The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

Presentation information

ポスター発表 PA(01-64)

ポスター発表 PA(01-64)

Sat. Oct 8, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PA59] 高校生のDark Triad(3)

高校生のDTと抑うつとの関連性

福井斉1, 太田仁2, 阿部晋吾3 (1.梅花女子大学, 2.梅花女子大学, 3.梅花女子大学)

Keywords:抑うつ, サイコパシー, ナルシシズム(自己愛傾向)

目   的
 Black,Woodwroth & Porter(2014)は,Dark Triad(以降,DT)が高い者は他者を自尊感情も低く,神経質で不安が高く,抑うつ的とみなすなど“見下す”傾向を有していることを報告している。そうした態度は他者との軋轢を生じさせ,本人の精神的健康を損ねる要因ともなりかねない。そこで,本報告では,報告(1&2)に続き,Dark Triad(以降,DT)と抑うつとの関連性を検討する。
方   法
調査方法および調査対象者 報告(1)と同様
質問項目 DT: 報告(1)で得られた日本語版Dark Triad Dirty Dozen (DTDD-J; 増井他, 2015)の因子分析結果により得られた「マキャベリアニズム」,「サイコパシー傾向」,「自己愛傾向」の各因子を下位尺度として用いた。
 抑うつ:日本語版児童用抑うつ自己評価尺度(村田他,1996)18項目のうち,「抑うつ気分」「活動性および楽しみの減退」の2因子における因子負荷量の高い項目10項目を抜粋し,一部表現を改め用いた。なお,選択肢は,“1.あてはまらない”から“5.あてはまる”までの5件法である。得点が高いほど,抑うつ傾向が高くなるように得点化を行い,以下の分析を実施した。
結果と考察
 村田他(1996)の児童用抑うつ自己評定尺度より抜粋した10項目の探索的因子分析(最尤法,プロマックス回転)の結果,因子負荷量,及び解釈可能性から永井・新井(2002)や佐藤・新井(2003)と同様に2因子が妥当であると判断し,下位尺度として以降の分析に用いた(Table 2)。
 マキャベリアニズムは抑うつ気分と正の相関,サイコパシー傾向は抑うつ気分,活動性や楽しみの減退と正の相関,自己愛傾向は抑うつ気分と正の相関が認められた(Table 1)。
 DTの各因子が抑うつ自己評定式尺度の各因子に及ぼす影響を特定するために,DTを独立変数,抑うつを従属変数として,性別,学年,進路希望を統制変数とした重回帰分析を行った結果をFig 1に示す(有意なパスのみを表示)。
 サイコパシー傾向は抑うつ気分と活動性や楽しみの減退の双方に有意な正の影響を,自己愛傾向は活動性と楽しみの減退に負の影響を示していた。冷淡で衝動的な態度は,周囲からの誤解や拒絶を招きやすく,とりわけ他者からの評価に敏感な思春期においては精神的健康を阻害する要因となり,自分を特別視する態度は,自身の快活さを維持・高揚させる要因となりうることが示唆されたといえよう。