The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PA(01-64)

ポスター発表 PA(01-64)

Sat. Oct 8, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PA06] 親の養育態度が子どもの様々な行動領域に与える影響

柴田利男 (北星学園大学)

Keywords:養育態度, 行動領域, 幼児

目   的
 幼児の母親を対象に,子どもの行動傾向,生活習慣と親の養育態度との関連性,および親自身の情動表現スタイルと養育態度との関連性について検討する。
方   法
 調査対象者:札幌市内の幼稚園に通う幼児の母親169名(年少男児39名,年少女児49名,年中男児48名,年中女児41名,年長男児43名,年長女児35名)。
 調査項目:(1)フェイスシート,(2)生活習慣尺度―谷田・高橋(2007)をもとに,食事・睡眠・着脱衣・清潔の4ジャンルについて,0(できる)~3(できない)の4段階で回答,(3)子どもの行動尺度―中澤・中道(2007)をもとに,非社交,向社会,攻撃,過活動-妨害,被排斥,不安-怖がりの6因子より,各々2~3項目ずつ計15項目を選択,0(当てはまらない)~2(当てはまる)の3段階で回答,(4)養育態度尺度―森下・庵田(2005)の作成した受容的関わり,統制的関わり,一貫性のなさの22項目に,0(全くそうでない)~4(そうである)の5段階で回答,(5)情動表現スタイル尺度―田中(2009)が翻訳したSFQ(Self-Expressiveness in the Family Questionnaire)から親和的・共感的スタイル,自己中心的・不快感を与えるスタイルの計10項目を選択,0(全くない)~4(よくある)の5段階で回答。
 手続き:園児に持ち帰らせ,保護者の方に回答していただいた。質問紙は封筒に入れ封をしてもらい幼稚園を通して回収した。
結果と考察
 各得点について年齢×性別の分散分析を行った。生活習慣については男女とも年齢とともに得点が高くなる。行動尺度については向社会,攻撃,被排斥で性差がみられ,攻撃,不安-怖がりで年齢差がみられた。養育態度について有意な差は見られなかった。
 養育態度について,受容的関わり得点および統制的関わり得点それぞれの中央値を基準に,どちらも高い群(hh),受容的関わりが高く統制的関わりが低い群(hl),受容的関わりが低く統制的関わりが高い群(lh),どちらも低い群(ll)に分類した。各指標について年齢×養育態度4群の分散分析を行った。
 養育態度の一貫性のなさ得点について,hl群が他の3群と比べて低い結果となった。
 生活習慣の挨拶得点では,lh群が最も高く,hh群やhl群の平均値と大きな差がみられた。睡眠得点では,lh群が他の3群より高い傾向がみられた。
 行動尺度の向社会得点では,hl群が高く,他の3群の間にはそれほど大きな差はなかった。攻撃得点では,hh群とhl群よりもlh群とll群の方が高い。過活動-妨害得点では,hl群よりもlh群の方が高かった。被排斥得点では,hl群が最も高く,lh群とll群は低かった。
 情動表現スタイルの親和的・共感的スタイル得点では,lh,ll群よりもhh,hl群の平均値の方が高かった。自己中心的・不快感を与えるスタイル得点では,lh群が他の3群よりも高かった。
ま と め
 受容的関わりが高く統制的関わりが低い群と,反対の統制的関わりが高く受容的関わりが低い群の間に,子どもの行動傾向得点の平均値の差が見られることが多かった。どちらの関わり方をするかで,子どもへの影響が変わってくるといえる。
 養育態度の影響を受ける生活習慣は主に挨拶得点であった。食事や衣服などは,幼稚園などで教えもらう機会が多いので,養育態度はあまり関係ないのかもしれない。受容的関わり得点と,普段の情動表現スタイルに関連性がみられた。母親が親和的・共感的であるほど,養育態度も受容的になりやすい傾向にあるのだろう。