[PE031] 女子短大生に対するグループワークプログラム実践の試み(3)
Keywords:グループワーク, 短期大学, 適応
【問題と目的】
近年,若者のコミュニケーション力の育成が様々な方面から期待されていることから,高岡ら(2013; 2014)では,短期大学において自己表現スキル・自己/他者理解スキル・アサーションスキル・会話維持スキル・問題解決スキルを体験的に学ぶグループワークプログラムを作成,実践し,各スキルの向上に役立ててきた。「若年者就職基礎能力」の中には意思疎通・協調性・自己表現力があげられており(厚生労働省,2007),より具体的なコミュニケーション能力が社会人として求められている。一方で,学生時代の交友が少ないと就職後に不適応を起こしやすい可能性も指摘されている(古我ら,1991)。本研究では具体的なスキルに加え,大学生活における交友や生活の充実感,自己効力感などがプログラムの実施によってどのように変化するかを検討した。
【方 法】
対象者:受講者9名(平均年齢19歳,SD=0.8),未受講者8名(平均年齢20歳,SD=0.5)だった。
プログラムの概要:本プログラムは各180分,全15回で構成され(高岡ら,2013; 2014),2014年9月~2015年1月の講義時間内に実施した。第2回から第9回は社会的スキルを中心に,第10回から第15回は問題解決スキルを中心に扱った。
測定尺度:測定尺度としては,①大学生活充実度(奥田ら,2010)②成人用ソーシャルスキル自己評定尺度(相川・藤田,2005),③大学生活充実感尺度(坂柳,1997),④日本語版ユーモアスタイル質問紙(吉田,2012),⑤特性的自己効力感尺度(成田ら,1995),⑥Problem Solving Inventory(PSI; Heppner & Petersen, 1982)を使用した。10月(2回目の講義時,以下,time 1),11月(9回目の講義終了時,以下,time 2),1月(15回目の講義時,以下,time 3)の3時点において質問紙調査を実施した。time 1では社会的スキルに関する尺度を,time 2では社会的スキル,問題解決スキルに関する尺度を,time 3では問題解決スキルに関する尺度を用いた。また,大学生活に関する尺度と自己効力感尺度については,time 1,2,3とも回答を求めた。
【結果と考察】
社会的スキル,ユーモアスタイル,問題解決スキルについて,それぞれのスキルを扱った期間の前後での指標の変化と群間の差を検討するため,群(受講者・未受講者)×時点(2)の2要因分散分析を行った。その結果,自虐的ユーモアスタイル得点で交互作用が有意であり(F[1,14]=8.74, p<.05),ソーシャルスキル合計得点で交互作用が有意傾向であった(F[1,14]=3.37, p<.10)。さらに,プログラムの進行に伴って大学生活や自己効力感がどのように変化していくかを検討するため,群(受講者・未受講者)×時点(3)の2要因分散分析を行った。結果,大学生活充実度の下位尺度であるフィット感得点,交友満足得点の交互作用がそれぞれ有意であり(順に,F[1,14]=7.02, p<.05; F[1,14]=13.95, p<.05),自己効力感得点の交互作用が有意傾向であった(F[1,14]=3.48, p<.10)。フィット感,交友満足,自己効力感の3時点での得点の変化をそれぞれ見ると,フィット感と交友満足の得点についてはtime 1からtime 2にかけて大きく増加しており,自己効力感得点はtime 2からtime 3で大きく増加していた。プログラム内で社会的スキルを扱い,コミュニケーションに関するスキルが底上げされたことによってtime 2でフィット感や交友満足の得点が伸びたことが考えられる。高岡ら(2014)での対象者は1年生であったが,本研究での対象者は2年生の者が多かったため,プログラム受講と並行して就職活動を行っている者も見受けられた。今後の課題として,本プログラムで各種スキルや大学生活を充実させることが就職後の適応やさらなるスキルの獲得にどう影響しているかまでを検討し,内容を洗練させていく必要があると考えられる。
