働きかけをすること,また同時に,学年をまたいだ交流や仲間同士の助け合いを援助することが大切と考えられる。
筆者は,特別支援を必要とする子どもたちの,生活年齢や性格特徴,学習および生活面での得意不得意等を知った上で学習意欲を引き出せるような効果的な指導法を考えるために,小学校の特別支援学級にて,先生方からのアドバイスを受けながら,学習支援を中心としたボランティア活動を行ってきた。その中で小学5年生の女子児童(Aさんとする)は,文字を書くことが好きで,プリント学習も積極的で得意であった。しかし補助されることが好きではなく,予定変更に応じることも困難であった。また他のクラメイトと関わることに乗り気でない場面が続いていた。筆者はAさんと関わりながら,Aさんとの信頼関係を深めていった。すると信頼形成の中で,甘えも表出されるようになった。それに対し筆者は、その甘えを受け止めつつも適度な距離を置いて関わり、またクラスメイトたちからも積極的に援助を受けたり交流が生まれたことで,Aさんの甘えは少なくなり,思いやり行動や集中力が高まってきた。本研究では,その期間のエピソード記録を振り返り詳細に検討することで,特別支援を要する児童の発達を促す,指導者やクラスメイトとの交流や信頼関係について,甘えを焦点化しながら説明する。
(方 法)
小学校の特別支援教室にて約10か月間,週2回(合計46回),授業補助・給食指導・掃除指導などをして,Aさんはじめクラスメイトの子どもたちと接し,成長プロセスに関するエピソードを記述しまとめた。
(結 果)
成長のエピソードは,指導側の効果的な方策と課題・クラスメイトからのサポート・Aさんの対人関係的な成長に注目すると,以下の三期にまとめられた。
第一期:日々の積み重ねの中での信頼関係の構築
わかりやすい指導やクラス活動への参加を促す働きかけにより,Aさんの意欲が向上した。また筆者に自己開示をする機会があり,心の距離が縮まった。
第二期:甘えとその対応・クラスメイトからのサポート
信頼関係に呼応するように,その場から動かなかったり,抱き付いて甘えることが生じるようになった。それを受け入れつつも,補助の必要性を見極めて適切に距離を取って指導したり,またこの時期から,クラスメイトたちが励ましたり,無くしたものを教えてくれるなどのサポートが多くなり,Aさんの甘えが落ち着いてきた。
第三期:他者への関心と思いやりの発達
Aさんは,筆者と他の児童が遊んでいる様子を応援したり,クラスメイトに対して優しく声掛けをするなどの思いやり行動が多くなってきた。突然の変更についても,変更点を事前に伝えることで,混乱なく対応できるようになってきた。意欲もさらに高まった。