[PB05] 生涯学習としてのテニス継続に関する要因2
Keywords:テニス, 生涯学習, スポーツ継続性
問題と目的
生涯学習の一環としてのスポーツ参与は中高年者の余暇活動と健康促進に大きな役割を果たしている。宮本・磯辺(2015)は,生涯学習としてのテニス継続に関わる要因を横断的調査によって検討し,若年層ではテニス参加を中止する場合が多いが,高齢者では安定的に参与していることを示した。また若年層は,高校や大学での活動の延長線上でのテニス参与,高齢者層は競技性の低い余暇活動としての参与が示唆された。継続要因の分析から,各世代共通して友人とのテニスがテニスへの参与を活性化するが,若年層では異性友人の要因が逆にテニス継続性を阻害すること,中年層では余暇活動としてのテニス参与が阻害的要因になることが示唆された。
本研究では,家族構成や職業,テニスを始めたきっかけ,サークル経験,テニススクール経験,テニス非継続理由についての質問紙調査の結果を継続者と非継続者の比較と性差を通して検討する。
方 法
調査対象:男性134名(平均年齢53.7±13.00歳),女性175名(平均年齢49.5±10.80歳)の計309名の協力を得た。
調査手続き:2015年5月~2016年5月にテニスイベントへの参加者,および公営施設でテニスに参加している成人,および高校と大学のテニス部OBを対象に調査を行なった。
調査内容:質問紙は以下の内容を含んでいた。①基本的属性:性別,年齢,家族構成,職業。②テニス経験:テニス経験年数,開始年齢,中止年齢,開始理由,サークル経験,スクール経験。③テニス継続理由:「娯楽性」,「仲間関係」,「健康促進」,「環境要因」の25項目5件法。④テニスの継続状況:スクールへの参加など6項目2件法,テニス活動の頻度に4件法,試合への参加3件法。⑤テニス中止理由:「心理的要因」,「身体的要因」,「人間関係要因」,「時間・経済的要因」,「環境要因」の27項目5件法。
結果と考察
1.継続者・非継続者の基本特性
テニス継続者は248名(男性112名,女性136名,非継続者61名(男性22名,女性39名)であった。
子どもについては,継続者で子ども有135名,無115名,非継続者で有45名,無16名であり,有意に非継続群の子ども有が多かった。
テニスの開始年齢は,継続者平均25.7±=12.85歳,非継続者平均14.6±5.16歳であり,有意に非継続者が早かった。
テニスを始めたきっかけは,継続群は,友人の影響103名,親の影響28名,部活15名,マンガ・アニメ13名,プロ選手11名,兄姉11名,その他61名,非継続群は,友人の影響16名,親の影響15名,部活7名,マンガ・アニメ5名,プロ選手4名,兄姉1名,その他10名であり,非継続群で親の影響が有意に多く,継続群で友人の影響が多いことが認められた.
テニスサークルへの参加経験は,中学時代では,継続群で有46名,無199名,非継続群で有26名,無35名であった。非継続群ではサークル経験者が多い。これは高校時代・大学時代でも認められた。一方社会人では,継続群で有37名,無208名,非継続群で有3名,無58名であり,継続群のサークル経験有が多かった。
テニススクールへの参加経験は,高校時代において継続群で有26名,無215名,非継続群で有12名,無48名であり,非継続群でスクール経験有が多い傾向がみられた。大学時代でも同様の傾向がみられたが,社会人では継続群で有115名,無126名,非継続群で有13名,無47名であり,継続群のサークル経験者が多かった。
2.テニス非継続理由の因子分析と性差
テニス非継続理由に関わる質問項目の因子分析の結果(因子負荷量.35以上,累積寄与率60.6%),「経済・家庭」,「スキル停滞」,「関心変更」,「やる気喪失」,「身体問題」,「機会喪失」の5因子が抽出された。性差を検討したところ,経済・家庭因子が有意であり,女性の方が高い得点を示した。また,スキル停滞因子においても同様に女性の方が高い得点を示した。
以上の結果は,親の影響でテニスを早期から開始し,サークルやスクールに参加してテニスへの参与度が高かった者がテニス参与を中止する傾向があることを示唆している。さらに,経済的理由や子育てによって特に女性のテニス参与が阻害されること,また女性ではテニスが上達しないことがテニスを中止するきっかけになっていることが示唆された。
