The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PE

Thu. Aug 27, 2015 1:30 PM - 3:30 PM メインホールA (2階)

[PE030] ICTを活用した21世紀型スキル獲得に関する授業実践とその効果測定

メタ認知能力の変化:高一ギャップと高一ジャンプ

平真木夫1, 田幡憲一#2, 安藤明伸#3 (1.宮城教育大学, 2.宮城教育大学, 3.宮城教育大学)

Keywords:ICTの活用, メタ認知, 動機づけの変化

研究の背景
「21世紀型スキル」と呼ばれる基礎的・汎用的能力は以下のようにまとめることができるであろう。(1)主体性・働きかけ力・実行力,(2)課題発見力・計画力・創造力,(3)発信力・傾聴力・柔軟性・状況把握力・規律性・ストレスコントロール力。これらの能力がこれから生きていく社会で必要とされると考えられている。
しかしながら,一般的な日本の高校の授業では,参加型の授業やチームによる問題解決型の授業は他の国と比べても著しく少ない(日本青少年研究所, 2010)。日本の高校における授業の特徴として,講義形式主体の授業形態を挙げることができるが,この様な状況ではチームで協働して問題を解決するような能力を育成することは困難であり,先に挙げたような「21世紀型スキル」を獲得させるための授業実践にはほど遠いと言えるかもしれない。
そこで,1)デジタル教科書の活用法,2)タブレット端末の活用法,3)家庭学習での活用法(反転授業を意図して),4)ICT を活用した学習の評価,5)公務処理への活用法に関する研究プロジェクトを立ち上げ,協力校であるA高等学校において実践研究を行うことにした(田幡・安藤・平, 2014)。
検証方法:質問紙の構成
表に示した質問紙は「学校診断カルテ」(Taira, 2013)を修正したものである。協同に関する項目は「友人との学習活動尺度:岡田(2008)」を参考にした。2014年度の調査は,5月上旬,10月上旬の2回に分けて実施された。それぞれのデータ(尺度)は,重回帰分析を除いて繰り返しのあるデータとして分散分析されることになる。協力校のA高校にはT学科とK学科の2つの異なる学科があり,この要素も分散分析に含めた。
結果と考察
5月の時点でのメタ認知と10月の時点でのメタ認知の差を比べて,メタ認知が上昇した群,低下した群,それらの中間的な群に分け,これを独立変数とした。これに学科の違いも独立変数に加え,5月の動機と10月の動機を従属変数とした3要因の繰り返しのある分散分析を行った。その結果,2次の交互作用が有意であった。学科によって動機の変化に違いがあるものの,基本的には,メタ認知能力が上向きに変化するとやる気も向上し,逆に,下がるとやる気も下がることが示された。相対的に,メタ認知が低下した群は5月の時点では動機が高く,10月の時点ではメタ認知が低下したことによって動機も低下したことが示唆された。
文献
日本青少年研究所(2010).高校生の勉強に関する調査
田幡憲一・安藤明伸・平真木夫(2014).ICTを活用した高等学校学習指導改善の試み,日本理科教育学会第53回東北支部大会論文集(日本理科教育学会第53回東北支部大会実行委員会 編),p19
Taira, M, (2013). Resilience and School Transition Gaps in Japan. Ai-Girl, Tan (ed) Creativity, Talent, and Excellence. Chap.17, 247-261. (Springer Publishers)