[PE051] 大学生のストレス反応に及ぼす影響
一人暮らしの大学生の友人関係,学業,部活動による検討
キーワード:ストレス反応, 大学生, 一人暮らし
問題と目的
青年期はアイデンティティの確立する段階として,心身ともに大人に向かい,社会に出る準備をする重要な段階である。そして社会へ進出する準備の中で,様々なストレスや不安を感じることになる。警察庁の発表によると,平成25年度自殺者数は27,283人であり,依然として高い値になっている(内閣府,平成25年)。その中で20歳より自殺者数が急増し,さらに,H23年の大学生自殺者は1029人で,昭和53年以来,初の1000人を突破した。集団生活の中で大学生は,「友人関係」,「部活動」,「学業」といった学校ストレッサーを経験する(岡安・嶋田・坂野,1992;嶋田・戸ヶ崎,1999;三浦,2002)。特に大学生になると一人暮らしをし始める学生が多く,一人暮らしの場合のメンタルヘルスが懸念される。上記より本研究では,一人暮らしの大学生の友人関係,部活動,学業がメンタルヘルスに及ぼす影響について検討する。
方 法
調査対象:首都圏の私立大学生223名(男子121名,女子102名)
調査時期:2014年11月~12月
調査内容:①フェイスシート:学年,年齢,性別,一人暮らしをしているか,の記入を求めた。②加藤(2001)の友人関係満足感尺度。6項目,4件法。③部活動について,a部活動の有無,b部活動の上下関係(6段階評価),c部活動の満足度(6段階評価)。④学業について,a授業の満足度(6段階評価),b成績レベル(6段階評価),c成績の満足度(6段階評価)。⑤鈴木(1997)心理的ストレス反応尺度。18項目,4件法。
結果と考察
⑴ まず,一人暮らしをしている学生とそうでない学生のストレス反応について検討するため,T検定を行った。その結果,「抑うつ・不安」において,一人暮らしをしている学生の方が一人暮らしをしていない学生よりストレス反応が有意に高いことが示された(t(219)=2.16, p<.05)。「不機嫌・怒り」,「無気力」においては有意な差が見られなかった(Figure 1)。
⑵ 次に,一人暮らしをしている学生と一人暮らしをしていない学生に分けて,友人関係,部活動,学業を説明変数,ストレス反応尺度を構成する3変数をそれぞれ目的変数とする重回帰分析(強制投入法)を行った。その結果,一人暮らしをしている学生において,友人関係,部活動,学業がストレス反応に影響を及ぼすことが明らかになった。一人暮らしをしていない学生においては,あまり影響を及ぼしてなかった。一人暮らしをしている学生において,友人関係は「ストレス反応」の全ての下位尺度に負の影響を与えることが明らかになった。「部活動の満足度」と「成績の満足度」はストレス反応の「抑うつ・不安」に正の影響を及ぼした。さらに「部活動の満足度」は「無気力」に正の影響を及ぼした(Figure 2)。
以上より,大学生において,良好な友人関係はストレス反応を低下させる反面,部活動,学業は,満足した結果が得られたとしても,本人が感じているストレスは高くなることが考えられる。
青年期はアイデンティティの確立する段階として,心身ともに大人に向かい,社会に出る準備をする重要な段階である。そして社会へ進出する準備の中で,様々なストレスや不安を感じることになる。警察庁の発表によると,平成25年度自殺者数は27,283人であり,依然として高い値になっている(内閣府,平成25年)。その中で20歳より自殺者数が急増し,さらに,H23年の大学生自殺者は1029人で,昭和53年以来,初の1000人を突破した。集団生活の中で大学生は,「友人関係」,「部活動」,「学業」といった学校ストレッサーを経験する(岡安・嶋田・坂野,1992;嶋田・戸ヶ崎,1999;三浦,2002)。特に大学生になると一人暮らしをし始める学生が多く,一人暮らしの場合のメンタルヘルスが懸念される。上記より本研究では,一人暮らしの大学生の友人関係,部活動,学業がメンタルヘルスに及ぼす影響について検討する。
方 法
調査対象:首都圏の私立大学生223名(男子121名,女子102名)
調査時期:2014年11月~12月
調査内容:①フェイスシート:学年,年齢,性別,一人暮らしをしているか,の記入を求めた。②加藤(2001)の友人関係満足感尺度。6項目,4件法。③部活動について,a部活動の有無,b部活動の上下関係(6段階評価),c部活動の満足度(6段階評価)。④学業について,a授業の満足度(6段階評価),b成績レベル(6段階評価),c成績の満足度(6段階評価)。⑤鈴木(1997)心理的ストレス反応尺度。18項目,4件法。
結果と考察
⑴ まず,一人暮らしをしている学生とそうでない学生のストレス反応について検討するため,T検定を行った。その結果,「抑うつ・不安」において,一人暮らしをしている学生の方が一人暮らしをしていない学生よりストレス反応が有意に高いことが示された(t(219)=2.16, p<.05)。「不機嫌・怒り」,「無気力」においては有意な差が見られなかった(Figure 1)。
⑵ 次に,一人暮らしをしている学生と一人暮らしをしていない学生に分けて,友人関係,部活動,学業を説明変数,ストレス反応尺度を構成する3変数をそれぞれ目的変数とする重回帰分析(強制投入法)を行った。その結果,一人暮らしをしている学生において,友人関係,部活動,学業がストレス反応に影響を及ぼすことが明らかになった。一人暮らしをしていない学生においては,あまり影響を及ぼしてなかった。一人暮らしをしている学生において,友人関係は「ストレス反応」の全ての下位尺度に負の影響を与えることが明らかになった。「部活動の満足度」と「成績の満足度」はストレス反応の「抑うつ・不安」に正の影響を及ぼした。さらに「部活動の満足度」は「無気力」に正の影響を及ぼした(Figure 2)。
以上より,大学生において,良好な友人関係はストレス反応を低下させる反面,部活動,学業は,満足した結果が得られたとしても,本人が感じているストレスは高くなることが考えられる。