生涯学習の一環としてのスポーツ参与は中高年者の余暇活動と健康促進に大きな役割を果たしている。宮本・磯辺(2015)は,生涯学習としてのテニス継続に関わる要因を横断的調査によって検討し,若年層ではテニス参加を中止する場合が多いが,高齢者では安定的に参与していることを示した。また若年層は,高校や大学での活動の延長線上でのテニス参与,高齢者層は競技性の低い余暇活動としての参与が示唆された。継続要因の分析から,各世代共通して友人とのテニスがテニスへの参与を活性化するが,若年層では異性友人の要因が逆にテニス継続性を阻害すること,中年層では余暇活動としてのテニス参与が阻害的要因になることが示唆された。
本研究では,家族構成や職業,テニスを始めたきっかけ,サークル経験,テニススクール経験,テニス非継続理由についての質問紙調査の結果を継続者と非継続者の比較と性差を通して検討する。
方 法
調査対象:男性134名(平均年齢53.7±13.00歳),女性175名(平均年齢49.5±10.80歳)の計309名の協力を得た。
調査手続き:2015年5月~2016年5月にテニスイベントへの参加者,および公営施設でテニスに参加している成人,および高校と大学のテニス部OBを対象に調査を行なった。
調査内容:質問紙は以下の内容を含んでいた。①基本的属性:性別,年齢,家族構成,職業。②テニス経験:テニス経験年数,開始年齢,中止年齢,開始理由,サークル経験,スクール経験。③テニス継続理由:「娯楽性」,「仲間関係」,「健康促進」,「環境要因」の25項目5件法。④テニスの継続状況:スクールへの参加など6項目2件法,テニス活動の頻度に4件法,試合への参加3件法。⑤テニス中止理由:「心理的要因」,「身体的要因」,「人間関係要因」,「時間・経済的要因」,「環境要因」の27項目5件法。
結果と考察
1.継続者・非継続者の基本特性
テニス継続者は248名(男性112名,女性136名,非継続者61名(男性22名,女性39名)であった。
子どもについては,継続者で子ども有135名,無115名,非継続者で有45名,無16名であり,有意に非継続群の子ども有が多かった。
テニスの開始年齢は,継続者平均25.7±=12.85歳,非継続者平均14.6±5.16歳であり,有意に非継続者が早かった。
テニスを始めたきっかけは,継続群は,友人の影響103名,親の影響28名,部活15名,マンガ・アニメ13名,プロ選手11名,兄姉11名,その他61名,非継続群は,友人の影響16名,親の影響15名,部活7名,マンガ・アニメ5名,プロ選手4名,兄姉1名,その他10名であり,非継続群で親の影響が有意に多く,継続群で友人の影響が多いことが認められた.
テニスサークルへの参加経験は,中学時代では,継続群で有46名,無199名,非継続群で有26名,無35名であった。非継続群ではサークル経験者が多い。これは高校時代・大学時代でも認められた。一方社会人では,継続群で有37名,無208名,非継続群で有3名,無58名であり,継続群のサークル経験有が多かった。
テニススクールへの参加経験は,高校時代において継続群で有26名,無215名,非継続群で有12名,無48名であり,非継続群でスクール経験有が多い傾向がみられた。大学時代でも同様の傾向がみられたが,社会人では継続群で有115名,無126名,非継続群で有13名,無47名であり,継続群のサークル経験者が多かった。
2.テニス非継続理由の因子分析と性差
テニス非継続理由に関わる質問項目の因子分析の結果(因子負荷量.35以上,累積寄与率60.6%),「経済・家庭」,「スキル停滞」,「関心変更」,「やる気喪失」,「身体問題」,「機会喪失」の5因子が抽出された。性差を検討したところ,経済・家庭因子が有意であり,女性の方が高い得点を示した。また,スキル停滞因子においても同様に女性の方が高い得点を示した。
以上の結果は,親の影響でテニスを早期から開始し,サークルやスクールに参加してテニスへの参与度が高かった者がテニス参与を中止する傾向があることを示唆している。さらに,経済的理由や子育てによって特に女性のテニス参与が阻害されること,また女性ではテニスが上達しないことがテニスを中止するきっかけになっていることが示唆された。