[PG055] 青年期における居場所意識とレジリエンスとの関連
Keywords:居場所, レジリエンス, 青年期
問題と目的
本研究では青年期の居場所意識がレジリエンスに与える影響について検討する。また,家族や友人といる際のポジティブな感情がレジリエンスと関連するか否かについても検討し,居場所意識とレジリエンスとの関係性にポジティブ感情がどのように関わるかについて明らかにする。
方 法
調査対象者:女子大学生100名であった。
調査方法:無記名式の質問紙調査を実施した。
質問紙の構成:居場所意識については,所属集団として,「家族」,「友人(大学)」,「友人(大学以外)」の3つを設定し,各集団の中での本来感と自己有用感,集団にいるときのポジティブ感情について尋ねた。居場所の心理的機能については杉山・庄司(2006)を,レジリエンスについては精神回復力尺度(小塩, 2002)を使用した。
結 果
1.居場所意識-本来感と自己有用感
各集団における本来感と自己有用感に関する回答を3カテゴリー(本来感あり,どちらでもない,なし/自己有用感あり,どちらでもない,なし)に分け,所属集団別にχ2検定を行った。その結果,本来感については,すべての所属集団において,「本来感なし」「どちらでもない」の回答よりも「本来感あり」の回答が有意に多かった(家族:χ2(2)=149.68, p < .01,友人(大学):χ2(2)=124.89, p < .01,友人(大学以外):χ2(2) = 163.65, p < .01)。自己有用感については,すべての所属集団で,「自己有用感なし」より「どちらでもない」,「どちらでもない」より「自己有用感あり」の回答が有意に多かった(家族:χ2(2) =79.83, p < .01,友人(大学):χ2(2)=43.88, p < .01,友人(大学以外):χ2(2)=72.55, p < .01)。
2.家族,友人との関係性で生じるポジティブ感情
家族や友人といるときにポジティブな感情が生起する程度を尋ね,回答を3つ(あり,どちらでもない,なし)に分類し,集団別にχ2検定を行ったところ,すべての集団において有意な人数の偏りが見られ,(家族:χ2(2)=145.06, p < .01,友人(大学):χ2(2)=149.68, p < .01,友人(大学以外):χ2(2)=178.57, p < .01),「なし」「どちらでもない」の回答より「あり」の回答が有意に多かった。
3.居場所意識と居場所の心理的機能
居場所の心理的機能尺度の6つの下位尺度得点を目的変数,本来感・自己有用感の各得点を説明変数とし,ステップワイズ法による重回帰分析を行った。その結果,本来感(友人(大学))では「被受容感」「精神的安定」「行動の自由」への有意な正のβが確認され,自己有用感(友人(大学以外))の「被受容感」への正のβに有意傾向が見られた。
4.ポジティブ感情と居場所の心理的機能
各ポジティブ感情得点を説明変数,居場所の心理的機能尺度の各下位尺度得点を目的変数として,ステップワイズ法を用いた重回帰分析を行ったところ,「家族」では「行動の自由」に対してのみ有意な正のβが得られたのに対し,「友人(大学)」では「思考・内省」を除くすべてに対して有意な正のβが確認された。「友人(大学以外)」では,「精神的安定」と「他者からの自由」への正のβが有意であった。
5.居場所意識とレジリエンス
レジリエンスの各下位尺度得点を目的変数,各本来感得点と各自己有用感得点を説明変数としてステップワイズ法による重回帰分析を行ったところ,本来感(友人(大学))は「感情調整」と「肯定的な未来志向」で有意な正のβを示した。
6.ポジティブ感情とレジリエンス
レジリエンスの各下位尺度得点を目的変数,各ポジティブ感情得点を説明変数としてステップワイズ法による重回帰分析を行った結果,「新規性追求」,「感情調整」,「未来志向」のすべてにおいて,友人(大学)が有意な正のβを示した。
これらの結果から,女子大学生における居場所意識はレジリエンスに影響するが,家族,大学の友人,大学以外の友人という人間関係によって影響の仕方が異なることが示された。
