日本教育心理学会第57回総会

講演情報

ポスター発表

ポスター発表 PE

2015年8月27日(木) 13:30 〜 15:30 メインホールA (2階)

[PE054] 父親の子育て参加(1)

成育歴が現在の育児に与える影響

高橋陽香1, 大久保義美2, 安念保昌3 (1.愛知みずほ大学大学院, 2.愛知みずほ大学, 3.愛知みずほ大学)

キーワード:父親, 子育て, 成育歴

目的
近年,男性の育児参加が期待されるようになってきたが,育児に関して夫婦の認識はずれている。多くの男性は「自分は出来る範囲でやっていると思うのに,妻はそれを認めてくれないと言っている(宮木,2014)」男性の“出来る範囲”は女性からすると満足できるものではないのではないか。そこで,父親が育児を積極的に行うためにはどのような促しが必要であるかを明らかにする為,父母の成育歴が現在の育児にどう影響しているかを検討する。
方法
豊田市のA幼稚園の保護者305名,B幼稚園の保護者213名計519名に質問紙調査を実施し,結果を分析した。
質問紙の構成:子育て観について(子ども観尺度 11問),生育歴について(親の養育態度尺度・親子関係認知尺度 17問),現在している育児について(11問),子どもの態度について(17問)の計56問を4件法で行った。それぞれの質問項目に関して,プロマック回転を伴う主因子法因子分析を行った。
結果と考察
成育歴は,受容,しつけ,子どもの言いなりの3因子,子どもへの態度は,受容,しつけ,子どもの言いなりの3因子,子育て観は,自己成長・責任,専業主婦,無関心の3因子が見いだされた。
父母の生育歴の3因子を独立変数とし,子育て観,子どもへの態度の3因子を従属変数とする,ステップワイズによる重回帰分析を行った。その結果,幼少時に受容されたと思っている父親は,自分の子どもにも受容する傾向が認められ,幼少時にしつけをされたと思っている父親は,自分の子どもにもしつけをする傾向があった(図1)。
母親は幼少時に受容されたと思っていると,子育ては責任あるもので更に自己成長するものと思っており,子どもに対してしっかりしつけをする傾向にある。幼少時にしつけをされたと思っている母親は,まず子どもを受容する傾向がある。幼少時,親が言いなりに育った母親は,子育てには無関心となるが,子どもは受容する傾向が見られた(図2)。
男性は,自分の成育歴のまま子どもへの態度に反映させているが,女性は必ずしも成育歴のまま育児をしているわけではない。それは成育歴を参考にしつつ,自分で新たな情報を集め育児をしているからだと考えられる。このことから男性も新たな知識をつけ,育児を積極的に行う為,女性が言葉で伝える,書物を見せるなどの働きかけが必要と考える。