[PE013] 全校体制で取り組んだ学級再生の実践
Q-Uの承認得点の推移による分析
キーワード:チーム支援, Q-Uの承認得点, 学級集団
1 研究の目的
学級崩壊中期の状態にあった小2年学級〈Figure1〉で,担任が5月から心身の不調を訴えて療休に入った。校内配置による代替担任を繰り返しながら学級の立て直しを全校体制で行い,12月のQ-Uでは,課題であった承認得点も65%の児童が平均値を上回り,1月に実施したCRTでも全国水準の結果がでた。学級再生に向けて全校体制で取り組んだ成果をQ-Uの承認得点の推移に基づいて分析した。
2 研究方法
⑴ 調査の対象
・学級:小学2年(男子16人,女子15人,計31人)
・担任:A担任の療休で,代替教員(D教諭)が見つかるまでの間,校内配置でB教諭とC教諭が担任した。
・Q-Uの承認得点(学級生活満足群+侵害行為認知群÷4群)の%表示で学級の推移を調べた。
⑵ 支援の経過
【A担任(H23/4月~H24/5/15)】
・「一斉授業が可能な児童を増やしていき,先生や友達の話を聞ける学級環境を整える」を基本方針に,支援員2名を配置して学級の立て直しを図ったが,教室に入れずに徘徊する5名の男子に苦戦した。
・教頭(報告者)が職員室に待機し,担任が支援を必要としたときに徘徊する児童への個別対応をした。
【B担任(5/20~5/25)】
・A教諭の療休にともない,音楽専科のB教諭が一週間担任として入り,ルール面での指導の徹底を行い,音楽の授業は,学級担任が担当してバックアップ体制をとった。
・教室を飛び出して泥遊びしていた男子が教室に入れるようになり,荒れた教室環境は整備できたが,承認得点は上がらない状態だった。
【C担任(5/28~6/7)】
・特別支援学級担任のC教諭が2週間常時入って教科指導を進め,特別支援学級には,教頭が中心となって,補充者と共に個別支援にあたった。
・徘徊を続ける3人の男子については,特別支援学級で取出し授業を行い,原級の教科指導を進めた。
・教室には居られそうだが,情緒的に不安定な2人については,保護者を交えた教育相談を行った。
【D担任(6/10~7/26~3/19)】
・D教諭による長期間担任の見通しができ,以下のような長期的展望で学級経営にあたった。
・個別の取り出し支援で必要なルールの徹底と学習支援を行う。
・保護者との教育相談を行いながら支援していく。
・授業における個別指導で,聞く力・集中力を高め,わかる喜びをもてるようにする。(例1:プリントを多くし,やれる子はどんどんやらせ,やれない子は個別指導を積極的に行う。例2:D担任の指示の後,理解できているかを補足説明する。)
・「学校は勉強するところ」という意識を高め,最小限の学級ルールを段階的に確立していく。
・運動会や音楽会などの行事を通して,集団としての活動と達成感を育てる。
・5~6人の小グループ(男女混合の生活班)での活動で,リーダーを育て,2ヶ月に1回ペースでグループ替えを行う。
・特別な支援が必要な児童に対しては,保護者や支援員を交えたチーム支援会議を積極的に行い,誰が,何を,いつまでにやるかを明確にした。
3 結果と考察
本事例では,学級集団の承認得点を上げるための支援を全校体制で行うことにより,学級崩壊中期の学級を正常型の学級に移行することができた。〈Figure2〉。その要因として以下の3点をあげることができる。
⑴ 不適応を起こす児童に対して取出し支援や教育相談を行うことにより,担任は学級集団づくりのために専念できた。
⑵ 個と学級集団の状態を行動観察法とQ-Uで検証したことで,支援策をチームで考えることができた。
⑶ 学級集団の正常化にともない,徘徊していた児童も学級集団に適応できるようになった。
学級崩壊中期の状態にあった小2年学級〈Figure1〉で,担任が5月から心身の不調を訴えて療休に入った。校内配置による代替担任を繰り返しながら学級の立て直しを全校体制で行い,12月のQ-Uでは,課題であった承認得点も65%の児童が平均値を上回り,1月に実施したCRTでも全国水準の結果がでた。学級再生に向けて全校体制で取り組んだ成果をQ-Uの承認得点の推移に基づいて分析した。
2 研究方法
⑴ 調査の対象
・学級:小学2年(男子16人,女子15人,計31人)
・担任:A担任の療休で,代替教員(D教諭)が見つかるまでの間,校内配置でB教諭とC教諭が担任した。
・Q-Uの承認得点(学級生活満足群+侵害行為認知群÷4群)の%表示で学級の推移を調べた。
⑵ 支援の経過
【A担任(H23/4月~H24/5/15)】
・「一斉授業が可能な児童を増やしていき,先生や友達の話を聞ける学級環境を整える」を基本方針に,支援員2名を配置して学級の立て直しを図ったが,教室に入れずに徘徊する5名の男子に苦戦した。
・教頭(報告者)が職員室に待機し,担任が支援を必要としたときに徘徊する児童への個別対応をした。
【B担任(5/20~5/25)】
・A教諭の療休にともない,音楽専科のB教諭が一週間担任として入り,ルール面での指導の徹底を行い,音楽の授業は,学級担任が担当してバックアップ体制をとった。
・教室を飛び出して泥遊びしていた男子が教室に入れるようになり,荒れた教室環境は整備できたが,承認得点は上がらない状態だった。
【C担任(5/28~6/7)】
・特別支援学級担任のC教諭が2週間常時入って教科指導を進め,特別支援学級には,教頭が中心となって,補充者と共に個別支援にあたった。
・徘徊を続ける3人の男子については,特別支援学級で取出し授業を行い,原級の教科指導を進めた。
・教室には居られそうだが,情緒的に不安定な2人については,保護者を交えた教育相談を行った。
【D担任(6/10~7/26~3/19)】
・D教諭による長期間担任の見通しができ,以下のような長期的展望で学級経営にあたった。
・個別の取り出し支援で必要なルールの徹底と学習支援を行う。
・保護者との教育相談を行いながら支援していく。
・授業における個別指導で,聞く力・集中力を高め,わかる喜びをもてるようにする。(例1:プリントを多くし,やれる子はどんどんやらせ,やれない子は個別指導を積極的に行う。例2:D担任の指示の後,理解できているかを補足説明する。)
・「学校は勉強するところ」という意識を高め,最小限の学級ルールを段階的に確立していく。
・運動会や音楽会などの行事を通して,集団としての活動と達成感を育てる。
・5~6人の小グループ(男女混合の生活班)での活動で,リーダーを育て,2ヶ月に1回ペースでグループ替えを行う。
・特別な支援が必要な児童に対しては,保護者や支援員を交えたチーム支援会議を積極的に行い,誰が,何を,いつまでにやるかを明確にした。
3 結果と考察
本事例では,学級集団の承認得点を上げるための支援を全校体制で行うことにより,学級崩壊中期の学級を正常型の学級に移行することができた。〈Figure2〉。その要因として以下の3点をあげることができる。
⑴ 不適応を起こす児童に対して取出し支援や教育相談を行うことにより,担任は学級集団づくりのために専念できた。
⑵ 個と学級集団の状態を行動観察法とQ-Uで検証したことで,支援策をチームで考えることができた。
⑶ 学級集団の正常化にともない,徘徊していた児童も学級集団に適応できるようになった。