[PE050] 友人への援助要請行動に関係効力性が及ぼす影響
キーワード:援助要請行動, 関係効力性, 友人関係
問題と目的
大学生は悩みを抱えた際に,専門機関ではなく,友人や家族への援助要請行動を取りやすいことが指摘されている(木村・水野,2004)。一方,援助要請行動を取ったとしても,必ずしも精神的健康にポジティブに働くわけではないことが指摘されている。例えば,友人からのサポート期待とサポート受容とのズレと不適応との関連や,サポート源への信頼感の低下などが示されている(中村・浦,2000a,2000b)。そのため,友人への援助要請行動を促進するには,友人関係の良好さやサポート期待だけでなく,二者間に存在する間主観的な要因に着目する必要がある。
二者間に存在する間主観的な要因として,関係効力性がある。関係効力性とは,二者で共有された効力期待を指し,自分たちの関係を脅かしうる問題の予防や解決に向けて二者双方の資源を強調的ないしは統合的に活用できるというものである(浅野,2011)。本研究では,大学での親密な友人関係における関係効力性が,援助要請行動頻度と援助不安に及ぼす影響について検討する。
方法
対象と手続き:親密な友人とのペア単位での質問紙調査を依頼した。親密な友人関係61組(男性28組,女性33組,平均19.04歳,SD=0.62)から有効回答が得られた。関係継続期間は平均11.98ヶ月(SD=10.13,range=6-82)であった。
調査内容:①関係効力性:Murray & Holmes(1997)が作成し,浅野(2009)が邦訳・評定方法を修正した親密な対人関係に関する効力感尺度を使用した。②援助要請行動頻度:木村・水野(2004)を用い,「めったに求めない」~「よく求める」の5段階で,行動頻度を尋ねた。③呼応性の不安:水野ら(2006)の援助不安尺度の下位尺度を用いた。
結果
二者の間主観的プロセスと個人の主観的プロセスを弁別するため,マルチレベル構造方程式モデリング(Multilevel Structural Equation Modeling:以下MSEMとする)による分析を行った。分析は,級内相関係数をHAD(清水・村山・大坊,2006)によって算出し,MSEM(最尤法)による分析をMplus(Muthen&Muthen,2007)を用いて行った(Table 1,Figure 1)。
考察
関係効力性の高いペアは,二人とも呼応性の不安が低く,援助要請行動を頻繁に取る傾向があること,関係への自己効力性の高い人は,呼応性の不安が低いことが示された。WithinモデルよりBetweenモデルの説明率が高いことから,援助要請行動に対し,個人要因ではない,状況や他者からの影響は十分な予測力を示しうることが推測された。
大学生は悩みを抱えた際に,専門機関ではなく,友人や家族への援助要請行動を取りやすいことが指摘されている(木村・水野,2004)。一方,援助要請行動を取ったとしても,必ずしも精神的健康にポジティブに働くわけではないことが指摘されている。例えば,友人からのサポート期待とサポート受容とのズレと不適応との関連や,サポート源への信頼感の低下などが示されている(中村・浦,2000a,2000b)。そのため,友人への援助要請行動を促進するには,友人関係の良好さやサポート期待だけでなく,二者間に存在する間主観的な要因に着目する必要がある。
二者間に存在する間主観的な要因として,関係効力性がある。関係効力性とは,二者で共有された効力期待を指し,自分たちの関係を脅かしうる問題の予防や解決に向けて二者双方の資源を強調的ないしは統合的に活用できるというものである(浅野,2011)。本研究では,大学での親密な友人関係における関係効力性が,援助要請行動頻度と援助不安に及ぼす影響について検討する。
方法
対象と手続き:親密な友人とのペア単位での質問紙調査を依頼した。親密な友人関係61組(男性28組,女性33組,平均19.04歳,SD=0.62)から有効回答が得られた。関係継続期間は平均11.98ヶ月(SD=10.13,range=6-82)であった。
調査内容:①関係効力性:Murray & Holmes(1997)が作成し,浅野(2009)が邦訳・評定方法を修正した親密な対人関係に関する効力感尺度を使用した。②援助要請行動頻度:木村・水野(2004)を用い,「めったに求めない」~「よく求める」の5段階で,行動頻度を尋ねた。③呼応性の不安:水野ら(2006)の援助不安尺度の下位尺度を用いた。
結果
二者の間主観的プロセスと個人の主観的プロセスを弁別するため,マルチレベル構造方程式モデリング(Multilevel Structural Equation Modeling:以下MSEMとする)による分析を行った。分析は,級内相関係数をHAD(清水・村山・大坊,2006)によって算出し,MSEM(最尤法)による分析をMplus(Muthen&Muthen,2007)を用いて行った(Table 1,Figure 1)。
考察
関係効力性の高いペアは,二人とも呼応性の不安が低く,援助要請行動を頻繁に取る傾向があること,関係への自己効力性の高い人は,呼応性の不安が低いことが示された。WithinモデルよりBetweenモデルの説明率が高いことから,援助要請行動に対し,個人要因ではない,状況や他者からの影響は十分な予測力を示しうることが推測された。