The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PF

Thu. Aug 27, 2015 4:00 PM - 6:00 PM メインホールA (2階)

[PF003] 学校危機への臨床心理士による支援の実態(1)

事案の種別,依頼ルート,支援期間など

窪田由紀1, 樋渡孝徳2, 山田幸代3, 向笠章子4, 林幹男5, 山下陽平6 (1.名古屋大学, 2.北九州市スクールカウンセラー, 3.北九州市子ども総合センター, 4.聖マリア病院, 5.福岡大学, 6.名古屋大学)

Keywords:学校危機, 臨床心理士, 緊急支援

問題と目的
突然の事件・事故の遭遇等によって生じる学校危機への臨床心理士による支援は,徐々に体制が整備され,2009年11月の調査では,児童生徒の自殺を含む重大な事件・事故の発生時に都道府県臨床心理士会の約7割が学校・教育委員会の依頼によって支援を行うとの回答が得られた(窪田,2010)。しかしながら,実施体制や支援プログラムの詳細は明らかではない。本報告では,より実効性の高い体制整備やプログラムの精緻化に向けての基礎資料を得るために実施した臨床心理士アンケートから,支援対象となった事案の種別,依頼ルート,支援期間について検討する。
方法
調査協力者と実施方法 都道府県臨床心理士会事務局宛に学校臨床心理士ワーキンググループ(以下WG)都道府県コーディネータ(以下Cdnr)に調査票(Cdnr用2部,臨床心理士(以下CP)用15部)を送付し,Cdnrとしての自身の回答と緊急支援経験のあるCPへの配布を依頼した。申し出があった都道府県臨床心理士会には追加送付を行った。実施に際して名古屋大学教育発達科学研究科倫理委員会の承認(13-428)を得た。
質問紙の構成 質問紙の構成はTable1の通り。
結果と考察
回答者 263名(38都道府県士会)。女性213名(81.3%),男性48名(18.3%),平均46.23歳(10.81),平均SC歴10.08年(5.01)であった。( )内はSD。
学校緊急支援経験 1人当たりの総経験数は1~149件で,平均6.72件(12.00),中央値は4件。事案別の支援経験の有無と総支援件数(Table2)によると,児童生徒の自殺,学校管理外・管理下の事件・事故,教師の不祥事の順に支援経験が多い。立場としては,当該校SCが707件に対して,外部からが1049件と多くなっている。
支援期間 支援期間は0.5日から2920日との記載があったが,0.5日~3日(77件,32.35%),4日~7日(71件,29.83%),8日~14日(43件,18.07%)で,14日以内で80.25%を占めた。
緊急支援終了の基準 緊急支援終了の基準をTable3に示した。学校コミュニティの鎮静が最も多いが,事前の計画や予算の制限など,人為的な要因によるものも30%以上となっている。
まとめと今後の課題
事案別支援件数の順は,A県の支援件数182件の内訳(向笠ら,2013)と一致していた。支援期間や支援終了の基準については事案による違いや実際にどのようなプログラムが実施されたかによる違いも含めて詳細に検討する必要がある。
*本研究の実施に際しては日本学術振興会科研費 基盤研究(B)(No.25285191)の助成を受けた。