本研究では青年期の居場所意識がレジリエンスに与える影響について検討する。また,家族や友人といる際のポジティブな感情がレジリエンスと関連するか否かについても検討し,居場所意識とレジリエンスとの関係性にポジティブ感情がどのように関わるかについて明らかにする。
方 法
調査対象者:女子大学生100名であった。
調査方法:無記名式の質問紙調査を実施した。
質問紙の構成:居場所意識については,所属集団として,「家族」,「友人(大学)」,「友人(大学以外)」の3つを設定し,各集団の中での本来感と自己有用感,集団にいるときのポジティブ感情について尋ねた。居場所の心理的機能については杉山・庄司(2006)を,レジリエンスについては精神回復力尺度(小塩, 2002)を使用した。
結 果
1.居場所意識-本来感と自己有用感
各集団における本来感と自己有用感に関する回答を3カテゴリー(本来感あり,どちらでもない,なし/自己有用感あり,どちらでもない,なし)に分け,所属集団別にχ2検定を行った。その結果,本来感については,すべての所属集団において,「本来感なし」「どちらでもない」の回答よりも「本来感あり」の回答が有意に多かった(家族:χ2(2)=149.68, p < .01,友人(大学):χ2(2)=124.89, p < .01,友人(大学以外):χ2(2) = 163.65, p < .01)。自己有用感については,すべての所属集団で,「自己有用感なし」より「どちらでもない」,「どちらでもない」より「自己有用感あり」の回答が有意に多かった(家族:χ2(2) =79.83, p < .01,友人(大学):χ2(2)=43.88, p < .01,友人(大学以外):χ2(2)=72.55, p < .01)。
2.家族,友人との関係性で生じるポジティブ感情
家族や友人といるときにポジティブな感情が生起する程度を尋ね,回答を3つ(あり,どちらでもない,なし)に分類し,集団別にχ2検定を行ったところ,すべての集団において有意な人数の偏りが見られ,(家族:χ2(2)=145.06, p < .01,友人(大学):χ2(2)=149.68, p < .01,友人(大学以外):χ2(2)=178.57, p < .01),「なし」「どちらでもない」の回答より「あり」の回答が有意に多かった。
3.居場所意識と居場所の心理的機能
居場所の心理的機能尺度の6つの下位尺度得点を目的変数,本来感・自己有用感の各得点を説明変数とし,ステップワイズ法による重回帰分析を行った。その結果,本来感(友人(大学))では「被受容感」「精神的安定」「行動の自由」への有意な正のβが確認され,自己有用感(友人(大学以外))の「被受容感」への正のβに有意傾向が見られた。
4.ポジティブ感情と居場所の心理的機能
各ポジティブ感情得点を説明変数,居場所の心理的機能尺度の各下位尺度得点を目的変数として,ステップワイズ法を用いた重回帰分析を行ったところ,「家族」では「行動の自由」に対してのみ有意な正のβが得られたのに対し,「友人(大学)」では「思考・内省」を除くすべてに対して有意な正のβが確認された。「友人(大学以外)」では,「精神的安定」と「他者からの自由」への正のβが有意であった。
5.居場所意識とレジリエンス
レジリエンスの各下位尺度得点を目的変数,各本来感得点と各自己有用感得点を説明変数としてステップワイズ法による重回帰分析を行ったところ,本来感(友人(大学))は「感情調整」と「肯定的な未来志向」で有意な正のβを示した。
6.ポジティブ感情とレジリエンス
レジリエンスの各下位尺度得点を目的変数,各ポジティブ感情得点を説明変数としてステップワイズ法による重回帰分析を行った結果,「新規性追求」,「感情調整」,「未来志向」のすべてにおいて,友人(大学)が有意な正のβを示した。
これらの結果から,女子大学生における居場所意識はレジリエンスに影響するが,家族,大学の友人,大学以外の友人という人間関係によって影響の仕方が異なることが示された。