[PF018] 理科の授業での話し合い参加の要因の検討(2)
学級の特徴によって話し合いの内容に違いは見られるのか
Keywords:協同学習, 公的自己意識, 話し合い
問題と目的
綾田・河口・湯浅・大久保(2015)によると,小学5年生の理科の授業におけるグループでの話し合いについて,発話に影響を与える要因は学級や児童の特徴によって異なることが明らかになった。観察を行なった2学級のうち,「他者の目が気になる学級」では実験の予想を話し合う場面において理科の学習に対する内発的動機づけの高い児童の発話頻度が高いことから,理科に対する興味の高い児童が話題の中心になっていることが示唆された。「他者の目が気になる学級」と,「他者の目を気にしない学級」では話し合い参加に影響を及ぼす要因が異なっていたため,話し合いの内容についても異なることが考えられる。
以上をふまえ,本研究では理科の授業での話し合い場面において,学級や児童の特徴の異なることによって,話し合いの内容がどのように異なるのか検討することを目的とする。
方 法
対象者 小学校5年生の2学級の児童72名のうち,授業観察日に欠席していた者,機材の不具合や誤操作により発話の採取が困難であった者を除いた48名を分析対象とした。
発話の採取方法 児童の出席番号順に構成された4,5名のグループごとに,ビデオカメラとICレコーダーを設置し発話を採取した。採取した映像と音声をもとにトランスクリプトを作成し,教師の指示により開始されたグループでの話し合い場面における児童の発話を分析対象とした。
発話のカテゴリ分析 本研究では,グル―プの話し合い場面における発話の内容を検討するため,町・中谷(2014)の「グループ学習における発話分類カテゴリ」をもとに1発話単位ごとに分類を行なった。分類は大学院生2名によって行われた。分類が一致しなかったものは協議のうえ決定した。
授業観察 5年生理科の単元「電流が生み出す力」の1時間を対象とした。授業時間の中のグループでの話し合いについて,本研究では話し合いの内容や目的によって発話内容が異なると考え,「予想を立てる場面」「実験を行なう場面」の2つに分けて分析・解釈を行なった。
結果と考察
町・中谷(2014)に倣い,授業中の発話を,自分の考えを詳しく説明したり相手に説明を求める「深い学習関連」,意見を発表したり単純な質問を行なう「浅い学習関連」,意見を聞こうなど話し合いの成立のための注意や指示を行なう「グループ学習運営・維持関連」,ふざけや独り言などの「非学習関連」に分類した。本研究では実験を行なう授業であったため,実験器具の使い方に関する発話である「実験作業関連」を新たに追加した。
学級によって話し合いの内容に違いが見られるか検討するためχ2検定を行なった(Table 1, 2)。
その結果,「他者の目を気にしない学級」は,「他者の目が気になる学級」に比べて,「実験の予想を立てる話し合い」「実験中の話し合い」の場面において学習に関連した話題の割合が多いことがわかった。「他者の目が気になる学級」では,理科に対する興味の高い児童が発話を多く行なっていることから,予想を話し合う場面において,児童の関心の高い実験作業についての話題が先行した結果,予想についての話を深められなかったのではないかと考えられる。今後の課題として,学級だけでなく話し合いを行なうグループの性質や雰囲気と発話の内容との関連を検討することが求められる。
綾田・河口・湯浅・大久保(2015)によると,小学5年生の理科の授業におけるグループでの話し合いについて,発話に影響を与える要因は学級や児童の特徴によって異なることが明らかになった。観察を行なった2学級のうち,「他者の目が気になる学級」では実験の予想を話し合う場面において理科の学習に対する内発的動機づけの高い児童の発話頻度が高いことから,理科に対する興味の高い児童が話題の中心になっていることが示唆された。「他者の目が気になる学級」と,「他者の目を気にしない学級」では話し合い参加に影響を及ぼす要因が異なっていたため,話し合いの内容についても異なることが考えられる。
以上をふまえ,本研究では理科の授業での話し合い場面において,学級や児童の特徴の異なることによって,話し合いの内容がどのように異なるのか検討することを目的とする。
方 法
対象者 小学校5年生の2学級の児童72名のうち,授業観察日に欠席していた者,機材の不具合や誤操作により発話の採取が困難であった者を除いた48名を分析対象とした。
発話の採取方法 児童の出席番号順に構成された4,5名のグループごとに,ビデオカメラとICレコーダーを設置し発話を採取した。採取した映像と音声をもとにトランスクリプトを作成し,教師の指示により開始されたグループでの話し合い場面における児童の発話を分析対象とした。
発話のカテゴリ分析 本研究では,グル―プの話し合い場面における発話の内容を検討するため,町・中谷(2014)の「グループ学習における発話分類カテゴリ」をもとに1発話単位ごとに分類を行なった。分類は大学院生2名によって行われた。分類が一致しなかったものは協議のうえ決定した。
授業観察 5年生理科の単元「電流が生み出す力」の1時間を対象とした。授業時間の中のグループでの話し合いについて,本研究では話し合いの内容や目的によって発話内容が異なると考え,「予想を立てる場面」「実験を行なう場面」の2つに分けて分析・解釈を行なった。
結果と考察
町・中谷(2014)に倣い,授業中の発話を,自分の考えを詳しく説明したり相手に説明を求める「深い学習関連」,意見を発表したり単純な質問を行なう「浅い学習関連」,意見を聞こうなど話し合いの成立のための注意や指示を行なう「グループ学習運営・維持関連」,ふざけや独り言などの「非学習関連」に分類した。本研究では実験を行なう授業であったため,実験器具の使い方に関する発話である「実験作業関連」を新たに追加した。
学級によって話し合いの内容に違いが見られるか検討するためχ2検定を行なった(Table 1, 2)。
その結果,「他者の目を気にしない学級」は,「他者の目が気になる学級」に比べて,「実験の予想を立てる話し合い」「実験中の話し合い」の場面において学習に関連した話題の割合が多いことがわかった。「他者の目が気になる学級」では,理科に対する興味の高い児童が発話を多く行なっていることから,予想を話し合う場面において,児童の関心の高い実験作業についての話題が先行した結果,予想についての話を深められなかったのではないかと考えられる。今後の課題として,学級だけでなく話し合いを行なうグループの性質や雰囲気と発話の内容との関連を検討することが求められる。