[PE067] 不登校経験者のその後の適応に関する考察
通信制高校卒業生への質問紙調査から
キーワード:1, 2, 3
1.問題・目的
小中学校における不登校児童生徒のその後の進路先として,通信制高校,単位制高校,定時制高校などの高校が重要な場になっている。本研究では,通信制高校を卒業した生徒を対象として質問紙調査を行い,小中学校における不登校経験,通信制高校での適応とその後の進路や適応状況との関連について検討を行うこととする。
2.方法
(1)調査方法 郵送による質問紙調査,(2)調査時期 平成26年7月,(3)調査対象 A通信制高等学校の平成19~24年度卒業生2,020名に質問紙を郵送し,314名から回答を得た(回収率15.5%),(4)調査内容 ①フェイスシート,②高校での出席状況,③高校生活の満足度,④現在の就学・就職状況,⑤自己受容,⑥不登校経験の有無
3.結果・考察
(1)不登校経験の有無 小中学校で不登校経験のある生徒は236名であり,回答者の約8割は不登校の経験があった。
(2)高校での適応状況 高校の出席状況について不登校経験による差が見られ(χ2(4)=36.94,p<.01),不登校経験なし群では「ほとんど休まない」生徒が約9割に対し,不登校経験あり群では「ほとんど休まない」が約5割であった。次に,高校生活への満足度は不登校経験あり群,なし群による差は見られなかった(χ2(4)=7.38,p>.10)。いずれの群も「大変満足」「やや満足」と回答した生徒が約8~9割と,多くの生徒が高校生活に満足感を持っていたことがうかがえた。
(3)不登校経験と現在の適応状況 現在の就学・就職状況については,就学中の生徒(専門学校生,短大生,大学生)が29.4%,就業中の生徒(正社員,アルバイト・パート)が44.5%であり,多くの生徒は学校や職場に所属していたが,「アルバイト・パート」が27.4%と多く,「無職」も9.7%であることから進路先が不安定な生徒も多いことが推測された。次に,不登校経験と現在の適応状況の関連について検討するため,不登校経験あり群,なし群ごとに自己受容得点を算出した(Table1)。高校入学前は「1.性格について理解していた」「3.気持ちを表現できていた」「4.やりたいこと,熱中できることがあった」「9.同じクラスや部活以外の人とも仲が良かった」「10.先輩や後輩とも積極的に関わっていた」「11.人からどう見られるかを気にしていた」「12.自分と他の人とを比べていた」「13.自分を大切にしていた」「14.自分に自信を持っていた」など多くの項目で差が見られたのに対し,現在では「6.自分自身について考えている」の項目でのみ差が見られた。不登校経験のある生徒の自己受容が高校入学前と現在では変化し,不登校経験を乗り越え,自分自身の生き方を見出している者も少なくないことが推測された。
小中学校における不登校児童生徒のその後の進路先として,通信制高校,単位制高校,定時制高校などの高校が重要な場になっている。本研究では,通信制高校を卒業した生徒を対象として質問紙調査を行い,小中学校における不登校経験,通信制高校での適応とその後の進路や適応状況との関連について検討を行うこととする。
2.方法
(1)調査方法 郵送による質問紙調査,(2)調査時期 平成26年7月,(3)調査対象 A通信制高等学校の平成19~24年度卒業生2,020名に質問紙を郵送し,314名から回答を得た(回収率15.5%),(4)調査内容 ①フェイスシート,②高校での出席状況,③高校生活の満足度,④現在の就学・就職状況,⑤自己受容,⑥不登校経験の有無
3.結果・考察
(1)不登校経験の有無 小中学校で不登校経験のある生徒は236名であり,回答者の約8割は不登校の経験があった。
(2)高校での適応状況 高校の出席状況について不登校経験による差が見られ(χ2(4)=36.94,p<.01),不登校経験なし群では「ほとんど休まない」生徒が約9割に対し,不登校経験あり群では「ほとんど休まない」が約5割であった。次に,高校生活への満足度は不登校経験あり群,なし群による差は見られなかった(χ2(4)=7.38,p>.10)。いずれの群も「大変満足」「やや満足」と回答した生徒が約8~9割と,多くの生徒が高校生活に満足感を持っていたことがうかがえた。
(3)不登校経験と現在の適応状況 現在の就学・就職状況については,就学中の生徒(専門学校生,短大生,大学生)が29.4%,就業中の生徒(正社員,アルバイト・パート)が44.5%であり,多くの生徒は学校や職場に所属していたが,「アルバイト・パート」が27.4%と多く,「無職」も9.7%であることから進路先が不安定な生徒も多いことが推測された。次に,不登校経験と現在の適応状況の関連について検討するため,不登校経験あり群,なし群ごとに自己受容得点を算出した(Table1)。高校入学前は「1.性格について理解していた」「3.気持ちを表現できていた」「4.やりたいこと,熱中できることがあった」「9.同じクラスや部活以外の人とも仲が良かった」「10.先輩や後輩とも積極的に関わっていた」「11.人からどう見られるかを気にしていた」「12.自分と他の人とを比べていた」「13.自分を大切にしていた」「14.自分に自信を持っていた」など多くの項目で差が見られたのに対し,現在では「6.自分自身について考えている」の項目でのみ差が見られた。不登校経験のある生徒の自己受容が高校入学前と現在では変化し,不登校経験を乗り越え,自分自身の生き方を見出している者も少なくないことが推測された。