The 57th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表

ポスター発表 PF

Thu. Aug 27, 2015 4:00 PM - 6:00 PM メインホールA (2階)

[PF049] ポストモダンにおける大学生の成長モデルと時間的展望獲得に関する探索的研究(2)

川上正浩1, 坂田浩之#2, 佐久田祐子#3, 奥田亮#4 (1.大阪樟蔭女子大学, 2.大阪樟蔭女子大学, 3.大阪樟蔭女子大学, 4.大阪樟蔭女子大学)

Keywords:大学生, ポストモダン, 成長

問題と目的
大人社会の権威が失墜して,“大きな物語”を喪失し,価値観が多様化したポストモダンを生きる現在の大学生にとって,成長とは実際どのようなものであるかを把握することを目的とし,川上他(2014),佐久田他(2014)は,大学生が4年間の学生生活の中でどのように成長するのか,その実際を記録し,その記録を分析することにより,いくつかの変容パターン(成長モデル)を抽出することを目指した。1年次入学時から2年次春まで,3時点で行った一問一答式インタビューの結果を分析した川上他,佐久田他は,将来について気になりだすも現状の目標としては,とりあえず“楽しく”と漠然とした目標のまま日常を過ごすものが彼女らのメジャー層であることを示した。一方で,入学当初から卒業後不安に言及することなく,一貫して“楽しく過ごしたい”と述べる層(対極層1)や,将来について気になり出す一方で資格などの具体的な目標に言及しだすもの(対極層2)とが存在することも示された。
本研究では,佐久田他(2014)に続き,メジャー層(大学に入学して1年間過ごす中で,将来への不安が生じてくるが学生生活は「楽しく充実して」過ごしたい,と述べる。夢は漠然化・未定になる傾向。),対極層1(入学後1年間過ごす中で不安なこととして,将来のことが語られない。学生生活は「楽しく充実して」過ごしたい,と述べる。夢は全体的に具体的。),対極層2(大学に入学して1年間過ごす中で,将来への不安が生じてくる。大学生活の過ごし方について「楽しく充実して」といった表現はしない。夢は具体化している。)の3層の大学生が,卒業時にどのような特徴を示すのか,川上他(2014)と同様の方法で彼女らが卒業間際にインタビューを行い,回答された内容を分析する。
方 法
調査対象者 佐久田他(2014)で上述の3層に分類された本学心理学部大学生18名。
実施時期 4年次冬(2015年2月)。
調査内容 調査対象者に対し,大学生活の実際と現在の思いに関する質問について一問一答形式で回答を求めるインタビューを行い,その様子をデジタルビデオで記録した。本報告では「大学生活であなたが一番楽しみにしていたことは何ですか」という問いに対する回答を分析する。
結果と考察
佐久田他(2014)の分類によれば,メジャー層の大学生が8名,対極層1が6名,対極層2が4名となっている。各層の大学生において,卒業間際の「大学生活で楽しみにしていたこと」に対して,心理学や授業等,学業に関わること(学業)に言及されるか,友人等,交友に関わること(交友)に言及されるかに注目した。筆者らで協議のうえ,回答内容を学業,交友,その他(学業,交友両方への言及含む)のいずれかに分類し,3層それぞれでその人数をカウントした(表1)。人数が十分に多くないため統計的な検定は行わないが,メジャー層では交友への言及,対極層1では学業への言及が多い傾向が見て取れる。すなわち,概ね大学生活を“楽しく”過ごしたいと感じているポストモダンを生きる現代の大学生(メジャー層)にとっては,大学生活の楽しみは交友関係そのものであること,一方で,将来に対する不安がなく,大学生活を“楽しく”過ごしたいと感じる大学生(対極層1)は,大学を学びの場であると捉え,専門の授業・内容が学べることを楽しみとして大学生活を送っていることが示唆された。