近年,若者のコミュニケーション力の育成が様々な方面から期待されていることから,高岡ら(2013; 2014)では,短期大学において自己表現スキル・自己/他者理解スキル・アサーションスキル・会話維持スキル・問題解決スキルを体験的に学ぶグループワークプログラムを作成,実践し,各スキルの向上に役立ててきた。「若年者就職基礎能力」の中には意思疎通・協調性・自己表現力があげられており(厚生労働省,2007),より具体的なコミュニケーション能力が社会人として求められている。一方で,学生時代の交友が少ないと就職後に不適応を起こしやすい可能性も指摘されている(古我ら,1991)。本研究では具体的なスキルに加え,大学生活における交友や生活の充実感,自己効力感などがプログラムの実施によってどのように変化するかを検討した。
【方 法】
対象者:受講者9名(平均年齢19歳,SD=0.8),未受講者8名(平均年齢20歳,SD=0.5)だった。
プログラムの概要:本プログラムは各180分,全15回で構成され(高岡ら,2013; 2014),2014年9月~2015年1月の講義時間内に実施した。第2回から第9回は社会的スキルを中心に,第10回から第15回は問題解決スキルを中心に扱った。
測定尺度:測定尺度としては,①大学生活充実度(奥田ら,2010)②成人用ソーシャルスキル自己評定尺度(相川・藤田,2005),③大学生活充実感尺度(坂柳,1997),④日本語版ユーモアスタイル質問紙(吉田,2012),⑤特性的自己効力感尺度(成田ら,1995),⑥Problem Solving Inventory(PSI; Heppner & Petersen, 1982)を使用した。10月(2回目の講義時,以下,time 1),11月(9回目の講義終了時,以下,time 2),1月(15回目の講義時,以下,time 3)の3時点において質問紙調査を実施した。time 1では社会的スキルに関する尺度を,time 2では社会的スキル,問題解決スキルに関する尺度を,time 3では問題解決スキルに関する尺度を用いた。また,大学生活に関する尺度と自己効力感尺度については,time 1,2,3とも回答を求めた。
【結果と考察】
社会的スキル,ユーモアスタイル,問題解決スキルについて,それぞれのスキルを扱った期間の前後での指標の変化と群間の差を検討するため,群(受講者・未受講者)×時点(2)の2要因分散分析を行った。その結果,自虐的ユーモアスタイル得点で交互作用が有意であり(F[1,14]=8.74, p<.05),ソーシャルスキル合計得点で交互作用が有意傾向であった(F[1,14]=3.37, p<.10)。さらに,プログラムの進行に伴って大学生活や自己効力感がどのように変化していくかを検討するため,群(受講者・未受講者)×時点(3)の2要因分散分析を行った。結果,大学生活充実度の下位尺度であるフィット感得点,交友満足得点の交互作用がそれぞれ有意であり(順に,F[1,14]=7.02, p<.05; F[1,14]=13.95, p<.05),自己効力感得点の交互作用が有意傾向であった(F[1,14]=3.48, p<.10)。フィット感,交友満足,自己効力感の3時点での得点の変化をそれぞれ見ると,フィット感と交友満足の得点についてはtime 1からtime 2にかけて大きく増加しており,自己効力感得点はtime 2からtime 3で大きく増加していた。プログラム内で社会的スキルを扱い,コミュニケーションに関するスキルが底上げされたことによってtime 2でフィット感や交友満足の得点が伸びたことが考えられる。高岡ら(2014)での対象者は1年生であったが,本研究での対象者は2年生の者が多かったため,プログラム受講と並行して就職活動を行っている者も見受けられた。今後の課題として,本プログラムで各種スキルや大学生活を充実させることが就職後の適応やさらなるスキルの獲得にどう影響しているかまでを検討し,内容を洗練させていく必要があると考えられる。